「嘘」
一日中眠っていたので頭が痛い。
ぐあんぐあんと反響する脳の奥でかけっぱなしにしていた最近にわかに応援しはじめたアイドルの曲がなり続ける。
画面の奥で踊る少女は君より幾分か小柄だ。
けれど、似ていたんだ。初めて見た時、
目元や笑った時の口元が。
携帯に手を伸ばすと付けっぱなしがたたって、熱くなっていた。
時刻は23時を回っていた。いつから寝ていたのか記憶が曖昧で、とりあえず水だけ飲もうと冷蔵庫を開ける。
水を傾けながらなんとなく冷蔵庫に張りつけたカレンダーをみてそう言えば今日は月末だったと思い出す。
明日、ゴミの日だ。
4月。
外の桜は満開で、SNSを開くとお祭りで夜桜を楽しむ友だちのストーリーがたくさんと流れてきた。
春本番ってとこかぁ。
空になったペットボトルをそのまま潰してゴミ箱に押し込みベットに身を投げる。
明日からは君のいない生活が始まる。
24時を跨ぎ、携帯のカレンダーが本日の予定を表示する。
「寂しくないけどね別に」
枕が少し湿っているのがうっとおしくて洗濯物のタオルをひったくって巻き付けた。
「あ〜あ、ほんと嫌い。」
3日前で止まったままの君のLINEに打ち込んだのは
裏返し3文字。
それすらも送信できずに全てdeleteして目を閉じる。
きっと来ない。
私の元に春は来ないから
「あいしてる」
やっぱり嘘は苦手だなぁなんて苦笑いしたままベッドサイドに携帯を捨てた。
今日は眠れるだろうか。
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