母と娘と、娘の娘たち

いま、電話を切った。
遠方にいる母との会話。
電話のむこうには、母と、私の娘たちがいる。

母は高齢になり、電話に出なくなった。
電話しか繋がりがないので、不安になる。心配になる。
実際、拗れた崩壊家族なのだが、
勝手な心配は続いている。

私「電話に出てよ。でないと心配するじゃない」
母『だってねえ、もう誰とも話をしたくないのよ』
私「電話に出たくないって一言出てよ」
母『もう、聞こえん』

娘2「おかん、婆さん、いつも電話に出ないよ」
私「心配だから出てほしいの、倒れてるかもしれないじゃない」
娘2「そんなこというならね!私達だって心配になるからやめて!
    心配だったらこっちに引っ越してきたらいいじゃない!」
私「東京に来いっていっても、婆さんは嫌がるじゃないの」
娘2「だ、か、ら!こっちに引っ越せば?!」

出来るわけないことをいう。
電話をするといつもこうなる。
母と、母の娘と、娘の娘たちと、

こういう、崩壊家族なのだ。
血の繋がりっていうだけで、それぞれ好き勝手している。
それぞれが、憎しみを抱えている。
私は母を憎んで育った。
娘たちも私を憎んで育った。
ようやく時を経て半分、理解し合えている。ような気がする。

私は本当は引っ越したいということを一度も伝えていない。
なぜなら、関東のほうが私にとっては生きやすいからなのだ。
病気して通院の関係もある。

娘1は、まだ私と連絡をとりあっている。
娘2は、自分の幸せを壊したのは母である私だと思っている。
この辺は、拗れに拗れて、母から呪いの言葉が飛び交って、
洗脳されていって。

ちくしょう!私だけを悪者にしておけばいいのか!
あのとき、自分が何を言ったかすっかり忘れているのか!
いじめたほうは忘れる。
いじめられた方は一生、忘れないんだからな!

と、私の心の奥底の岩盤の下のマグマが叫ぶ。
熱くて自分を焼き尽くすくらい、病むくらい、
これは、
私の呪いだ。岩盤で蓋しておかなければ。

胸元が苦しい。喉が苦しい。
苦しいと涙が滲んでくる。くやしい。
ちくしょう。
私を好き勝手しているという君たちも
好き勝手しているということに気づけ。

そしてその根底には、
愛なんか無くて、金の使いみちという最も泥沼で汚いものが
ひっそりとほくそ笑んでいるのだ。

いつもは気づかないふりをしている。
けれどいつも気になっている。

西へ向かう夕焼けの飛行機を見上げつつ泣いていた。

帰りたい。と。
パートナーといることを選んだけれど心のどれくらいかは、
追い出された故郷へ帰りたいと。

ちくしょう。
こんなの私じゃない。ここに書いて

もう終わりにする。
終わりにしてやるんだ。
私は、冷たいのだから。



娘1からは、スタンプが届いた。
がんばってね、と猫が笑っていた。
がんばるよ。ごめんね。

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