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Une Semaine à Zazie Films 週刊ザジ通信【6月26日㈬~7月2日㈫】

2日遅れの更新となってしまいました。7月2日、無事イタリアン・スクリーニング出張から戻ってまいりました。トリエステも暑かったですが(日中は30℃超え)、日本ほど湿度が高くないので、日射しさえ避けられれば、さほど暑さを感じなくて済みました。ここ数日の日本の蒸し暑さと言ったら!暑いッ!暑過ぎるッ!

当通信の連載を開始してからは、3度目のイタリアン・スクリーニング。毎回説明させて頂いてますが、イタリアのCINECITTA(撮影所としてその名が知られていますが、多岐にわたる映画関連の事業も行っており、様々な関連団体を擁しています)が、イタリア映画振興のために、イタリア映画配給の実績のある各国のバイヤーを招待して、3日間集中的に、映画祭などに出品する前の新作イタリア映画をまとめて観せてくれる催し。8月のロカルノ国際映画祭、9月のヴェネチア国際映画祭への出品が内定している映画なども多く、ワールドプレミア前の出来立てホヤホヤの、著名な監督の新作がいち早く観れたりします。開催地が変わるのは2年置きなので、今年は去年に続いてトリエステ。ローマやミラノのような大都市ではないので、正直なところ本来なら一生のうちに何度も行く理由は見つけにくい街ですが、私には去年やり残したミッションがあったので(後述)、今年も招待してくれて、願ったり叶ったりでした。

トリエステが舞台の弊社宣伝作『題名のない子守唄』に登場するプロムナードの噴水

以前は日本から参加する会社は3社で固定されていましたが、ここ数年は流動的。去年は最多の6社、今年は4社でした。例年は親しくさせて頂いている先輩バイヤーが含まれていることが多かったけど、今年は私が最年長…というか、私以外は20代30代の若い人ばかり。私もそろそろ後進に道を譲らなくてはならないお年頃…と実感する出張だった…というのは、また別の話ですね。

観た映画は、途中退出2本を含めると14本(途中退出の理由は、作品のクオリティがどうの、というよりも、ローカルなコメディなので日本の市場ではどう考えてもムリ、というケースが多いです)。クローズドな催しゆえ、どんな映画を観てきたかをお伝え出来なくて大変申し訳ないのですが、ジャンルはドラマ、コメディ、スリラー、ドキュメンタリーと多岐に渡り、前作が日本でも評判になった映画の監督の新作や、日本でもある程度馴染みのある監督の新作なども含まれ、去年のLINE UPと比較して、注目作がかなり多かった印象です。作品について、これ以上詳しく書けなくて済みません!

今年も試写会場はプロムナードの端の、5スクリーンの古いシネコン。

が、少しだけ書いてしまいましょう。実は今回最も期待していた作品の上映があったのですが、ん?ちょっと違う…、と私的には全然ハマれず。トピックス的に決して売りやすい映画ではないのは分かっていたので、配給するとしたら“いばらの道“コースなのは確実。ちょっとホッとしたのは、ここだけの話です。

せっかく行ったのだから、何か結果を出さなくては…という気持ちもあるので、帰国後、今回観た14本の中で一番気に入った作品の権利元に連絡し、オンライン試写用のリンクをリクエストしました。社内のスタッフの皆に観てもらい、意見を聞こうと思います。さあ、どうなることでしょう…。

さて、上映作品以外のお話を少し。期間中のランチは街中の指定のレストランでブッフェ、夜は初日はホテルエリアから徒歩圏内のヨットハーバーに隣接するレストラン、2日目は指定場所に集合して、大型バス3台に分乗し、中心から15分ほど離れたエリアの(去年も行った)肉料理で有名だというクラシカルなレストラン、そして3日目のフェアウェル・ディナーは中心から30分ほど離れた山の中のレストランが会場でした。

大抵は8人掛けぐらいの円卓に適当に座って、着席の食事。ここで各国のバイヤーとコミュニケーションを取ることになります。「どこの国から?」「どんな映画を配給してるの?」「最近、ヒットした映画は何?」とすぐに情報交換が始まります(移動のバスで隣り合わせたバイヤーとも同様に)。有難いのは、当然各国のインディペンデント系の配給会社の人たちなので、会社の規模を聞くと「7人」とか「10人」とか、うちと変わらない規模であることも多く、話が通じやすいこと。もちろんカンヌ映画祭のパルムドール受賞作をコンスタントに配給しているインディペンデント・メジャーな会社もあれば、タイトルを聞いても、すぐに分からない、よりアート寄りな映画を配給している小さな会社もあり、様々ですが。

『PERFECT DAYS』『ドライブ・マイ・カー』を手掛けた会社も多々。イスラエルの家族経営の配給会社の方が、「去年は“UNE BELLE COURSE”が当たったよ」と言ってて、何かな?と思ったら『パリタクシー』だったり、「知らないだろうなぁ…」と思いつつ、うちの配給作として『セールス・ガールの考現学』を挙げたら、「うちも!」と北米配給をした会社の人と遭遇して、手を取り合ったり(笑)。頼りない英語力でも、同じ仕事をしているので話題は尽きません。

バスで30分かけて山の中に連れていかれるのは、このダンスパーティのため?

そしてフェアウェル・パーティの食事の後は、恒例のダンスタイム!今年はDJが入って曲をかけるのではなく、生バントの演奏で歌手の人(スタッフらしい)が歌う趣向。後半は「次は北欧のバイヤーの皆さ~ん!」とかマイクで呼ばれた人が前に出て、演奏される曲を歌うカラオケ大会の様相を呈しました。「次はアジアのバイヤーチーム!」と、やはり呼ばれてしまったか…(笑)。かかった曲はワム!のWake Me Up Before You Go-Go(「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」)。歌詞カードは渡されたけど、早過ぎてサビしか歌えなかった。去年まではダンスの練習を積んで(?)臨めば良かったけど、来年からは歌も練習しないといかんのか…(笑)。

イタリアとスロヴェニアの国境。もうちょっと綺麗な看板が出てるのかと思った…

最後に。冒頭に書いた“去年やり残したミッション”ですが、「隣接するスロヴェニアの国境の村に、走って行く」という企画なのでした。去年はあと4、5キロ、というところで引き返してしまったので、今年はしっかり足を踏み入れたいと思っていました。往復32キロ!無事に目標を達成してきました!ワム!が満足に歌えずに心残りでしたが、これでトリエステに思い残すことはありません!

texte de daisuke SHIMURA







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