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中年エンジニアの破天荒冒険記:米国MBA留学/就職への挑戦 #201

寿司職人への道

7月から寿司学校に通い始めました。生徒は少人数で様々なバックグラウンドの方が集まってます。中でも海外進出(予定)者が多く、スペイン(バルセロナ)、アラブ首長国連邦(ドバイ)、オランダ(ライデン)、カナダ(バンクーバー)、アメリカ(サンフランシスコ、ロサンゼルス)などワールドワイドなメンバーで構成されています。
寿司学校に通い始めた主な理由は、海外でのコミュニケーションツールとして活用するためと、アメリカ就職してレイオフにあった場合の一時的な職の確保が目的です。

備忘録も兼ねて、日々実践したことを書き足していきます。20日目終了時点では立派なSushi Masterになっているはず…


1日目

包丁:出刃/柳刃包丁の研磨、使用、管理、コンニャク切り付け
舎利:洗米、舎利炊き、舎利切り、舎利玉作り

包丁研ぎは鍛錬が必要です。自分のような素人が行うと、初めは砥石で自分の指の腹を研ぎ出血したり、研げば研ぐほど包丁の切れ味が悪くなります。また鋼の包丁はちょっとした水分や汚れが付着した状態で放置すると数時間ですぐに錆びてしまいます。

2日目

アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

幼少期依頼の魚捌きでした。本日は冷凍アジのため水分で身がブヨブヨしていて非常に捌きにくかったです。冷凍アジで練習しておくと、後々生アジを使用した際に劇的に捌きやすくなるらしいです。

3日目

アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
赤エビ:皮剥き、切り付け
バナメイエビ(Whiteleg Shrimp):皮剥き、串差し、ボイル、切り付け
ケンサキイカ(Kensaki Squid):皮剥き、切り付け

3日目にして、このぐらいは握れるようになりました。

イカ、エビ

4日目

アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
真蛸(Common octopus):塩もみ、ボイル、切り付け
コハダ(Kohada/Gizzard Shad/Japanese Shad):3枚おろし、塩/酢〆
マサバ(Chub Mackerel):3枚おろし、塩/酢〆

一番の難関はやはり切り付けです。寿司の出来栄えは80%が切り付けで決まると言われています。本来なら4日目の素人が切り付けはおろか、包丁すら持たせてもらえません。

アジ、タコ

5日目

アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
ケンサキイカ(Kensaki Squid):皮剥き、切り付け、にぎり
コハダ(Kohada/Gizzard Shad/Japanese Shad):切り付け、にぎり
マサバ(Chub Mackerel):切り付け、にぎり

桶に入れると、それっぽく見えます。飾り包丁や隠し包丁を入れたり、バーナーで炙ったり、昼飯として美味しく頂きました。

〆サバ、イカ、コハダ

6日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(Yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
巻物(roll):皮剥き、切り付け、にぎり

アジの皮引きは腹から行いますが、イナダの場合は尻尾から行います。包丁の使い方も内引きと外引きがあります。
本日の昼飯はイナダです。ブリに比べて意外とあっさりしていて食べやすかったです。

イナダ

7日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
ホタテ(Scallop):下処理、切り付け、にぎり
赤貝(Ark-shell clam):下処理、切り付け、にぎり
アオヤギ(Yellow Clam):下処理、切り付け、にぎり
ホッキ貝(Surf clam):下処理、切り付け、にぎり
握りタイムトライアル:11貫/3min

ひもの部分は握りも難しいが、見た目の美しさを表現することも難しいです。本日の昼飯は貝3種、赤貝は生なので、きちんと下処理しているとはいえ怖いので一貫のみ頂きました。

赤貝、アオヤギ、ホッキ貝

8日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
かんぴょう(Kanpyo/Dried gourd):下処理
玉子(Omelet):焼き、切り付け、にぎり
巻物(Roll):ノリなし練習

本日の昼飯は玉子の握りです。一本当たり卵8個使用。江戸前なので自分好みの甘口です。ネタが分厚いので握り方は小手返しよりも縦返しの方がやり易いです。

握り玉子、つまみ玉子

9日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
カレイ(Flatfish/Flounder):5枚おろし、切り付け、皮引き、にぎり
かっぱ巻き(Cucumber roll):巻き

右ヒラメ左カレイという覚え方は種類によっては当てはまらないこともあるらしいです。本日の昼飯はかっぱ巻きずくしです。和包丁で均等の長さで、平らに切るのは意外と難しいです。

