なぜ「ゆとり世代」はメンタルが弱いのか。
「ゆとりだからね」
「今時の子って感じだね」
「メンタル弱いね」
20代の我々は、何億回もこのフレーズを言われて育ってきました。
実際、僕たちは「メンタルが弱い」です。
ボロクソ怒られる事に慣れていません。会社をすぐに辞めます。いつまでも決断できません。どうでもいいことに悩み続けています。
もちろんごく稀に例外はいるけど、今の若い人をみるとむしろ「病んでいない人」の方が少ない印象です。
ごく普通の会社員だけでなく、高学歴のスーパーエリート、金持ちおじさんに貢いでもらってる美女、ワイワイ渋谷で騒いでるパリピ。周りからみたら「楽しい人生を送っている」と見えるような人でも、実はだいたい病んでるんです。
実は最近まで僕は、メンタルの弱い同世代の彼らをみて「は?なんで病んでるの?意味分からん」と思っていました。実はみんな数千万の借金を抱えているのでは?でなきゃ病むのおかしくね?ってレベルで疑ってました。
ただ、最近になってようやくその正体がみえました。
※たぶん、今サウナが流行っているのも全く同じ理由だと思っています。数年間銭湯に通い続けている僕が言うんだから間違いないです。笑
就活相談の悩みNo.1とは?
元々塾講師をやっていたり、早々に会社やめて独立していたりもするので、後輩や元生徒たちから、就職や人生設計の相談をうけることがあります。
大学院生から高校中退までいろんな人の話を聞いてきましたが、ダントツで1番よく言われるのが「やりたいことがない」です。
「将来は普通に暮らせればいいからそんなにお金はいらない。で、どうせ働くなら好きな事を仕事にできたほうがいいと思うんですが、自分にはコレといったやりたい事がないんです。」
だいたいこんな感じです。まさに今の若者の"世代感"だと思います。
まあこれに対しては「そもそも仕事を知らないんだから、好き嫌いもあるわけないでしょ。とにかく調べてみ」みたいなアドバイスをだいたいするんですけど、
あるとき、ふと気づいてしまったんです。
あ、メンタル弱い原因ってここにあるな。
今の僕らは「自由すぎる」
ひとことでまとめると、今の若者には「分かりやすいゴール」が無いんです。道なき道を進んでいるから怖いんです。
もはや年金制度は崩壊しているし、大企業に入ったところで将来どうなるか分からないし、ひと昔前までは「成功」とされていた安定ルートは崩壊しつつあります。
そんな中、web系のフリーランス、YouTuberやインスタグラマーなどのインフルエンサーなど、会社に勤めずとも楽しく暮らせる人が増えてきました。「好きなことで生きていく」てきなやつです。
そんな情報が飛び交っている世の中なので、多くの若者は「自分はどこに行けばいいのか」分からなくなってしまっているんですね。
ひと昔前までは、分かりやすい「社会的成功」が存在しました。車とマイホームを購入して家族で暮らすとか、タワマンに住んで高級車を買うとか。
逆にいえば、そのくらいしか道が無かったので、悩むこともなかったわけです。
若者が普段話している話題からも、その変化がみてとれます。かつての話題といえば「人気のTV番組」一択でしたが、いまでは一人ひとりが閲覧しているものが多岐に渡ります。YouTuberだけでもいっぱいいますし、アニメ、インスタのライブ配信、ネットフリックスなどなど選択肢は無限。もはや「若者みんなの共通の話題」なんて無くなってしまったに等しいです。
僕らは2つの世界線で生きている
インターネットやSNSの発達により、一人ひとりが自由に情報を発信できるようになりました。
これにより、良くも悪くも、リアルの世界だけで生きていたら出逢うはずのなかった多種多様な人々の存在・行動を、SNS経由で知ることになります。
楽しそうに友人たちと遊んでいる写真、彼氏の存在を匂わせる夜景ショット、プレゼントしてもらった高級品、めちゃめちゃ映える旅行先の写真、やりとげた学業や仕事の実績。
昔だったら、ほとんどの友だちは社会人になったら疎遠になり連絡頻度も少なくなるので、旧友と久しぶりに飲みに行ったときにしか、そういう話題を聞くことはなかったでしょう。それが今では毎日スマホに流れ込んでくるわけです。
そしてそれに追い打ちをかけるように、YouTuberなどのインフルエンサーたちが楽しそうな投稿とともに「高級バッグ買いました」「タワマン引っ越した」「収益いくらでした」といった夢のある投稿をかましてきます。
