4C天門調整メモ 2021.8.30
ここ最近天門を巡る状況が大きく動きました。
天門を巡る状況と僕自身の問題意識に基づいた調整経過についてメモとして残しておきます。
1 前回記事(2021年6月)
話の出発点として,4C天門の記事を載せておきます。
ザーディクリカというカードが天門というデッキのパワーを大きく引き上げたのは間違いありません。
この時点で指摘していたのは,①とこしえの除去,②呪文踏み倒しによる展開力の向上です。
この時点では,ヘブンズ・ゲートも唱えられる点につき,選択肢のひとつという程度の認識でした。これがかなり重大なことであることはその後のラッカ天門の躍進で気がつきました。
ヘブンズ・ヘブンからの展開を前提に考えていたため,重要性に気がつかなかったのです。
2 天門の4ターン目問題(2021年7月)
前記第1項のレシピは,基本的には3,4ターン目に手札や墓地を増やして5ターン目に大きく動くことを意識したものとなっています。
これは,現代の天門において基本的な動きといえます。
しかしながら,現代デュエマは4ターン目に大きくゲームが動くものと認識しているため,これでよいのかという疑問があります。
詳細は上記記事のとおりとして,基本線としてはピーピングハンデス+除去で考えていました。
以下は,調整過程のレシピです。
比較的小規模な大会ですがこのレシピで優勝しました。
環境に近いデッキは墓地退化くらいだったので,環境デッキ相手にどこまで通用するものかは不透明ですが,4ターン目のジェ霊ニーは多くの対面で有効であるように感じました。
シルトは,ジェ霊ニーと比較した場合,①呪文であること(ザーディクリカで使い回せ,とこしえがいても使えるものの,ヘブンズ・ヘブン龍解後は使えない。また,ピーピングハンデス+αの動きができない。),②多色カードであること,③クリーチャー面がアグロ対面に使える(シールド操作が重要。アルカディアスモモキング対面でヘブンズ・ゲートを埋めることが出来るため,ドラサイやヘブニアッシュサインを無理に採用する必要がなくなる。)という3点が大きいと思います。
思い切りGRに寄せるという選択も試しました。
ジャックアルカディアスは,赤黒マナになる,カード指定除去(ゼロルピア,青魔道具対面),トリガーの受け札(アグロ対面)と文字にすると役割が多いのですが,実際に採用するとどうにも使い勝手が悪いです。
ジャックアルカディアスをまともに使おうとすると,ドロマーt赤の場合以上に赤マナを増やさなければならなくなり,色の確保のために必要なパーツを削らざるを得なくなることが原因かもしれません。
ただし,その後もなかなかジャックアルカディアスの採用を諦めることはできませんでした。ジョー星ゼロルピアをどうするかという問題があったからです。
3 真邪連結バウ・M・ロマイオンの登場とラッカ天門の環境入り(2021年7月)
「20周年超感謝メモリアルパック 技の章 英雄戦略パーフェクト20」でこのカードが登場しました。
真邪連結バウ・M・ロマイオンです。
僕は,ドロマー天門ベースの天門を使っていることもあり,色が合わないこのカードをさほど注目していませんでした(下記記事でもマホズンを比較対象においています。)。
その後,バウ・M・ロマイオンを採用したラッカ天門が環境入りしたことは皆さんご存知のとおりです。
ロマイオンのカードパワーの高さもそうですが,素直に殴ってくるデッキが増えてきたということなのでしょう。
ロマイオンを実際に使ってみた感想として,アタックトリガーの呪文踏み倒しももちろん強いのですが,それよりもEXライフシールドが離れたときの呪文踏み倒しが非常に厄介だと感じました。
除去するにしてもスルーするにしても呪文を一発食らわないといけないというのは想像以上に強かったです。
事前評価では能動的に使える効果でない点からあまり評価されなかったのだと思います。
ただ,突破困難なデカブツを出したら勝ちという天門の基本に立ち返ると,確かに突破困難なデカブツであるロマイオンが弱いはずありません。
ラッカ天門のロマイオンに対するドロマー天門側の対応としては,①エモーショナルハードコアによる無効化,②ハンデス,③呪文ロックです。
そこで,呪文ロック要因としてドルファディロムの採用を検討しました。
ドルファディロムは以前採用を検討して失敗したことがあります(参考記事)。
今回は赤マナを確保するためにT・T・Tを採用しました。
るる&ルシファー+ドラグナーの組み合わせを採用すると白単のカードがそれなりの枠取られます。そのため,残りのスロットで青,黒,赤を確保しなければならず,色のバランスが非常に難しかったです。
4 電脳の女王ハックイーン アリス/不埒な再侵入の導入(2021年8月)
「20thクロニクルデッキ 熱血!! アウトレイジ・ビクトリー」にて登場の新カードに注目しました。
電脳の女王ハックイーン アリス/不埒な再侵入です。
前記第1項,第2項のレシピのブラッディ・タイフーンと差し替えになりました。
