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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【7月7日㈬~7月13日㈫】

カンヌ国際映画祭での濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』のコンペ部門の公式上映に伴って、いくつかのニュース番組で現地の様子が取り上げられていました。キャストや監督の、メインの上映会場パレ・ド・フェスティバルへの入場時の赤絨毯や、場内での上映後の様子を映像で見るにつけ、「ホントにやってるんだ~」という不思議な感慨にふけってしまいます。来年はバイヤーも参加出来るようになるのでしょうか…。

先週も当欄で書きましたが、今週も引き続きCannes in the cityと銘打ったカンヌ国際映画祭出品作の試写上映が、東京で行われています。その模様が、先週末土曜夜のTBS系「ニュースキャスター」でも取り上げられ、今回の上映の主旨を元東京国際映画祭のプログラミング・ディレクター矢田部さんが解説するインタビュー映像、来場者の業界の方のコメントなどが、短い時間ではありましたが放送されました。

テレビ離れが叫ばれる今日この頃ではありますが、地上波のゴールデンタイムでの放送って、それでも相当な数の人が見てるんですね。私は個別インタビューに答えたワケではないので、大写しになることはなかったのですが、ロビーで知り合いと喋っていた一瞬と、入場風景での一瞬、計2カットにチラッと映り込んでいました(しかもマスクして)。それだけなのに、友人2名から「今、テレビに映ってたよ!」とLINEが来ました。ちょっとビックリでした。

その東京試写、私は1日1本ペースで通って観ています。ミッドナイト・スクリーニング部門、ラリユー兄弟監督、マチュー・アマルリック主演の、ミュージカルと言ってもさしつかえない「TRALALA」、アウト・オブ・コンペティション、母ジェーン・バーキンを娘シャルロットが撮るドキュメンタリー「JANE PAR CHARLOTTE」、終末医療を描くエマニュエル・ベルコ監督の「DE SON VIVANT」、ある視点部門の「TRAVIATA, BROTHERS & I」、「LAMB」等々。今回、買い手がついて、来年以降一般公開される作品も出てくると思います。配給する会社がどんなふうに宣伝して公開するのか、楽しみです。

…と、他人事感溢れる物言いですね。そう簡単には「これだ!」という映画に出会わせてもらえないのが、この仕事。特に私は元々ストライク・ゾーンが狭いことで有名なので、なおさらです。自己認識において、根がネガティブな人間だとは思っていないのですが、歳を取るにつれてますます許容範囲が狭まっている感じ。最近は映画館で仕事抜きで映画を観ても、「素晴らしかった!」と心から言える映画に出会うことが少なくて、個人のSNSでは、逆に観てきた映画をクサしたい誘惑と日々闘っています(繋がっている友人の約1/3は映画業界の方々なので、それは出来ません)。

しかし、私がズボッとハマった映画が、ヒットするかどうかは全くの別問題。この文脈で出すのもどうかと思うのですが、一昨年のベルリン国際映画祭でハマって配給を決めた『わたしはダフネ』。都内の感染者が増加中ということもあって、正気なところお客様の数がなかなか伸びません。口コミでジリジリと動員数は上がってはいるのですが…。初日は、まさに昨年の当noteに連載した“Histoire De Zazie Films”の第8回「来る、あるいは、来なかった映画について」で書いた、「来~る来る!ま~だまだ!」が頭の中に鳴り響いていました。

7月24日㈯の最終回の上映後に行われるフェデリコ・ボンディ監督と主演のダフネ役カロリーナ・ラスパンティさんのオンライン舞台挨拶は、お客様が何人来てくださるか、とても心配なのでここで告知させて下さい。神保町という場所柄もあり、最終回はどうしてもご来場者が少ないのです。ならば、日中の上映回の後にやればいいのに、という話もありますが、上映と上映の間の時間が短いので、最終回の後にしか出来ません。もし『わたしはダフネ』を岩波ホールでご鑑賞予定の方がいらっしゃって、24日の土曜日の夜の回でも大丈夫な方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひこの回へのご来場をご検討ください!何の足しにもなりませんが、私もいます!(笑)

と、思い切り切実な今週のnote。『わたしはダフネ』は伏見ミリオン座でも先週末から上映スタート!フォーラム仙台アップリンク京都鹿児島天文館シネマパラダイスでも16日から公開されます。お近くの皆様、どうぞご来場ください!魂の叫び!

texte de daisuke SHIMURA


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