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欧州が掲げる2035年では遅すぎる~温暖化による災害は待っていてはくれない現実~

西日本を中心に記録的な豪雨となっており、多くの方々が被害を受けているニュースを耳にして、とても心配しております。
1人でも多くの方々が無事であるように願っております。
さて、皆様の願う事、祈ることは誰にでも出来ますが、今回は少しでも多くの方々に自然環境を守ることが災害を減らすためにどれだけ大切かを伝えられればと思い、チームマイナス6%が発足した当時から脱炭素化に関心を持って来た視点でこの記事を書いています。(画像はチームマイナス6%パスの画像です。)

水蒸気が雨雲や台風のエネルギー源

温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を抑える事の重要性と自然災害の関係性ですが、海水温が高くなるとその分多くの水蒸気が発生します。
それにより、大量の水蒸気を得た台風や低気圧などは今まででは考えられない程に発達し、激しい豪雨や突風、竜巻など地獄絵図のような光景を現実の空間にもたらして来ます。

今現在災害が起きているのに欧州より遅くて良いわけがない

欧州が2035年までにハイブリッドを含め走行時に二酸化炭素を排出する自動車の販売を禁止する方針を打ち出して来たことに対してトヨタ潰しだと言った反論をコメントをする人達が複数見受けられますが、今現在日本国内で豪雨災害が起きて多くの人命が失われ始めていると言うのに、そのような流暢な事を言って欧州のスケジュールを遅らせようとロビー活動をするメリットがあるとは思えません。
欧州の定める基準より迅速に脱炭素化を進めて行くことは私たち日本国民の命を守る事になると共に、地球全体への影響としてもとても大切な事です。
今では電気自動車後進国の日本ですが、かつて電気自動車を世界で初めて量産化した、三菱i-MiEVや日産LEAFから始まった完全電気自動車と、内燃機関も持ちながら外部電力を充電して使用可能なプラグインハイブリッド車、また欧州で禁止対象になる従来型のハイブリッド車、それから既に多くの路線で電化していて海外にも輸出している鉄道車両も含めて脱炭素化について考えてみましょう。

鍵は「製造時」「使用時」「リサイクル時」の合計

製造時、使用時、リサイクル時の3つのライフサイクルで考える必要があります。

製造時

現状では製造時の二酸化炭素排出量の減少にはまだまだ課題が大きい状況となりますが、日産の英国の工場など電気自動車の製造段階でも太陽光発電を使用する取り組みが進んでおり、車両製造時の二酸化炭素排出量も減らして行く流れが国際的に広まる事が望まれます。

使用時

完全電気自動車・プラグインハイブリッド車・新幹線や電車などの鉄道車両

現状では発電時の化石燃料依存度が高い分不利になっていても、自然エネルギー由来の電力への移行が進むと既に販売済みの完全電気自動車とプラグインハイブリッド車や電化されている鉄道車両などはそのエネルギー源が二酸化炭素を出さない電力に置き換わる事で、二酸化炭素排出量はこれからも大幅に減らして行けると言う事になります。
日本では面積の都合上、工場やビルの壁面などを効率よく使用した太陽光発電や洋上風力発電なども必須となりますが、仮にすべてを自然エネルギー由来電力と出来たなら、二酸化炭素排出量0にすることも可能です。

外部給電機能を持たない車両から炭素税を徴収し、インフラ整備に必要な費用を確保する必要あり

完全電気自動車やプラグインハイブリッド車、新幹線や電車などに対してプラグインハイブリッドを除く、化石燃料のみを使用して回生エネルギーやアイドリングに無駄にしていたエネルギーを電気に変換して使用するハイブリッド車の場合、燃費の改善は見込めても、天ぷら油のリサイクル燃料を始めとしたリサイクル燃料や穀物を使用したバイオ燃料などを用いても、カーボンニュートラル(植物が育つ過程で吸収した二酸化炭素と燃焼時に排出される二酸化炭素で相殺する)が限界で、カーボンフリー(完全に二酸化炭素を出さない)にはなりません。
こうした車両を有する人達は燃料補給を行う必要がある為、炭素税のような形で罰金を科して、その分を自然エネルギー由来電力の整備や、電気自動車の経路充電ステーション、水素自動車の水素ステーションなどの整備に割り当てる事が必要となります。

