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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月27日㈬~4月2日㈫】

1984年3月30日にオープンしたキネカ大森が、この土曜日に40周年を迎えました。おめでとうございます!

開館から10年あまりは西友が運営していたので(現在も1階にはスーパーマーケットの西友があります)、3スクリーンあるうちの1スクリーンは、当初はセゾングループの傘下にあった配給会社シネセゾンが配給する、主にヨーロッパ系の作品のメイン上映館として機能していた記憶がありますが、1993年に東京テアトルの運営に代わり、98年からはアジア映画を積極的に編成する方針を打ち出し、2010年からは“2本立て名画座“形式の編成番組も始まって、映画ファンに親しまれて現在に至ります。

オープン当時横浜市民だった私は、全国公開のエンタメ系作品以外で、なおかつ関内アカデミーではフォローされていない映画を、京浜東北線で有楽町まで出なくても観られる、ということで、当初から足繁く通っていました。杮落としのロミー・シュナイダーの遺作『サン・スーシの女』に始まり、アル・パチーノ主演の地味~なドラマ『喝采の陰で』、ドヌーヴ主演、アンドレ・テシネ監督の『海辺のホテルにて』、アラン・タネール監督『白い町で』等々を、20歳過ぎの若造が、分かったフリをして背伸びして観ていました。あれからもう40年近く経ったとは、何だかビックリです(じいさんになった自覚、欠如…)。

ちなみに“ミニシアター系”、“単館系”という言い方が定着したのは、80年代半ばから後半。1974年には既に岩波ホールがエキプ・ド・シネマの活動をスタートさせていましたが、1981年に新宿歌舞伎町にシネマスクエアとうきゅうがオープンしたのが“ミニシアター“の始まりと言われています。その後82年にユーロスペース、83年にシネヴィヴァン六本木、85年にシネセゾン渋谷、86年にはシネマライズ渋谷、87年にはシャンテシネが次々にオープンして、80年代後半の“ミニシアターブーム“が起こるのでした。そんなブームのどさくさの中、1989年に生まれたのがザジフィルムズです(笑)。

キネカ大森に話を戻しますと、ザジとしてのキネカさんとのお付き合いは1999年のクロード・シャブロル監督特集『いとこ同志』、『美しきセルジュ』の連続上映(今だったら、もっとお客さん入っただろうなぁ)から。同年“ダリオ・アルジェント / 鮮血の美学”と銘打った特集上映も開催しました(今だったら、もっとお客さん入っただろうなぁ)。なので個人的には40年のお付き合い、会社的には25年のお付き合い、ということになります。これからも末永くお付き合いが出来たら…と心から願っています。

31日の日曜には、昨年見逃していた『春画先生』『せかいのおきく』の“2本立て名画座“を観に行って、40周年記念グッズの“もぎりさん缶バッジ“を買いました。Xによれば、もぎりさん(片桐はいりさん)は前日、30日の記念日当日に出社(?)されていたようです。惜しい!長年通っているのに、一度も遭遇出来ていません。平日の昼間の出勤が多いのでしょうか?今年こそはお会いしたいです!!

キネカ大森公式Xの画像をお借りしております。

さて。春は“別れの時“でもあります。3月31日に2つの映画館が閉館になりました。1つは、福岡中州大洋映画劇場。終戦の翌年に創業し、1952年から現在の建物で営業を続けてきましたが、昨年9月に建物の老朽化で取り壊しが決まり、78年の歴史に幕を下ろしました。ザジ配給作は“午前十時の映画祭”で何本か上映して頂いたに留まりますが、以前からXなどで外観や館内の画像を見るにつけ、いつか行ってみたい、と思っていました。映画『エンパイア・オブ・ライト』の舞台となった“エンパイア劇場”を思わせるその内装。調べたら、それこそ昨春、その『エンパイア・オブ・ライト』を上映していたのですね。そちらで再見してみたかった!あぁ、悔やまれます!

同じ31日に閉館したもう1つの劇場は、仙台のチネ・ラヴィータ。1985年にオープンした2スクリーンのシネアートを、フォーラムシネマネットワークが引き継ぐ形で2004年にオープン。2009年には、場所をBiVi仙台駅東口2階に移し、3スクリーンに増やして運営されてきました。チネ・ラヴィータの名前では丸20年。賃貸契約終了のタイミングでの閉館だそうです。ザジも長い間大変お世話になり、最近も『オオカミの家』『蟻の王』を上映して頂いたばかり。一度もお伺いせぬまま、申し訳ございません!まったく悔やまれることだらけです。

中州大洋映画劇場さん、チネ・ラヴィータさん、どうもありがとうございました!そしてお疲れ様でした!

忙しさにかまけて、日頃お世話になっている全国の劇場に、全然伺えていない私。せめて“全国の映画館を応援している映画“は観ておきたい、と思う今日この頃です。井上淳一監督の『青春ジャック 止められるか、俺たちを 2』は、まだファーストラン上映中ですよね? リム・カーワイ監督の『ディス・マジック・モーメント』もどこかで観なきゃ!『あなたの微笑み』もどこかで再上映してくれないかなぁ…。あぁ、『変な家』なんて観ている場合ではなかった(暴言)。

texte de daisuke SHIMURA





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