Vol.9 三菱と海外ラリー その1 コルトシリーズ
今回はレースゲームのお話ではなく、車についてコアな内容でお届けします。テーマは三菱の海外ラリー活動についてです。三菱とラリーと言えばランサーエボリューションを思い浮かべる人が多くいらっしゃると思いますが、今回のシリーズではそのルーツとなる車達をピックアップしていきます。コルトシリーズからスタリオン4WDまでのラリー活動を3回分に分けてお届けします。
※ギャランVR-4以降は諸事情により別の機会に触れさせて頂きます。
海外ラリー初舞台はオーストラリア
三菱の海外ラリー参戦の歴史は1960年代まで遡ります。当時オーストラリアにコルト800(800㏄エンジンを搭載)を輸出するにあたり、66年に現地での走行テストを行いました。そのテストに携わっていたダグ・スチュワートからサザンクロスラリー出場の提案がありました。三菱は知名度向上と販売促進に効果があると判断して大会参戦を決定します。コルト800を1000㏄エンジンに換装したコルト1000Fで67年のサザンクロスラリーに出場し、初出場にして総合4位(クラス優勝)という成績を収めました。
その後も1100F、1500SS、11FSS、コルトギャラン等の改良型マシンを同大会に投入していきました。1100Fはコルト1000の車体に1100㏄のKE44エンジンとフロントにディスクブレーキを搭載し、68年に前年を上回る総合3位(クラス優勝)を獲得しました。1500SSはコルト1000の全長とホイールベースを延長したボディに、フォーミュラカーのコルトF2AのR46エンジン(1500㏄)をラリー用にチューンして搭載していました。しかしパワーは出ていたものの、足回りとのバランスが取れず、69年の大会では前年と同様の総合3位に留まりました。
同じく69年のサザンクロスラリーに参戦していた11FSSは1000Fのエンジンを1100㏄に排気量アップし、SUツインキャブを搭載していました。結果は総合7位で三菱のマニュファクチャラー賞獲得に貢献しました。翌70年も11FSSが参戦し、総合4、6、7位(クラス1~3位)を獲得しました。69年に登場したコルトギャランは新設計車両で、開発段階からラリー参戦を見据えて設計されておりました。デビュー戦となった71年のサザンクロスラリーでは終盤までトップを走っていましたがトラブルにより総合3位に、翌72年には遂にギャラン16L GSが総合優勝しました。この時のドライバーはアンドリュー・コーワンで後のラリーアート・ヨーロッパ代表となる人物でした。
Vol.10に続く
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