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当時ボクは、他人(ひと)に職業を聞かれたときに一言で説明するのが難しい、儲かりそうなことなら何でもやってみるけど、今のところはあまり儲かっていない会社に勤めていた。 手がけている仕事の中では、一番聞こえがいいので、普段はオーダーメイドのスーツを作っていると答えていた。 ある年の夏に入る前、社長(通称ボウズ君)から、松山市内で夏の間、毎週土曜日に開かれる夜市に何店舗か出店するという予定を聞かされた。ボクはその中で冷やしきゅうりの屋台を担当すること、という指示を受けた。
大阪府東大阪市菱屋東(ひしえひがし)453。住所の表記の仕方が変わってしまい、今では無くなってしまった番地らしいが、ボクの生まれた場所である。 長いこと本籍地だったのだが、家ではなく、病院の住所だ。 家は近辺の人間なら、誰でも分かるような同和地域にあったので、子どもが生まれれば、住んでいる場所ではなく、出産した病院で本籍を取得するのが、その地域ではあたりまえなのだと聞いた。 物心つく前に親の離婚で土地を離れたので、そこへ住んでいた当時の記憶はかなり少ない。――お泊まり
家から職場に直接行くというのが、あまり好きではない。 寝過ごしたりという理由でもなければ、大抵はカフェによってコーヒーを飲みながら、すこしばかりボンヤリした後に職場に入る。 カフェに寄るお金が無いときなんかは、わざわざ少し離れた場所に自転車を止めて、街の様子を眺めながら、ダラダラと歩いて職場に向かう。 ずいぶん時間を無駄に使っているようにも思えるが、これから700円や800円なんていう小銭で時間を切り売りするのだから(ひどい時には500円という時給で働いたこともある)
この人にだけは、なりたくないな。 そう思う人が、知り合いに一人いる。彼はボクより2つ年下で、これを書いている現在、28才。彼のようになりたくないと言っても、彼の性格やルックスに問題があるわけではない。むしろ、彼はナイスガイといっていい男だろう。 ただ、彼のように、不幸に気に入られたような人間には、なりたくない。 ボクらのような、徒手空拳で行き当たりばったりの生き方をしている人間にとって、ツキがないというのは大問題だ。 彼と初めて会ったのは、中学生のとき。――ボク
何となく、『エッセイ』という言葉を使うのが、恥ずかしいというか、テレくさいので、この、『ドンキホーテ・サンチョパンサ』のことを、なんて呼んでいいのか戸惑うのだが、とにかく、まあ、この散文のタイトルは、甲本ヒロトの曲に『天国うまれ』というのがあって、その曲のなかで、「ドンキホーテ・サンチョパンサ――」という歌詞が繰り返し出てくる。 曲の雰囲気のせいもあるんだろうが、オカシイはずなのに、なぜか哀愁を感じるこのフレーズが気に入って、短絡的にそっから取って、こんな題名をつけた