本屋の妖怪
今日も時間があるからと本屋に吸い込まれ、あっという間に妖怪に取り憑かれた。
仮に名付けるならば『妖怪本屋うろうろ』
正確な名前は分からないけれど、この妖怪の恐ろしいところは、家に積ん読本がにょきにょきと存在感を日々増しているにも関わらず『面白そうなのあるで、見て行きんしゃいな』と手招きしてお店を出る頃にはとっぷりと日が暮れているなんて事になるのだ。
今日も目的の本はすんなりと見つけられたのに新刊コーナー、民俗学から児童書に絵本、美術書、果てはスピリチュアルコーナーなどを途中、併設されているカフェで休憩を取り延々と歩かされる事になった。休憩は許してくれるところ、優しいな。
特に大型書店は恐ろしい。少しツンとした新しい本の匂いに刺激されて疲れ果てるまで歩き回ってしまう。本屋うろうろ、きっと本と本の隙間やちょっと陰になっている通路に住んでいるんだろう。
こんな良い本があるの?あれもこれも面白そう。本屋に住んでいるから本のマイスターでもある、本屋うろうろ。私の好みをよく知っている。
そして、妖怪だから勿論イタズラもする。さぁ、帰ろうとトイレへ寄り出てきた後に特撮コーナーで大好きな怪獣の大解剖図鑑なるものを見つけてしまった。既に本を購入した後でこれを見つけていたら、即買いしていたのに!と妖怪に怒ってみるもののスタコラと次の人に取り憑いた後なので後に残るのは買った本で重たくなったリュックと寂しくなったお財布だけだ。
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