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星野リゾートが考える都市観光戦略はアパホテルと民泊の市場を奪う?

本日4/5のTravel Voice に星野リゾートの新ホテルブランド発表に絡めた今後の観光戦略に関する記事が上がっていました。

星野代表が語るビジネスホテルの商機と勝算、星野リゾートが新展開する「都市観光ホテル」を第4のブランドに

個人的に星野リゾートの宿はよく利用します。今までハズレを引いたことが無く総じて満足度の高い宿泊体験が出来るので、どこか旅行にいくときの宿探しで近隣に星野系のホテルや旅館があるとそちらを優先して予約したくなる魅力と安心感があります。今回はそんな星野リゾートがビジネスホテルに対応して都市観光客向けのホテル戦略を打ち出したというニュースについてです。

星野代表のコメントをまとめると以下のような内容です。

・都市に滞在する観光客向けの施設を開発していく
・都市のビジネスホテル需要は高いが、その内かなりの数がビジネスではなく観光目的の宿泊
・ビジネスホテルを利用する理由は便利さ(駅近)・自由さ(素泊まり)・予算(安い)
・ネット環境の発達によりビジネス出張は今後減少する。一方新興国の発展で観光客の増加は今後も継続する

先日立地の意外性もあり話題になった大阪市新今宮に新設する都市観光ホテルも上記戦略に沿ったものであるとのこと。

星野リゾートが大阪に新たな「都市観光ホテル」開発へ、家族対応の大部屋を2割弱、夜景一望バーや温浴施設も

ネット環境が整ってテレビ会議や動画チャットで遠隔との仕事が事足りる社会になってきているため出張が減る、というのは言われてみれば納得ですね。一方、観光客は政府がインバウンド政策で2030年に6,000万人と宣言していることからまだまだ増加が見込まれます。記事の中ではビジネスホテルを利用している観光客の意見としてメリットを理由にあげていますが「観光気分は下がる」という声もあるとデメリットも上げています。

メリットを見るとすぐに気づきますが、これはずばりアパホテルを指していますよね。駅から近い立地にありシティホテルとくらべて安く泊まれる等、富裕層を除けば都市観光のニーズを押さえています。つまり今後アパに滞在している観光目的の層を取りに行くという戦略であることがわかります。記事にはまた客室についての言及もあり3,4名が宿泊できる部屋を増やすとあります。これもアパ等ビジネスホテルが1,2名向け客室が多いことから観光客のニーズにマッチしていない部分を補い差別化していく戦略であることは明らかです。立地や料金等ビジネスホテルの利点を引き継ぎながら、内装や部屋のサイズ等で観光ニーズによりマッチした改善をおこなった都市観光ホテル。なんとなくこの条件を満たした形態ってラブホテルと似てるな、などと思ったりもしますがどのようなかたちになるのか楽しみです。

この発表記事を読んでいて気がついたことがもう1点あり、この戦略は実は民泊にも影響があるのでは、ということです。現在民泊施設の多くは都市圏に集中しています。また民泊が選ばれる理由のひとつに大人数が同じ部屋(施設)に宿泊できるというのがあります。せっかく旅行に来ているのにホテルだと2名部屋が多くバラバラに宿泊せざるを得ないけれど、Airbnb 等民泊サイトを見るとマンションの一室で5,6人まで宿泊可能な部屋が多くリスティングされています。

星野代表は以前より民泊の台頭については肯定的なコメントを出していました。普及している理由をしっかり自社のビジネスに取り込んでいるところはさすがと言えます。

今回の戦略は”アパホテルmeets 民泊” といったところでしょうか。今後も星野リゾートの成長は加速していきそうです。

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