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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【7月10日㈬~7月16日㈫】

今週は、先ずはお知らせから。当通信【6月12日㈬~6月18日㈫】号で、6月18日に亡くなったフランスの俳優 アヌーク・エーメさんを追悼した際、現在ザジで劇場上映権を保有している『モンパルナスの灯』『8 1/2』『ローラ』を「スクリーンでご覧頂ける機会が作れると良いな」と書いたのですが、新文芸坐さんが“追悼アヌーク・エーメ 巨匠たちに愛された瞳“と題した特集を組んで下さり、7/27(土)・8/3(土)・9(金)・10(土)・14(水)・15(木)・19(月)の7日間、3作品を日替わりで上映して頂くことになりました。真夏の夜に観る『ローラ』、夏の昼下がりに観る『モンパルナスの灯』、夏の終わりも近づくお盆時期の宵に観る『8 1/2』…。まだまだ酷暑は続きそうですが、ぜひこの機会にスクリーンでアヌーク・エーメさんの涼しげな瞳に魅了されて下さい。

『ローラ』の一場面の、素敵過ぎるアヌーク・エーメ♡

さて。先週7月13日からSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024が始まっています。2004年にスタートして今年で21回目。個人的に会場の川口は、自宅からも会社からも時間がかかるので、未公開の新作外国映画を字幕付きで観られるバイヤーとしては絶好の機会にもかかわらず、なかなか気軽に参加出来ていませんでしたが、国際コンペティション部門の審査員をやらせて頂いた2021年(コロナ禍の真っ最中だったので、映画祭自体も審査もオンラインのみで行われました)以降は、生まれて初めて(最初で最後の…)審査員に抜擢して下さった恩義を勝手に感じていて、それ以来会期中1日か2日は出向くようにしています。今年は18日㈭と20日㈯の2日間で3本観る予定を立てました。

昨日は国際コンペ部門にエントリーしているネシム・チカムイ監督のフランス映画『私たちのストライキ』を観て来ました。パリの高級ホテルで、劣悪な労働条件の下で働く客室係の女性たちが、ストライキを決行して絆を深めていく姿を描く社会派コメディ。去年のコンペで観た同じフランス映画で、観客賞を受賞し、その後配給が決まり、来月劇場公開されるレネ・フェレール監督作『助産師たちの夜が明ける』(映画祭上映題名「助産師たち」)と通底するテーマ(去年観た中で個人的ベスト!)で、興味深く観ることが出来ました。

今年は結局、この1本しか観られそうにありません…

で、20日㈯は2本の映画を予約済みで、再び出かけるつもりでいたのですが、2本とも日本での公開が既に決まっている、と後から知り、買い付けを検討する立場として観に行くつもりだったので、遠征を取りやめました。『マリア・モンテッソーリ』は親しくさせて頂いている配給会社の方が、ご自身のFacebookで触れていて初めて既に日本向け権利が売れていることを知ったのですが、もう1本の『Before It Ends』は、何の気なしに映画サイトで来月公開作の紹介の記事を読んでいて、「アレ?これってSKIPシティで今週末観るつもりの映画と同じ映画??」と気がついたのでした。8月16日に公開される『ぼくの家族と祖国の戦争』というデンマーク映画。映画祭のLINE UPが発表された後に、劇場公開時期や邦題が決まったのだと思います。

国内で開催される映画祭と、その映画祭で上映される、自社での公開が決まっている作品の理想的な関係、というのがあるとしたら、一番に挙げられるのはそのタイミングでしょうか。宣伝的には、公開の半年から数か月前に映画祭で上映され、監督やキャストも来日してくれれば、その際にインタビュー取材も受けてもらって、それを公開時に露出させる、という流れが作れて、一石何鳥にもなります。

が、買い付け前に既に日本国内の映画祭にエントリーが決まっている場合もあるので、そうそう思い通りにはなりません。例えば、9月20日㈮公開の『本日公休』は、昨年3月の大阪アジアン映画祭後に、竹書房さんが買い付けたのですが、その時点では、既に昨年9月のあいち国際女性映画祭での上映も決まっていましたが、劇場公開まで1年以上あるので、その時点で「日本公開決定」のリリースは出しませんでした。

そんなことをいろいろ考えているのは、実は、ここ1、2週間のうちに情報が解禁される予定の国内の映画祭の追加エントリー作品に、うちの来年公開予定の映画が含まれているので、いつのタイミングで、どんな形で発表したら良いか、社内の宣伝スタッフや関係各位と頭を悩ませているから。思わせぶりなことしか書けなくて申し訳ないのですが、情報が少しずつ出ていくことになると思うので、どうぞ気にしておいて頂けたら…と思います。

今週は、もうひとつ、急遽入ってきた仕事があります。これもまだ情報解禁前なので詳しいことが書けないのですが、某社さんから、2000年代初頭に公開された某映画が4K化されたので権利を取得、劇場でリバイバル公開するので、新たなビジュアル、キャッチコピー、チラシ、予告を作って欲しい、というオファーです。配給受託でも宣伝パブリシティ担当でもない、こういうパターンの仕事は初めて。クライアントさんを「おっ!」と言わせる斬新で新たな売り口を差し出したいのですが、まだまだ良いアイデアが下りてきていません。考えつくキャッチコピーは、ほのかに演歌の香りが漂うものばかり(笑)。頼む人選を誤った、と思われたらどうしましょう…。

texte de daisuke SHIMURA


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