見出し画像

Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【3月29日㈬~4月4日㈫】

坂本龍一さんが3月28日にお亡くなりになった、という報が4月2日の夜もたらされました。神宮外苑の再開発見直しを求める手紙を小池都知事らに送った、というニュースが流れたのがほんの半月ほど前。その際の新聞社による書面インタビューで、ご自身の病状に触れられていて、「良くはないのだな」と察してはいたものの、いざニュース速報が流れるのを目にすると、大きなショックを受けてしまいます。71歳は早いです。心よりご冥福をお祈りいたします。それにしても高橋幸宏さんの訃報を聞いてから、3ヶ月も経っていないというのに…。

ご自身も俳優としてご出演された『戦場のメリー・クリスマス』、『ラストエンペラー』を始め、『レヴェナント : 蘇りし者』や『MINAMATA ミナマタ』等(デ・パルマの『ファム・ファタール』、アルモドバル『ハイヒール』も!)、映画音楽の分野でも世界的に活躍されていた坂本さんですが、コロナ禍の緊急事態宣言の影響で2度にわたる公開延期を経て、2020年6月27日に公開された弊社とトランスフォーマーさんの共同配給による台湾のツァイ・ミンリャン監督作品『あなたの顔』の音楽も手掛けられています。

2018年のヴェネチア映画祭で上映され、坂本さんの音楽が翌年の台湾金馬奨のオリジナル音楽賞にノミネート、台湾電影節では音楽賞を受賞していましたが、日本では未公開のままだったのを、坂本さん自らが親しくされていたトランスフォーマの代表に働きかけて公開が実現した経緯があります。私は坂本さんの熱心なファンだったワケではありませんでしたが、ツァイ・ミンリャン監督の映画を一度は配給してみたい…と常々思っていたので、トランスフォーマーさんから声をかけて頂いて、ひとつ返事で配給宣伝を引き受けさせて頂きました。

が、映画本編は、13人の台湾の市井の人々(含むリー・カンション)の顔のドアップが次々映し出されるだけ(語る人もいれば、黙っている人、うたたねする人、ハーモニカを吹く人も)、という現代アートとも言うべき作品なので、一筋縄では行きません。坂本さんもそれを承知してくださっていて、積極的に宣伝に協力して下さり、来日中に数時間割いてインタビューも受けて下さいました(コロナ禍でスタッフの人数を制限して実施したので、私は残念ながら直接お会いする機会はありませんでしたが)。「ヴェネチア映画祭の期間中に、水辺で偶然遭遇して言葉を交わしたのが、本作のコラボレーションのきっかけ」なんてエピソードも、なんだか映画の一場面みたいで素敵でした。予告のラストに、「このように幸福な映画音楽プロジェクトは人生で度々あるものではない。」という坂本さんのコメントの一部も使用させて頂きました。

『あなたの顔』は現在パッケージ化されておらず、テレビ放送、配信も行われておらず、今後も予定されておりません。ご興味を持って下さった方がいらっしゃいましたら、お近くのミニシアターにリクエストして下さるなり、自主上映を企画して下さるなりして頂ければ大変有り難いです。現在配給はトランスフォーマーさんに一本化されていますので、そちらまでお問い合わせください。どうぞよろしくお願いします。

さて。公開が22日後に迫った『セールス・ガールの考現学』の最新情報です。2日の日曜夜に行われたFan’s Voice主催のオンライン試写会後の、ご覧下さった皆さんの感想ツイートでも「音楽が良かった!」というコメントが多く見受けられましたが、劇中使用曲7曲を含むマグノリアンのベストアルバム『Best of Magnolian』が、映画の初日と同じ4月28日にリリースされることが決定しました!今どきの若い人たちは配信だけでも問題ないと思うのですが、私のようなお年頃の人間には、やはりライナーノーツや歌詞の対訳が付いたフィジカルなCDは嬉しいです。

『Best of MAGNOLIAN』2023年4月28日 Rambling RECORDS:RBCP3481  ¥2,750- (tax in)

この日本版オリジナルCDをリリースして下さるのはランブリング・レコーズさん。2017年、『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のサウンドトラックアルバムをリリースして下さって以来、久々のお付き合いとなります(今も『ジーグ』のサントラは私の日曜の定番CD。クラウディア・サンタマリアが切々と歌い上げるイタリア語のバラードバージョン「鋼鉄ジーグのうた」を聴きながら掃除をしています)。『Best of Magnolian』『セールス・ガールの考現学』上映劇場でも販売する予定ですので、映画をご覧になった後、ぜひぜひゲットしてください!本日、CDリリースの情報解禁に合わせて、映画本編にマグノリアンが登場しているシーンも一部公開。既に本編をご覧になった方が、「ちょいちょい本人が出てきて歌うシーンが斬新」と言っている意味がお分かり頂けるかと思います。

texte de Daisuke SHIMURA





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?