かっぱ巻き

10日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
マグロ(Tuna):柵取り、切り付け、にぎり
サーモン(Salmon):切り付け、にぎり
かっぱ巻き(Cucumber roll):巻き
梅しそ巻き(Japanese plum and basil roll):巻き
おしんこ巻き(Yellow pickled radish sushi roll):巻き
ごぼう巻き(Burdock root roll):巻き

メバチマグロのコロを柵取りから握りまで体験しました。本日の昼飯は昨日仕込んだカレイの昆布〆めも加えて豪華なコースでした。いま思えばサーモンは数貫を炙りにすればよかったと後悔してます。

メバチマグロ
カレイ、マグロ、サーモン、細巻4種
細巻き4種(梅紫蘇、かっぱ、おしんこ、山ごぼう)

11日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(Yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
かっぱ巻き(Cucumber roll):巻き

今週末の試験に向けたタイムトライアルを行いました。時間を意識すると普段とは違う緊張感で手元が狂ったり、違う動作をしてしまったりします。

12日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(Yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
アナゴ(Conger eel):捌き、仕込み、煮方、ツメの作り方
かっぱ巻き(Cucumber roll):巻き

アナゴはウナギと同様に関東、関西で捌き方が異なります。関東は背開きで関西は腹開きです。他の魚と違いアナゴ、ウナギ、ハモの捌き方はかなり難易度が上がります。

アナゴ
アナゴ握り

13日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(Yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
太巻き(Thick roll):巻き

太巻き

14日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
かっぱ巻き(Cucumber roll):巻き
鯛(Snapper):3枚おろし、焼き霜、湯霜、骨抜き、切り付け、にぎり

本日の昼飯はアジ(薬味付き)で、夕飯は鯛です。鯛は皮引きを行わず皮を残しました。皮の処理は焼き霜と湯霜の二通りを行いました。皮の処理によって味わいも異なります。

アジ
鯛(手前が焼き霜、奥が湯霜)

15日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

午後は実技試験(1回目)でした。試験項目は以下のとおりで、審査項目はスピード、形・美しさ、配列・整い、マナー(姿勢・手順・清潔感)について得点評価されます。

1)握り:15貫/3min
2)細巻き:5本/3min
3)盛り付け:1人前(5貫+巻物1本)/4min
4)切り付け:イナダ10切れ/1min
5)魚一匹ネタ:アジ一匹をネタ化/6min

何とか無事に合格点を達成しました。夕飯は盛り付け試験で作成した寿司桶1人前を頂きました。

寿司桶1人前

16日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

午後は実技試験(2回目)でした。試験項目は以下の3科目を実施し、昨日よりは減点は減りました。

1)握り:15貫/3min
2)細巻き:5本/3min
4)切り付け:イナダ10切れ/1min

17日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

本日は実技試験(2回目)の残り2科目でした。盛り付けは前回ぶっつけ本番ということもあり制限時間オーバーによる減点がありましたが、今回は時間内に収めて満点をゲットできました。最終的に得点率98.6%の493/500点で無事合格しました。ちなみに合格ラインは得点率75%の375/500点です。

3)盛り付け:1人前(5貫+巻物1本)/4min
5)魚一匹ネタ:アジ一匹をネタ化/6min

今回の軍艦巻きには千葉名産?のなめろうを使いました。午後は手巻き寿司で、花巻きと筒巻きを行いました。

寿司桶1人前、なめろう
手巻き寿司(筒巻き、花巻き)

18日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

本日は桶3人前をネタの切り付け、握り、盛り合わせまでの一連を行い、昼飯に美味しく頂きました。笹切りも自分で行いましたが、エビのつもりが昆虫や怪獣っぽくなってしまいました。プロと素人の出来栄えは一目瞭然です。
午後は試験もひと段落したので、生徒のリクエストでアジのお造りにトライしました。

寿司桶3人前
エビの笹切り(左:先生作)
アジの姿造り

19日目

生アジ(Horse Mackerel):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり
イナダ(yellowtail):3枚おろし、骨抜き、皮引き、切り付け、にぎり

午前は昨日と同様(ネタは微妙に異なる)寿司桶3人前を作成、その後は海外へ行く生徒が多いので、裏巻きのレパートリーを学びました。アボカドを使用したドラゴンロールは少し不格好になるとガチャピンかイモムシになってしまうので要注意です。自分はこの手の美的センスが問われる創作寿司は苦手なので、専ら味重視で作りました。
午後は生徒のリクエストで煎り酒(梅干しの塩味と鰹節の風味で味を整えた調味料)を作り方を教わりました。

自作
Mさん作
Oさん作
先生作

20日目

最終日の午前はバラチラシで、午後は卒業式です。長かった20日間の修行も無事に終え、修了証書を頂きました。これで今日から寿司マスターです。

ばらちらし寿司





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