ここでやっかいなのが、多くのインフルエンサーは素人であること。TVに出ているスターだったら「わ~すごいな~」で終わる話なんですが、素人だと手が届かない存在でもないわけです。「会社員をやめて年収50万」みたいな変に現実感のある内容だったりするわけです。
まあ実際に「おれはYouTuberになる!」なんて人はほとんどいませんが、心のどこかに影響を及ぼすことは間違いないですよね。
このように、めちゃめちゃキラキラした魅力的な情報が「SNS世界」から舞い込んでくるわけです。本当は自分の「現実世界」とは全く関係のない他人事でしかないのですが。
僕たちは「現実逃避」世代
そういった「SNS世界」の情報をずーっと見ているうちに、少しずつ、無意識的に、自分の「現実」との乖離をストレスに感じてくるようになります。要は嫉妬です。
そのストレスが積もりに積もった状況で、自分の現実世界で何かうまくいかないことが発生すると、
「今の仕事は本当に自分にむいていることなのだろうか」
「じぶんの本当に好きな事ってなんだろう」
と、悩んでしまうことになります。
本来は、「現実」とちゃんと向き合い、今の課題を改善していかなければ、状況が良くなっていくことなんてあるはずがないのに、
「あの人はどうせこうだから(諦め)」
「自分にはもっと向いているフィールドがあるはず(逃避)」
というような思考回路になるのです。すごく簡単にいえば、「現実逃避」です。
上司に怒られてすぐメンタルがへし折れてしまうのも現実逃避。
まあ「体罰問題」で教師から理不尽に怒鳴り散らされる回数が減り、怒られ慣れていないことも多少の要因かもしれませんが、根本は、
「なんでこんなことで怒られないといけないのだろう」
「じぶんには、怒られず快適に生きられる場所があるはず」
みたいなかんじです。
こんなかんじで現実逃避をするようになると、目の前のやるべきことと向き合わなくなるので、状況がどんどん悪くなります。
そして状況が悪くなると、それが原因でまたメンタルがやられてしまいます。「上手くいかない→怒られる→メンタルやられる→逃げる→状況が悪くなる→また怒られる→メンタルやられる→逃げる」みたいな負のループです。
僕らは悪くない
若者のメンタルが弱い原因を「ゆとり教育」とする声もありますが、はっきりいって、教育がどうだろうと結果は同じだったと思います。
だって「少子高齢化です年金足りません」「将来はAIに仕事を奪われます」みたいなオワコン社会情勢のなかで、ひとつの会社でずーっと怒られながらストレス抱えながら頑張り続けられるかって話ですよ。無理でしょ。
あの日本の大企業TOYOYAの社長ですら、新入社員に対して「一人で生きていく力をつけましょう」みたいなこと言ってるんですよ。終身雇用どこいったんだよ。そりゃ辞めますよ。
国数英理社しか勉強してないのに、部活サークルくらいしか経験ないのに、いきなり「好きな事」とか言われても困りますよ。
そりゃ現実逃避したくなるでしょ。
「バカ」が救われる時代
僕たち若者は、悩む必要のないことで悩んでいます。
他人から見たらめちゃめちゃどうでもよいこと、本来であれば悩まなくてもいいことで、僕たちは悩んでいます。
普通に生きているだけでたくさんの情報が舞い込んでくるので、いらん悩みが増えてしまうんです。
変に賢い人、変に考え込む人、変に色んなことを気にする人が一番悩みやすいタイプです。
「これって本当に正しいのかな」「現在の行動は間違いかもしれない」「実はこっちの方が正解かも」みたいに変にいろんなことを考えてしまい、結果なかなか行動ができず、目の前の課題を全然解決できていないパターンがめちゃめちゃ多いです。(そしてそこから負のループに入るわけです)
逆に、とくに何も考えないで生きているバカが一番幸せです。
はっきり言って、色んなことが日々変わりまくっている激動の現代で「何が正しいのか」なんてまじで分からないです。「YouTuber」という存在を10年前から予想していた人がどれだけいたでしょうか?
数年前までは「間違い」だったことが急に「正解」になることなんて、たくさんあります。だから悩んだってムダなんです。
実は、「今の自分が本当にしなければならないこと」ってめちゃめちゃシンプルなはずです。少し状況を聞いたら小学生でもわかるはずです。「今それに困ってるなら、これするしかないじゃん」って。ムダな悩み、気遣い、プライドが邪魔をしているだけですよ。
あれこれ考えず、ただ目の前のことを頑張れる人が現代では一番強いです。
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