使用後のリサイクル

電動車の使用済みバッテリーは定置型バッテリーとしてはまだまだ実用的

日本では1997年にトヨタが初代プリウスを発売し、その後三菱のi-MiEV、日産のLEAFとハイブリッド車や完全電気自動車が出てきていますが、充放電性能が落ちて来たバッテリーは自動車を走行させるには不充分な容量になってしまいます。
そうしたバッテリーでも定置型として急速充電ステーションの地下に配備し、夜間電力や太陽光発電による電力などを蓄えておき、必要に応じて給電して行く形でのリサイクル運用も可能となります。
特にガソリンスタンドから電気自動車の充電ステーションへ移行する場合に地下のガソリン貯蔵タンクだった部分を有効活用して定置型バッテリーを配備して安定した急速充電環境を確保するような場合に役立つと考えられます。
また、急速充電を行わない月極賃貸駐車場などでも、昼間は太陽光発電で発電した電力を定置型バッテリーに充電し、夜間に電気自動車に普通充電で供給すると言った使い方になれば、エネルギーの無駄を可能な限り抑える事にも繋がるでしょう。

余談ですが、現行の日産LEAFで8年または16万キロ、テスラモデル3では車両を4年または80,000km(日産・テスラ共、年数または距離のうちいずれか先に達した分まで)などの保証期間を設けており、いずれも初代のものに比べ、大幅に性能が向上しています。
また、アウディやメルセデスベンツなど海外メーカーを中心に大容量バッテリー搭載モデルでは高速道路をクーラーをつけて走行するような実用使いに於いて最も信用に値するEPA航続距離でも300km以上走れ、急速充電も初期の頃では考えられないくらい高速化している車種が増えて来ている事も初期のころに電気自動車は航続距離が短いからと敬遠した人達にとって新たな魅力を持ったクルマになっていることも忘れてはならない現実です。
ちなみに電動バイクのヤマハE-Vinoも某スイカヘルメットの番組では20キロしか走れない初期のモデルを使用していますが、現行車種では別売のスペアバッテリーを搭載した場合、59km走れる性能になっています。

ビジネスシーンは刻一刻と変化する

一気に自動車の電動化に舵を切ると多くの雇用が失われるとトンチンカンな事を言う人達がいます。
その一方で、バッテリー技術や電気モーターの開発に力を入れる企業がそのシェアを大きく伸ばし始めている現実があります。
特にその急成長振りが目立つのが日本電産です。
日本電産はフランスのPSAへの電動機を供給するようになり、PSAとFCAが統合し、ステランティスが誕生しました。
このPSAからOEM供給を受けている電気自動車でトヨタのプロエースシティが海外で販売されているとのことです。
こうした事からも部品製造メーカーなども含め、電動化で成長して行く会社へ転職した人が結果的に良かったと言うことも起こりそうです。
また、エアコンメーカーとして有名なダイキン工業も電気自動車向けの省電力空調システムの開発を開始しているとの情報も出ています。
このまま日本だけがEV後進国になった場合、海外で活躍する日本人エンジニアが日本の部品を使用して各車両をOEM生産すると言う不思議な事態になる可能性もありそうです。

マンションオーナーや駐車場オーナーも今はビジネスチャンス

ここ最近、電気自動車反対派なコメントをしている方々の多くに見られる、マンション住まいだからとか、月極賃貸駐車場だからと言うコメントがありますが、これは言い換えるとこれからマンションや駐車場のオーナーの方々には大きなビジネスチャンスが到来していると言えるでしょう。
具体的には、先述の駐車場の屋根をソーラーパネルや定置型電池、その他風力などの自然エネルギー由来電力を契約して脱炭素化を促進すると共に「電気自動車対応駐車場完備」と言う売り文句として不動産広告を出す事が可能になるメリットもあります。
とは言え、高層マンションの立体駐車場などで電気自動車の充電環境の整備が難しい場合は従来のガソリン車のように水素ステーションで水素を補給して走行する水素自動車との共存をして行くのが良いと考えられます。(2021年現在では水素を生成・貯蔵する際のエネルギー効率には更なる改善の必要があります。)

今回は長い記事となりましたが、西日本を中心とした豪雨災害で被災された皆様にお見舞い申し上げると共に、欧州以上に脱炭素化を進める事の重要性について書いてみました。

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