ミツバチ対スズメバチ!強いのはどっち?
同じ蜂同士のミツバチとスズメバチですが、お互いに命がけで戦うこともあるようです。
そんな彼らの生態に迫ってみましょう。
スズメバチはミツバチの天敵
スズメバチはミツバチの何倍も大きく、ミツバチの巣を襲ってミツバチを捕食することもあるようです。
つまり、スズメバチはミツバチの天敵とも言える存在。
一たびスズメバチがミツバチの巣に来ると、小さいミツバチは、スズメバチにあっという間にかみ殺され、何十匹も犠牲になってしまいます。
しかし、この捕食者に対してミツバチが取る対策は、まさに「肉を切らせて骨を断つ」という壮絶な戦法だったのです。
ミツバチのチームプレイ
1匹ずつではとてもスズメバチにかなわないミツバチたちは、スズメバチ1匹に対して集団で立ち向かう戦法を取っています。
しかも、お互い連携してチームプレイでスズメバチを倒すのです。その方法を順番に説明していきましょう。
・寿命の短いミツバチが特攻
まず、スズメバチがミツバチの巣へ襲来した時、比較的寿命が短くなっているミツバチがスズメバチに向かって特攻します。
特攻してスズメバチから攻撃されたミツバチは特殊なにおいを発し、他の仲間にスズメバチが襲来したことを知らせます。
・集団でスズメバチを取り囲む
危険を察知した付近のミツバチたちの400匹ほどが一斉にスズメバチを取り囲みます。
ミツバチがスズメバチを取り囲んだ状態を、ボールのような形になることから「蜂球」と呼びます。
・スズメバチを熱殺
ミツバチたちは蜂球を形成し、熱を発してスズメバチを熱殺するのです。
熱殺のメカニズムは、非常に緻密な温度設定によるものでした。
スズメバチは45℃以上の熱に耐えることができないのですが、形成された蜂球は30分程の間に46℃以上にまで上昇するというのです。
そしてミツバチの致死温度は50℃ほどであるため、ミツバチたちは熱球に耐えられ、かつスズメバチを死に至らしめることができる効果的なもので、この戦法を「熱殺蜂球形成」と呼びます。
結果!強いのはどっち?
そもそも、ミツバチとスズメバチを個体間で比較すれば、強いのは圧倒的にスズメバチです。
しかしミツバチたちも、集団で当たればスズメバチを倒すことができるのです。スズメバチもあまりミツバチをなめてかかると痛い目を見ることになります。
よって、総合力で判断すれば両者痛み分け!と言えるでしょう。
戦ったミツバチは寿命が縮む?
・熱殺蜂球形成に参加すると寿命が縮む
ところで、「 熱殺蜂球形成 」に参加したミツバチたちはその後、どうなるのでしょうか。
致死温度とまではいかずとも、スズメバチを殺せるほどの高温の中にいたため、やはり無傷とはいかないようです。
熱殺蜂球形成 に参加した個体と参加しなかった個体との寿命を比べてみると、なんと、参加した個体は余命が1/4ほどに短縮してしまうということ。
・短命化したミツバチはまた戦う
そして残酷なことに、 熱殺蜂球形成 に参加して短命化したミツバチたちは、次に襲来するスズメバチに対して形成する蜂球の中心付近に集中するという傾向があるそうなのです。
この傾向は、さまざまな動物が、ストレスにより攻撃的になるという特性からくるようです。
つまり、蜂球形成に参加したことにより過度のストレスを与えられたミツバチたちは、外敵に対して攻撃的になり、次に襲撃を受けた時も積極的に前に出るようになる、という仕組みです。
ある意味、 熱殺蜂球形成 により短命化してしまった貴重な労働力を次にも戦闘に参加させることで、巣の中の他の働きバチが安心して働くことができ、一定の労働力を確保できるという合理的なシステムなのかもしれません。
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