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サンタ苦労す

 ギャグではなくて、毎年サンタ代行業は苦労する。運動会のやり切った気分が落ち着いて、今年は全く秋の気配など全く感じずに冬とあれは秋なのか夏なのかを行き来し、師走も残り僅かとなった。

 サンタクロースからプレゼントを受け取る側から、今度はサンタクロースになって早14年。上の息子、中学2年生にはとっくにサンタの正体はバレて赤と緑のキラキラした世界でプレゼントを待つのは小学3年生の次男坊チビ介のみとなった。
因みにサンタ業の正体をバラした場合、お年玉は全額徴収すると言いつけている。慰謝料だ、慰謝料。

 まだふにゃふにゃな乳幼児の頃ならば親の主観でこの積み木がよろしいのでは?と選び25日朝の子どもの反応を見て、そもそもサンタクロースとは何か分かっているのか?疑問に思いつつ喜ぶ顔を見て幸せに浸る。
 それが幼稚園とか保育園とか兎に角、お友達と関わるようになると「12月25日に良い子の元にはプレゼントを持ってきてくれるサンタクロースという不思議なおじいさんがいるらしい」と情報を仕入れてきて、仮面ライダーのベルトが欲しいとか色々と申すのだ。どうやったら、サンタさんに願いが届くのか?

 上の子が通った幼稚園は仏教園だったのでクリスマス会はなかったが、私が幼稚園児だった時にはサンタクロースが幼稚園へ遊びに来たのだ。「ぜったいにえんちょうせんせいがサンタクロースをやっているのだ」と胸を張って言っていた子もいたが当日は園長先生はもちろん、バスの運転手の先生も幼稚園にいる男の先生全てが会場にいたのにサンタクロースが来たという事はあれは本物だ!!と園児の興奮は絶頂、親はあれは誰だ???となったらしい。私は慌てん坊のサンタクロースの歌に合わせて踊ってくれたサンタクロースを朧げに覚えている。

 赤い服を着て髭をたくわえたおじいさんがサンタクロースであると認識して、自分が欲しいオモチャをキラキラした目で「持ってきてくれるかな?」と興奮する子を前にして思った。
 
プレゼント、外したらどうしよう???

 何せ毎日毎日、欲しいオモチャは変わるのだ。トミカだったりプラレールだったり仮面ライダーだったり。

 そこで考えた。そもそもサンタクロース、欲しいものを持って来る必要あるのか?欲しいものじゃなかったら、それをどうするのか?サンタに恨みを持って欲しくない。大人になってもこのキラキラした季節に赤い服を着て働いている人々を恨みの籠った目で見て欲しくはない。

 結果、我が家では『サンタクロースがその子に一番必要だと思うものを持って来る』という事にした。なので、我が家では欲しい物ではなくて、サンタさんがあなたに必要だと思うものを選んで来てくれるのよ。そう言って聞かせている。その裏でサンタクロースは欲しいものをリサーチし続けているのだけれども。

 サンタクロースを卒業しサンタの味方となった長男坊には誕生日と合わせて腕時計を贈った。と言うよりも買わされた。
 次男坊の今年のプレゼントは好きなゲームのキャラクターの筆箱に鉛筆、消しゴム、折り紙に糊、セロテープ、チョコレート菓子。何でも直ぐに壊してしまう次男坊のボロボロの筆箱を見てサンタは慈悲を見せた。しょうがない、きちんと丁寧に使うという約束で筆箱。工作が好きだから折り紙や糊。お菓子はオマケ。

 そして、サンタクロースを信じている次男坊はまだ知らないというか一致出来ていない。商店街の肉屋の前にある高さ120センチ位の人感センサーで歌って踊りだす恐怖の人形が実はサンタクロースだという事に。赤い服を着て、髭をたくわえたあのおじいさんがサンタクロースだという事に。

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