ブラッディ・タイフーンとの違いは,①コスト(もっとも,ブラッディ・タイフーンも2ターン目に使うことはほとんどありませんでした。3ターン目まで多色を置ける点で2コストである意味は一応あるのですが。),②トップ操作ができること(次のターンの単色カードを確保できます。),③クリーチャーであること(殴り返し要因になるが,Disノメノンやカツキングの的になる。),④ツインパクトであることの4点です。
特に重要なのが④で,このカードは初動でありながら確定除去の受け札でもあります(しかもコスト7。5でも6でもない点が重要。)。
初動のドローソースでありながら,それ以外の役割も持っていることの強さはT・T・Tからも明らかです。
T・T・Tは3ドローが強いといわれることがありますが(実際強く,4Cダムドが下火になったのもこのカードをはじめとする豊富なドローソースによってハンデスが追い付かなくなったためとも言われています。),単に3ドローというだけであれば,他にも選択肢はあります(参考記事)。
現在では,ドロマーカラーベースの4C天門の2種類目の初動と考えています。
エンドオブランドは,赤青マナの確保,呪文ロック(相手の呪文ロック封じ),メタカード除去から採用しました。
この時点では,ジャックアルカディアスの採用を諦めていませんでした。
5 シータモモキングRXを意識する(2021年8月)
シータモモキングRX(シータ閃とも呼ばれており,いまいち呼称が統一されていません。)はこの時点では,既に環境デッキでした。
このカードが環境を意識するうえでは重要でした。
天門は,シータモモキングRXに強いとされていますが,4C天門はドラゴンズサインを採用しておらず,光の受け札・展開札はヘブンズ・ゲート4枚だけでした。
そのため,ラッカ天門と比べると,シータモモキングRXに対してそこまで強くないのです。
この場合のアプローチとして,①シルトの採用,②白の受け札・展開札の増量という2つが考えられます。
この時点では,ジャックアルカディアスの採用を諦めていなかったため,②を選択することになりました。
具体的には,
ヘブニアッシュサインの採用です。
6 ジョー星ゼロルピアを意識する(2021年8月)
天門にとって圧倒的に不利な対面です。
とはいえ,環境上位にいるため,このデッキへの対応も考えておく必要があります。
以下は,検討したアプローチです。
①カード指定除去の採用
クロニクルデッキで強力なカード指定除去が登場しました。
ボルシャック・スーパーヒーロー/超英雄タイムです。
このカードは赤単色なので,コアクアンのおつかいは採用できず,T・T・Tを採用するタイプにしました。
赤は13枚確保できているのですが,序盤にザーディクリカかヘブニアッシュサインをマナに置けない限り,T・T・Tを打てないため,想定よりも動かしにくかったです。
カード指定除去を無理なく積めるラッカ天門の強みを目の当たりにした感じです。
②ゼロルピア対面を諦める
ドロマーt赤というデッキのルーツに忠実に組んだレシピです。
ゼロルピア対面を完全に切った分,デッキがかなり動かしやすくなっています。
ヒドラサマルというカードは,このデッキと非常に噛み合っています。
クリーチャー回収により,ナウ・オア・ネバーの打ち直しや,ヘブニアッシュサインで場に出せないるる&ルシファーの回収ができます。
また,ブロッカー付与が案外重要で,初動で出したアリスをブロッカーにすることで役割を持たせ,場に複数並びやすく残りやすいザーディクリカをブロッカーにすることでヘブンズ・ヘブンの龍解にも役立ちます。
③大型ハンデスの採用
最近のゼロルピアはカード指定除去を前提に動くため,早いターンでジョー星を置かないこともあるという情報をもとに組んだレシピです(GRは単に削除していないだけです。)。
5ターン目ロストソウルでも間に合うのであれば,4ターン目ジェ霊ニーより強いのではないかという仮定のもと組まれています。
ベガ2については後記第7項にて。
7 ラッカキラスターを意識する(2021年8月)
ラッカキラスターは天門にとって鬼門ともいえる対面です。
ラッカキラスターはいわゆるメタビートであるところ,踏み倒しメタについてはEXライフによりある程度対応できるようになりました(ロマイオンの活躍からも明らかです。)。
他方,呪文ロックはどうにもなりません。シャッフに「5」と「6」を宣言されると受け札を封じられると同時に展開札も封じられるため,何もできなくなります。
受け札が展開札でもある点は,天門の強み(受け札のためにデッキスペースを割かなくてもメインの動きのスロットで強力な受けを確保できる。)であるとともに,弱みでもあります。ラッカキラスター対面はその弱みがモロに出る対面です。
そこで,いくつかのアプローチを検討しました。
①ササゲールの採用
王来篇の新登場ギミックでありながら,全く採用されないササゲールですが,実は侮れません。
というのも,ササゲールはコスト軽減による召喚なので,踏み倒しメタに引っかからないうえに,呪文を封じられていても場に出せるのです。
