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『我が輩はペロである』三十三「見知らぬ男」

 不意にペロが“ピクリ”と何かに反応した。ドライヤーの音に掻き消されがちだが、向こうで猫の鳴き声が聞こえる。普通の鳴き声ではない。叫ぶような激しい鳴き方だ。

 なにごとかと、マリエが脱衣所の引き戸を開け、廊下に出てみると、居間に見知らぬ男が立っていた。

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