Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【10月30日㈬~11月5日㈫】
アッという間に11月。今年も残すところ1ヵ月と3週間ちょっと。ちょうど去年の今頃刷り上がって来て、関係者の皆様にお配りした“ザジフィルムズ35周年記念アニエス・ヴァルダ カレンダー”も最後の1枚(商店街の風景が年の瀬感を醸し出す『ダゲール街の人々』)です。
そうだ。当通信を読んで下さっている方の中に関係者の皆様もいらっしゃるかと思うので、ここに書いてしまいましょう。来年2025年のザジカレンダー、壁掛け型は通常バージョンに戻ります。で、例年同時にお配りしている、もう一方の卓上カレンダーなのですが、これがカレンダーの会社の都合で、うちがいつも社名を入れているタイプのものの生産が今年はないそうで(コイルだかどこだかのパーツが調達出来なかったらしい)お配りすることが出来ません。実はここ数年配っているものも二代目。初代のタイプのものは生産中止になってしまい、ネットやお店を捜し歩いて、良く似たタイプのものを見つけて代用していたのでした。なので、今回も三代目になり得るカレンダーを春先から探していたのですが、サイズ感や紙質、社名を入れる位置など、どうにもしっくりくるものが見つからず(自分なりにこだわっています)、気に入っていないものをお渡しするよりは…ということで、卓上タイプは断念するに至ったのでした。
「ザジがカレンダーを配らなくなったら、会社の経営がいよいよヤバいという予兆」という説を自ら流布させてしまったので、「今年は卓上のほうはないのね。遂にXデーが近い?」と思われたら大変!と、ここに説明させて頂きました。ちなみにカレンダーの会社によれば「2026年分のパーツは調達出来そう」とのことなので、2026年版卓上カレンダーは復活の予定。ザジさん、まだまだ大丈夫でなので、ヘンな噂は流さないで下さいね(笑)。
さて。今週は『本日公休』のフー・ティエンユー監督が東京国際映画祭の黒澤明賞を受賞し、授賞式出席のために来日して下さったのが、一番のトピックス。9月20日の初日直前に我々の元にも、映画祭事務局からその吉報がもたらされ、授賞式の日程も11月5日と教えてもらいました。
公開中の劇場で舞台挨拶も出来たら良いな、と「ロングランヒットさせなきゃ!」と決意も新たにしたのですが、新宿武蔵野館での上映は6週間ロングラン、と健闘したものの10月31日で終了、シネスイッチ銀座は10月29日から映画祭の期間中はP&I上映の会場となるため、こちらも10月28日で終映(11月7日に一度だけ上映があります!)、「来日期間中に都内で上映している劇場がない!」という状況に陥りかけましたが、11月8日㈮から上映がスタートするアップリンク吉祥寺が、「先行上映という形でぜひ」と名乗りを上げて下さり、11月4日の祝日に、監督の舞台挨拶、Q&A、おまけにサイン会が実現しました。
当日は98席ある一番大きなスクリーンがほぼ満席。上映後のトーク始めに、「今日初めて映画をご覧下さった方は?」と挙手を求めましたら、半数以上の方が初めてのご鑑賞で、まだまだ口コミが拡がっていることを実感しました。監督は終始笑顔。9月20日の劇場公開後、日本のお客様と直接触れ合う初めての機会を得て、お客様の質問に熱心に耳を傾け、一問一問ご丁寧にお答え下さり、Q&A後のサイン会も長蛇の列が出来、お一人お一人とじっくりコミュニケーションを取っておられました。
そして翌5日は、いよいよ黒澤明賞授賞式とそれに続く晩餐会が帝国ホテル 孔雀の間で執り行われ、竹書房、オリオフィルムズ、ザジからも各一名ずつご招待頂き、出席させて頂きました。孔雀の間!ハレな響き!(笑)
授賞式は、東京国際映画祭チェアマンの安藤裕康氏のご挨拶から始まり、黒澤明賞のスポンサー カプコン代表辻本憲三氏の乾杯のご発声、選考委員の山田洋次監督が今回の選考の経緯をお話し下さり、今年の受賞者のお二人、三宅唱監督、ティエンユー監督の受賞のお言葉と続きます。ティエンユー監督は、憧れの山田監督に作品を気に入って頂き、賞にまで選んで下さったことへの感激と感謝の気持ちを、舞台上でのコメントではもちろんのこと、晩餐のテーブルでは山田監督のお隣に座ってずっと炸裂させていたのを、少し離れたテーブルから見させて頂いておりました。
長年この仕事をしていますが、晩餐付きの授賞式に出席するのは初めて。我々もしっかり食事も堪能させて頂きました。お葬式に出る以外で、スーツにネクタイという恰好をしたのは、ほぼ10年以上ぶり。ズボンは何とか入ったものの、ジャケットのボタンは閉まりませんでした(笑)。ちなみに当日着ていたそれぞれのスーツ、竹書房O氏は15年ぶり、オリオフィルムズS氏は20年ぶりだそうでした(笑)。
『本日公休』は前述のアップリンク吉祥寺、シネマテークたかさき、豊岡劇場、塚口サンサン劇場で11月8日㈮から、苫小牧シネマ・トーラスでも9日㈯から上映がスタートします。お近くにお住まいの方はぜひご来場下さい!
次なる新作、12月13日㈮公開の『お坊さまと鉄砲』の宣伝も引き続き頑張っております。先週末、シネマカリテに映画を観に行ったついでに(『ゴンドラ』!)、新宿武蔵野館に『本日公休』の上映最終日にご挨拶に伺えなかったので、寄らして頂いたのですが、帰りがけにエレベーターの前で70絡みのご婦人に突然話しかけられました。「あんた、この映画知ってる?面白そうよ」。ご婦人は『お坊さまと鉄砲』のチラシを私の顔の前に掲げるのでした。「知ってるも何も、うちの配給してる映画です」とお答えしたら、「あら、じゃあもう観てるのね。面白い?」と訊くので「もちろん面白いですよ!観に来て下さいね!」とお薦めしました。作り話でもなくホントにあった嬉しいお話です!
texte de daisuke SHIMURA