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へっぽこぴーりーまん書紀〜2社目編⑤

(→前編から)

社内、社外ともに関係構築に苦労

社外

小野氏からのクレームは、最終的に上司と訪問することによってとりあえず一時的には解決した。
しかしながら、顧客に最初で「信頼できない」というレッテルを張られたことは大きなマイナスだった。欠品は2社目の在籍中に慢性的に起こっていたが、特に入った当初のものは程度がひどかった。
欠品対応は慣れていないこともあり、本当に「どうしてよいかわからない」・・・でも素直に弱い自分をさらけ出して聞く勇気がない。
これにより、最初の仕事を覚える段階で苦労した。
本来営業という仕事は、お客さんのもとに行って情報提供をしたり、「もの」や「こと」を売っていくことなのだが全くそれがスムーズにできない。
失敗を恐れてお客さんに会ったり、商品を売ることが恐怖になってしまっていた。
行動量は圧倒的に減った。
そんなボクの姿を見て、会社のメンバーは「こいつ口だけだな」となってしまう。悪循環がはじまっていった。

社内~つまずいた違算処理

社内ではボクは入社してからある業務でつまずいてしまう。
それは「違算処理」だった。
2社目に入った当初、得意先への請求額と、得意先からの入金額を照合することは営業の役目になっていた。
これは全くノータッチだった1社目と異なっており、2社目に入って初めて出会った業務だった。
得意先の請求額と、得意先からの入金額は多くの場合異なる。
主なパターンで言うと、
①商品の納品日の違いで月末に出荷したものが、翌月に到着。検収ができず支払いが翌月度に持ち越されるケース。
②消費税の端数
③その他での計上漏れ

請求書と入金明細書を突き合わせていけば必ず答えの出る簡単な作業なのだが、ボクはこの作業の呑み込みが極めて悪かった。

理解していないのに、「わかりました」と言ってしまう悪癖が出たこともあるのだが、各書類の処理順・細かい記載方法・書類の意味・提出方法を十分理解しないまま進めていくことになる。

「わからないのに聞けない」悪癖。
これが、もろに出た。

そして、通常の人が1時間もあれば終えてしまう違算処理作業を、会社に残りほぼ徹夜することになる。
それも処理納期の締日ギリギリで。しかも挙句の果てに徹夜作業をしても間違いのない形で終えられなかった。
翌朝。出社してきた支店長や同僚に報告すると、あきれられた。
そこからさらに、業務支援を得てようやく提出できるありさまだった。
さらに始末が悪い事に、わからない部分さえ、わかっていなかった。

いや。今から考えると間違いなく簡単な処理なのだが。
・記載方法の支店長ルールが細かかったこと。
・処理の原理原則・構造を整理できなかったこと。
・エクセルの入力技術が低かったこと
・何が求められているのか把握できていなかったこと。

間違いなく言えるのは、ビジネススキルの不足と、精神的に落ち着いていなかったということだ。
(転職でのブラック企業環境からの解放→緩み→慢心→窮地と目まぐるしく精神状態は乱高下で変わり疲弊していたのもあるし、感情をコントロールできない未熟者だったことが大きな要因だろう。)

しかも、二度、三度と月が経ってもわからないまま、ミス多発で処理を進めてしまう。
書類の手戻りが多かった。
ハンコ社会だった。
書類を提出することがイップスのようになっていった。それは上司や先輩を苛立たせ、あきれさせた。
しかし、ボクは大真面目に「この罫線っているんだろうか。」「スペースは全角だったっけ」というようなテーマで書類を前にして一人で15分以上悩む。
そんなやばい精神状態に陥っていた。

ウソのようだが、本当の話だ。

事務処理でもボクは「仕事ができない」「いい加減」のレッテルを張られてしまうことになる。

パニック状態に陥る

「どうしてうまくいかないのか?」
呆れられる反応を更に恐れ、どんどん社内でも人に聞きずらくなっていき、ボクは社内で口を閉ざすことが多くなる。
完全にボクは孤立した。
張りぼての「できる」演技は崩れるのは早かった。
口を閉ざす→情報が入ってこなくなる・成長できない、解決にたどり着くのが遅い→評価下がる→更に口を閉ざす。の果てしないドロ沼・悪循環がはじまった。
ボクはミスを恐れ、金縛り状態に陥ってしまった。
せっかく転職で上手くいきそうだったのに、さらに悪い状態になってしまった。気落ちと、自己嫌悪と焦りでつぶされそうだった。

それでも必死に「大丈夫か?」と聞かれたら「大丈夫」と答える。
自己啓発本の、「ネガティブな言葉を言ってはいけません。」を信じて。
弱音も吐けず、自分が何を考えているのか。思考のピントが完全にボケ始めていた。

現実逃避


さりげない業務。1つの確認。質問。なんてことのない事務処理、1本の電話を入れることさえが異常に重たく感じた。

電話のやり取りをしているときも、何かあら捜しをされているような。そんな疑心暗鬼に陥る。
客先とのやりとりの電話はいつも非常階段など、同僚がいない場所で逃げるようにコソコソするようにしかできないようになってしまう。

ひとつひとつの仕事で緊張し、肩がガチガチに凝る。

…ボクは現実逃避で、できない仕事を先延ばしにすることが増えていった。
「これは聞きづらいから後回しにしよう。」
「これも後回しにしよう」
残務は雪だるま式に積もっていった。負債はどんどん膨れ上がっていく。
業務の納期遅延も増えた。
社会人としてあってはならないことだ。
いい加減な回答も増え、投げやりになっていった。
支店長の怒りのバロメーターは沸点に近づいて・・・
(→次回に続きます)



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