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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【12月2日㈮~12月6日㈫】

私事ですが、3年ぶりに開催されるNAHAマラソンに出走するため、12月3日から那覇に行って参りました。レースは4日の日曜日、午前9時スタート。日中は気温が27℃まで上がって暑さとの戦いとなり、ハーフ以降は沿道のコンビニに飛び込み、アイスコーヒー用のカップ氷とコーラのペットボトルを買って、冷たいコーラでひと心地つくこと3回。そんな悠長なことをしていたら、良いタイムでゴール出来るワケはありません。連続出走20回中、ワースト2番目の記録で何とか完走してきました。でも、根がMなのでしょう(よく言われます)、辛かったけど楽しかった~!足を引きずりながら、レース翌日は桜坂劇場にも寄らせて頂きました(トップ画像)。

行きの機内では「映画宣伝おばちゃん」という本を一気読み。関西地区の映画興行の世界では知らない人がいないフリーランス映画宣伝のベテラン 松井寛子さん(通称カンコさん)の自伝…というか、お仕事本というか。“世に出すべき意義ある映画書籍”を年に1~2冊のペースで出版するために設立された出版社、零号出版の記念すべき第1弾の2冊のうちの1冊で(もう1冊は、原一男監督作品で知られる疾走プロダクションの代表 小林佐智子さんの本)、去年、松井さんのFacebookで出版に向けてクラウドファウンディングを行っていることを知り、微力ながら参加させて頂いたので、出版のタイミングで“リターン”として書籍が送られてきました(著者の直筆サイン入り!)。

映画と仕事「映画宣伝おばちゃん」(零号出版)

ザジ関連で、松井さんに関西宣伝をお願いしたもので真っ先に思い出すのは、2007年のシグロさんとの共同配給作『ヒロシマナガサキ』(スティーブン・オカザキ監督)。監督来日時の大阪キャンペーンでは、新聞やテレビの取材セッティングに大活躍してくださいました。社会性やメッセージ性の強いドキュメンタリーや劇映画は、松井さんの最も得意とするところで、本書の中では原一男監督の諸作や東海テレビ制作のドキュメンタリー若松孝二監督作品などについても、ページを割いて興味深いエピソードをいろいろ語っていらっしゃいます。

加えて、ご自身の今までの人生を振り返る内容なので、プライベートなことや、仕事上のトラブルのことにサラリと触れられていたりして、ドキリとすることも多々。那覇までの2時間半あまり、息つく暇もなく(ちょっと大袈裟)最後のページまで読んでしまいました。ご興味お持ち下さった方、零号出版さんのHPから購入が可能のようです。印刷部数が限られているからか、お値段はお高めですが、ぜひ読んでみて下さい。小林佐智子さんの本も読んでみようと思います。

本の紹介をさせて頂いたところで、今週は雑誌も紹介しちゃいましょう。「都市を味わい、都市を批評し、都市を創る」がキャッチフレーズの月刊「東京人」の12月号が、最近の私のトイレタイム(失礼!)の定番雑誌。“東京映画館クロニクル”という、関東の中年以上の映画ファンには懐かしくてたまらない特集が組まれています。かつて昭和の東京に存在していたロードショー館、名画座から、現在も頑張っている(東京近郊も含めた)ミニシアター、名画座まで80ページ以上に渡って大特集。豊富な写真と宮崎祐治さんのイラストマップ、川本三郎さんなどのエッセイ、各劇場の支配人や関係者の対談、インタビューで構成していて読み応えたっぷりな内容。

東京人 12月号 特集“東京 映画館クロニクル” (都市出版)

配給会社的には日頃お世話になっている方々も数多く登場していて、永久保存版な感じ。既に1月号が出てしまっているので、大型書店のバックナンバーのコーナーを探して頂ければ。また、サイトからも注文可能なようです。

東京の映画館の話題と言えば、既に発表になっていた通り、12月4日に渋谷東映が閉館になりました。驚いたのは、11月30日に情報解禁になった「閉館後のフロアには、2023年4月10日から2027年度中まで閉館となるBunkamuraル・シネマ「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」として、2023年初夏より営業を開始する」というニュース。今年5月、東急百貨店本店一帯の開発計画に伴い、休館になることは既に発表されていましたが、「その手があったか!」という展開です。個人的にはヒューマントラストシネマ渋谷シアター・イメージフォーラムで上映中の映画とハシゴを組みやすくなる、という有難いお話。LINE UPの発表はこれからだそうなので、こちらも楽しみです。

気になるのは、東急百貨店本店一帯の開発が終了し、Bunkamuraも再開するタイミングに、おそらく現在のBunkamuraル・シネマも再開するのだと思いますが、その時「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」はどうなるのか、ということ。ニュースでは“期間限定”とは謳っていなかったので、これはル・シネマが4スクリーン体制になる可能性もある、ということなのでしょうか?それとも別の展開が??

11月27日には飯田橋で1974年の創業以来48年に渡って営業を続けていらっしゃった映画ファンの聖地とも言うべきギンレイ・ホールも閉館しました。公式サイトによれば、現在「神楽坂地区を念頭に(移転先を)交渉継続中」とのことなので、新たな場所での再開の発表を待ちたいところです。今週後半は変わりゆく東京の興行街のお話を中心にお送りしました。とにもかくにも、皆さん!映画を観に行って映画館を応援しましょう!

texte de Daisuke SHIMURA




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