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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【10月12日㈬~10月18日㈫】

先週金曜日、遂に情報が解禁されました!ザジフィルムズがお贈りする、次なるレトロスペクティブは、ピエール・エテックスです。

えっ?ピエール・エテックス?誰それ?という方も多いかと思います。既にイラストレーターとして活躍していた1950年代、ジャック・タチ監督の『ぼくの伯父さんの休暇』(’53)を観て心酔したのをきっかけに、『ぼくの伯父さん』(’58)にアシスタントとして参加し、あの有名なタチ作品のポスターイラストの数々も手掛けた人。その後、のちにルイス・ブニュエル諸作の脚本家として知られるジャン=クロード・カリエールと組んで、自身も映画製作を開始。今回上映される長編4本、短編3本、すべてエテックスとカリエールのコンビによるものです。

『大恋愛』(’69)より。見よ!このシュールでオシャレなワンシーン!

俳優としても活躍。手先の器用さを買われ(!)、ロベール・ブレッソン監督作『スリ』(’59)や、ルイ・マル監督作『パリの大泥棒』(’67 こっちでもスリ役)に出演。晩年(2016年に亡くなっています)は、アキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』(’11)やオタール・イオセリアーニ監督の『皆さま、ごきげんよう』(’16)にも出演しています。

ザジで“ジャック・タチ フィルム・フェスティバル“を開催したのは2003年。当時、タチの「ぼくの伯父さんの休暇」の翻訳もされている、ライターで編集者、翻訳家の小柳帝さんにいろいろご協力頂いたのですが、その時から小柳さんに「いつか、ピエール・エテックスの作品もぜひやってくださいね」とリクエストを頂いていました。その“いつか”が、19年後にやって来た、というワケです。

ゴダール、トリュフォーも愛する『ヨーヨー』(’64)のワンシーン。

これだけ時間がかかってしまったのは、“知名度の高い監督ではないので、チャレンジする覚悟を決めるのに時間がかかった”というのも、ザジとしての理由の一つですが、物理的に一番大きな理由は、“権利上の問題でフランス本国でも長らく上映出来なかった”という事実。権利復活のためにエテックスを愛する人々が立ち上がり、ジャン=リュック・ゴダールベルトラン・タヴェルニエレオス・カラックスといったフランスの監督はもとより、ウディ・アレンミシェル・ゴンドリーデイヴィッド・リンチテリー・ギリアムなど、世界の名だたる映画人が協力し、5万人の署名が集まり、晴れて2010年に権利が復活、上映用素材もエテックス自身によってデジタル修復されました(それを受けて、日本でも2015年にフィルメックスアンスティチュ・フランセ共催による特集上映が行われました)。

特集上映、花盛りの今日この頃。今後もおそらく新たなレトロスペクティブ開催の情報もありそうな予感。コアな映画ファンの方々でさえ、時間は限られているので観に行ける映画も限られると思います。そんな競争激しい中、「エテックスは押さえとかなきゃ!」と思って頂けるよう、周知活動頑張ります。東京の上映館であるシアター・イメージフォーラムではすでに予告篇の上映、窓口での特別鑑賞券の販売も始まっております。1回券にはオリジナル・ステッカー、4回券にはB3のオリジナル・ポスターを特典として差し上げてますので、ぜひチェックしてみてください。初日はクリスマス・イヴ!公開に向けて関連情報、アップしていきますので、どうぞお楽しみに!

エテックス レトロスペクティブの前に、同じシアター・イメージフォーラムで11月5日㈯からの公開されるアニエス・ヴァルダ監督作品『冬の旅』も、いよいよ宣伝の大詰めを迎えています。通常リバイバル公開作は、レビューや作品紹介をして下さる媒体は限られるのですが、今回は「装苑」や「FUDGE」、「婦人之友」といった月刊誌でも取り上げて頂いてます。「In Red」の町山広美さんのコラム“レッド・ムービー・カモン”の中でもご紹介頂きました。必読です!

“漂流する女性”映画の代表的傑作!その系譜に日本映画『夜明けまでバス停で』加わりましたね。

こうしたレビューを読まして頂くたびに、『冬の旅』という映画の現代性をヒシヒシと感じずにはいられません。もう37年も前の映画なのに、まさに“今”が描かれている。ヴァルダ、やっぱり凄い!(語彙力なくてすみません…)。初日に向けて、パンフレットも絶賛編集中。こちらにも『冬の旅』を考察する素晴らしいレビューが続々到着しているので、どうぞ楽しみに!

最後に。先週も告知させて頂いておりますが、明後日21日からBunkamuraル・シネマで“ジャン=リュック・ゴダール追悼特集”第二弾として、『女は女である』『女と男のいる舗道』『パリところどころ』の三作品が順次上映されます。ゴダールの世界、ぜひスクリーンでご堪能ください!

texte de Daisuke SHIMURA







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