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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【12月28日㈬~1月5日㈭】

新年あけましておめでとうございます。旧年中は弊社配給作品をご覧下さり、また当通信をお読み下さり、誠にありがとうございました。皆様、どんな年末年始をお過ごしだったでしょうか?映画初めはお済ませですか?私は、やっと昨日映画初め。某“アメリカの有名女性歌手の栄光と挫折”映画が新年一発目でした。ファンにサインを求められた主人公が、なぜ自分のバッグからノートを取り出してサインして、ノート一冊ごとそのファンに渡すのか?しかも中盤と後半、2度もそうしたシーンが出てきてワケがわからなかったのですが、帰りの電車の中で「あッ!そうかッ!」と突然気づき、声が出そうになりました。あれは〇〇の取り引き!そう言えば2度とも同じ男でした。あの男は〇〇の売人だったのですね。気づくの遅過ぎ!私の読解力が足りないのか? 描き方が下手なのか?とりあえず後者にしておこう(笑)。

ホイットニーはさておき(実名。笑)、12月24日から渋谷シアター・イメージフォーラムでスタートした“ピエール・エテックス レトロスペクティブ”ですが、年末年始多くのお客様がご来場下さり順調に船出することが出来ました。企画当初は「はたしてお客様は来て下さるのだろうか?」、「もしかしてマニアック過ぎるのでは?」と不安でいっぱいだったのですが、蓋を開ければ「観たかった!」と待ち望んで下さっていた皆さんや、「これは観とくべき映画かも?」と好奇心旺盛に鼻を利かせて下さった皆さんで、満席の回も出る盛況ぶりとなりました。明日からの3連休も混雑する回が出そうです。ご興味を持ってくださっている方は、ぜひお早めにオンラインでお席を確保して頂ければ!全国順次公開の先陣を切って、来週13日からは福岡 KBCシネマでの上映も始まります。どうかエテックス旋風が全国に広がりますように!

事務所入口ポスターもエテックスに衣替え。花屋さんが正月らしいアレンジを届けてくれました。

ところで。ピエール・エテックス推しな2023年初頭なのに、何故トップ画像が今さら昨年6月公開の『三姉妹』なのでしょう?それは私の去年のベストワン映画だからです(自画自賛。笑)。その流れで、当通信の記念すべき2023年第1弾にして連続更新100週目の今回は、私の2022年のベスト映画を発表してしまおう、という配給会社の公式noteとは思えない企画。対象作品は、自社配給作品は別枠ということで除き、去年純粋にお客さんとしてチケットを買って観た劇場正式初公開の映画(個人的にチケットを買って映画祭で観た、日本初上映の新作映画を含む)洋画110本、邦画26本の合計136本。邦洋それぞれのベストテンを選出できるほど邦画を観ていないので、邦洋合わせた10本を順不同でご紹介します。

先ずは『セイント・フランシス』。これには完全に不意打ちを食らいました。“30代女性の自分探し”なんてテーマは、おおよそ私とはかけ離れているはずなのに、グサリグサリと刺さりまくり。ある部分似たテーマの『わたしは最悪。』にはほとんど共感できなかったのに、こちらには共感しまくってしまいました。続いてはジャック・オディアール監督の『パリ、13区』。セクシャルな部分をメインに据えた新聞広告に釣られたオヤジの一人だったのですが(笑)、そこではなくて登場人物それぞれの心のヒダヒダの繊細な描写の見事さにやられてしまいました。

邦画の一番手は三宅唱監督の『ケイコ 目を澄ませて』。正直言って三宅監督の前作『きみの鳥はうたえる』がかなり苦手だったので期待せずに観たのですが、今回は素直に作品の世界観に浸かってしまいました。役者さん皆良かったなー。そして『FLEE』。アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞、長編アニメ賞、国際長編映画賞の3部門にノミネートって一体どういう映画なの?と思って観てみたら、大納得の映画。語りたいことをこんな風に語る方法もあるのだと目から鱗でした。フランス映画の旧作2本、遅ればせながら初めて観たシャンタル・アケルマン監督の『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080, コメルス河畔通り23番地』アニエス・ヴァルダ監督の『ドキュモントゥール』もインパクト大でした。

マーケティング臭強めな映画なのかな?と警戒して観た『土を食らう十二か月』は、まんまと術中にハマり、『ある男』は映画が始まって間もなくの安藤サクラの涙ツツーッで、もう持って行かれました。柄本明のレクター博士ぶり(?)にも心躍った!後はマカレナがあまりにキョーレツだった『TITANE チタン』、安定安心の韓国映画『モガディシュ 脱出までの14日間』、基本スポ根好きの私のツボに入りまくってしまった『ドリームプラン』、実際の事件現場がとても身近だったせいもあって(私のランニング・コース上)ズッシリと響いた『夜明けまでバス停で』等々…って、もう12本か。

こんな幼稚な感想を書き綴って何だか恥ずかしいのですが、挙げた作品を「そんなに言うなら観てみようかな」と思ってくださる方が、お一人でもいらっしゃれば本望です。まだ劇場で上映中の作品もありますし、レンタルDVDや配信でも、ぜひチェックしてみて下さい。あと、このベスト映画の並びを見て、こんなテイストを持った人間が中心になって選んでいるなら、「ザジフィルムズ2023年の配給作品も期待できそう!」と思って下さる方がいないかな~、と思ったりしつつ、2023年一回目の更新を終わります。

texte de Daisuke SHIMURA










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