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我が家のクローゼットにはTシャツが20枚程度ある。ちなみにほとんどが無地のものである。なぜかというと、私は柄物を着るのが怖いからである(以下参照)。

そういうわけだが、そのTシャツ1着1着に異常なほど愛情というか愛着というか、もはや執着が強すぎるほど込められている。そう、Tシャツだけはなんだか捨てられないのだ。その他の服は1着買えば1着捨てるというルーティンを大切にしているのだが、Tシャツだけはなぜか捨てられない。

そんなこんなで、汚れたりクタクタになったTシャツは2軍へ降格、すなわちパジャマとなる。しかしながらこの2軍も密状態で、パジャマになったあともなかなか捨てられない。着て着て着倒すもんだから、最終的にはパジャマで着るのすらしんどいけど「汚れたり破れたりする可能性のある場所に着ていく万が一良い用のTシャツ」が誕生する。2軍の2軍、つまり3軍のTシャツである。

こうして我がTシャツ軍(以下Tシャツーズ)は競合ソフトバンクホークスのような強固な3軍制度を敷くほど層が厚いのであるが、いかんせんこのチームの欠点は3軍からの昇格は一切ないということである。ボロボロのTシャツがもう一度1軍としてデート服に返り咲くことはハッキリ言って起こりえない。戦力を強化するための新メンバーは必ず新品のルーキーで、たまに古着屋からやってくる助っ人外国人みたいなのもいるが、おおよそ丈夫で質の良いものだ。

しかしながらこのTシャツーズの最大の長所は、クビになることがほぼないということだろう。当然ファン(身内や友人)からは戦力の入れ替えを強く望まれるのであるが、オーナー(私)は選手1着1着をスカウトした頃から知っており、簡単に自由契約を結ぶことはできないようだ。選手の大多数は3軍に位置するもののクビになる可能性がほとんどないことはわかっているのでロクに練習もしない。困ったものである。

そんなTシャツーズにも文字通り、冬の時代がやってくる。彼らの大半は夏男、つまり夏に成績を残すタイプばかりで冬にはめっぽう弱い。今後しばらく彼らは出番がないまま安穏と日々を過ごすのだろう。そうして来年の夏も、Tシャツーズでは見慣れたメンバーがレギュラーを張っているのだろう。

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