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詩・ショートショート

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#気持ち

ガラスの箱 【詩】

とつぜんの破裂音とともに きれつの入ったガラスの箱 オモイが詰まりすぎたかな 今はもう、スカスカだけど いまさらだけどお直ししよう かわいげのないOPPテープで かんだかい声をあげるテープが すきまを問答無用に埋めていく 歪なまま治されたガラスの箱が 光を乱反射してこっちを見てる きみはずっとこのままだけど ぼくの絆創膏はとれそうだよ

どこまでも【詩】

角が取れたサイコロ やっとのことで立ち止まり 溜息一つ、空を見上げた 早めに来ていた鱗雲 大群をなして空を歩む 薄い水色がさらに白んでいく いっそのこと進んでしまおうか 次止まれる保証はないけど それは一旦置いておこう 壁があれば何とでもなるのだから

他人事【詩】

空間を隔てる薄い膜 透明だけど頑丈な膜 森のようでもあり 海のようでもある ”こちら側”は怖いほど静か 自分しかいない小さなスペース 足首が鳴る音が響くのみ ”向こう側”は万物が縦横無尽 大股で歩むもの、足早に過ぎるもの 浮足立つのはみな同じ 地続きなのに別世界のよう 圏外なのにテレビのよう その幸福な嵐は群れを成し いつしか膜を破るだろう

ガラス窓の内と外【詩】

小さな部屋に フラミンゴのネオン 窓から見える景色 薄い緑がそよぐ あれは誰? 隣の庭で微笑む人 柔らかな光 眼鏡の銀縁に反射する 小さな部屋に フラミンゴのネオン 一瞬見たのどかな風景が 脳裏に焼き付いていた