具体的な局面でいえば,シャッフで「5」を宣言された場合,通常の天門であればドラゴンズサインやナウ・オア・ネバーが使えないため,5ターン目の展開はできません。それに対して,ササゲールを使った場合,5ターン目に7コストディスペクター(天門だとザーディクリカ)が場に出せます。
ザーディクリカは一度場に出れば,シャッフはじめラッカキラスターに採用される多くのクリーチャーを除去できます。
ただし,ご存知のとおり,ササゲールは場に残っていないと意味がないため除去されると意味がありません。盤面処理が比較的苦手なラッカキラスター対面くらいでしか使えない点が悩ましいところです。
現状,ササゲール2を持つクリーチャーでササゲール抜きでも採用価値のあるクリーチャーはほとんどいません。
上のレシピでは,このデッキに色が合う(白単,白青,白黒,青黒のうち,現時点では白単,白黒しかいません。)選択肢のなかで破壊時1ハンデスにより比較的除去されづらいベガ2を選択しました。
ロマイオンは赤マナの確保のために採用しました。
役割が全く違うようにみえますが,踏ませて場に出したらほぼ勝ちなフィニッシャーという点で,ロマイオンとるる&ルシファー+ドラグナーは役割が被っています。ロマイオン単体としてはもちろん強いものの,このデッキではしっくりこないと感じました。
②ルルフーラの採用
ルルフーラは光の呪文を唱えられない効果を無効にすることができます。
要するに,シャッフで「6」を宣言されていてもヘブンズ・ゲートが使えるということです。
ただ,このカードは除去耐性のないクリーチャーなので,除去が容易であるという問題があります。そのため,一見すると強力な能力を持っているにも関わらず使われておらず,また,盤面処理が苦手なラッカキラスターに対するピンポイントメタにとどまるのです。
しかも,コスト5と召喚するにはギリギリのラインであるため,ラッカキラスターピンポイントでありながら,ラッカキラスター対面が安定するというわけでもないのです。
③ コスト7の採用
ジャミングチャフに対してはどうしようもありませんが,シャッフやオーリリアによる呪文ロックであればなんとか対応できる可能性があります。
具体例としては,
受け札
展開札
現時点では試していませんが,試す価値はありそうです。
8 ラッカ天門に寄せてみた(2021年8月)
これまで検討してきた4C天門はドロマーカラーに赤をタッチする形のものでしたが,ラッカカラーに黒をタッチする形はどうか試してみました。
黒を入れる意味は,
リアニメイトと
ハンデスです。
ラッカ天門と比較した場合,メタカード除去と踏み倒しからのカウンターがやや安定しないように感じました。
前記第7項②のアプローチを意識してフィーク2を採用しましたが,テンプレートどおりイグゾースト・Ⅱ・フォーの方がいいように感じました。
あのカードは攻撃を止めることで,小型ブロッカーを採用するのと類似の機能を有するようです。ラッカキラスター対面で意味のあるカードでした。
もう少しラッカ天門のテンプレートに戻しつつ,除去カードの一部を黒のカードの差し替えるという改造になるのでしょう。ザーディクリカやロマイオンから踏み倒せるため,黒の枚数は最小限でよさそうです。
ラッカ天門はドロマー天門より白青天門に性質が近いため個人的にはあまり好きなタイプではありませんが,実際に使ってみるとパワーのある構築でありながら,環境の各対面につき一応の回答が用意されていると感じました。
環境デッキの底力を見せつけられたような気がします。
9 9月以降の構築 ※2021年11月5日追記
9月以降は,以下の構築で安定しています。
ドロマー天門に寄せたデッキで手になじみ,以上で述べてきた課題にも一応のスタンスを決めており,結構気に入っています。
(1) 4ターン目問題について
4ターン目の動きとしては,
ハンデスと
除去兼ドローソース
の2種類を採用しました。ドローソースを7枚(アリスも含めると10枚)と多めに採用しているため,最近はやりの4Cダークネスにも対抗可能です。
(2) ゼロルピア対面について
カード指定除去を完全に切りました。そのため,ジョー星を設置されるとメインギミックが完全に潰されます。
もっとも,ナウ・オア・ネバー,ヴァリヴァリウス,ザーディクリカ,エモーショナル・ハードコアといった文明を参照しないカードがそれなりの枚数存在します。そのため,全く戦えないわけではなく,ハンデスや除去を駆使しながらエモーショナル・ハードコアを展開していく戦い方になると思います。
カギとなるのは,ロストソウルでしょうか?
(3) キラスター対面について
シャッフ「5」「6」宣言への対応として,
ヴァリヴァリウスを採用することにしました。
前記第7項のカードよりもカードパワーが高く,他の対面でも使える点(るる&ルシファーからも展開可能。ヘブニアッシュサインのリアニメイト範囲でもある。),殴り返しが可能な点を評価しました。
もちろん,ミクセルがいる場合は場に出せないという問題がありますから万能とはいえませんが。
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