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鍵をなくしてしゅんとした子どもを心の中で慰めた夜。

どうも子どもが鍵を失くしたらしい。

はじめはお気楽に報告してヘラヘラしていたが、親たちが一生懸命探したり、出かけた先や交番に片っ端から連絡したりする姿を見て、やっとこ只事ではないのだなと感じたようだ。

珍しくシュンとしていた。

ありとあらゆるところを探したが一向に見つからず。


子どもは中3。

共働きのため小学生の頃からずっと鍵を持たせていたが、今まで不思議と失くしたことはなかった。

しかもキーホルダーなどはなく、ただのリングにつけただけの自宅の鍵と自転車の鍵。

それをカバンや上着のポケットに押し込むだけ。

一時期失くすのではないかと心配でキーホルダーでもつけたらどうかと話したが、自転車に乗るときに絡んだりしたら困るからと、そのままにしていたようだ。

それでも今の今まで失くしたことは一度もなかった。

失くさなかったのが奇跡とも思うが、それなりに自分でしっかり管理していたのだろう。


いつもバカみたいに明るい子どもが申し訳なさそうにしているのを見ると胸が痛いが、誰しも一度は通る道だと自分は思う。

自らを振り返ると、鍵や財布を失くして何度親に怒られたかわからない。


今までよくやったじゃないの。

しゅんとした背中に心の中だけで語りかける。

まぁ、今回に限っては大丈夫だから。

なぜならスペアキーがうちにあるからね。

でもね、世の中には本当にどうにもならないことも多々あるんだよ。

失くしたら本当に困ることもあると思うし。

いろんな経験をして大人になっていこう。


「鍵失くしてごめんね。おやすみ」と言って、大きくため息をつきながら自分の部屋にすごすごと入る子どもを見ながら、親二人は「これもいい経験だね」なんて話してフフフと微笑みあってしまった。



さぁ、もうすぐ卒業式。

新しい鍵はちゃんとあるから。

春からまた新しい制服に身を包んで、頼もしい背中を見せてね。



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