見出し画像

20011005 天気図の記号

 天気図の記号$${^{*1}}$$に昔から少し疑問に思っていたことがある。天気図の記号は基本は○でその丸の中に空の状態や雨や雪などの天気を書き込むようになっている。雨は丸の中を黒く塗りつぶし、晴れは丸に縦線を一本入れる。日本晴れの時は丸だけ、というのを知った時に、何故、雲が少しある晴れは縦線一本なのだろうと思っていた。

 雨は何となく心が沈む天気なので黒丸というの納得できる。雪は結晶が大抵六角形なのであの記号も判る。曇りは何故二重丸なのだろう。この辺りから訳が判らなくなってくる。そして快晴ではない「晴れ」は何故縦線一本なのか。

 天気記号$${^{*2}}$$を見ると不思議な記号がある。砂塵嵐の記号の由来は何か。砂塵嵐の記号$${^{*3}}$$は「砂sand」の「S」と風が吹く様を表す「→」との組み合わせらしい。煙霧の記号は何故「8」の字を横にしたものなのか。煙霧の時は視界が得られないので辺りをうろうろしている状態を示しているのだろうか。だとすると天気ではなく人間の行動を示しているのでこれはちょっとおかしい。それにしてもどんよりした感じを記号で表現するのは相当苦労したであろう。雹や霰の三角の記号は何となく氷という感じが伝わる。四角や六角では雰囲気が出ない。ただ、この記号を見ると武田製薬$${^{*4}}$$をいつも思い出す。曇りの二重丸は余った記号を当てはめた感じがしないでもない。

 さて「晴れ」の記号、丸に縦線はどこから来たのだろうか。元々我々が新聞などで目にする 天気図の記号は日本式と呼ばれるものである。この日本式は国際式天気図記号と呼ばれる100個からなる記号$${^{*5}}$$を簡略化したものらしい。国際式$${^{*6}}$$では丸の中に書くのは「雲量」で、雨や雪などの天気は別に丸の外に書く。国際式では雲の量を8段階$${^{*7}}$$に分けており、1/8の状態が「丸に縦線」の日本式での「晴れ」になっている。黒丸は空が全天を覆っている状態で、日本式の黒丸が「雨」とは食い違っている。日本式では「曇り」は余りの記号の二重丸$${^{*8}}$$である。国際式では天気を詳細に表現するため雲の様子と雨や雪など地上に直接影響のある現象を明確に分けて記号が作られているようだが、日本式では雨の時の雲の様子など一般の人にとってどうでもよい項目を削って作られている。

 日本式の記号の一覧表を見ていると一番最後に丸に×の記号$${^{*2}}$$が出ている。意味は「不明」である。天気は外に出て空を見れば雨が降っているのか晴れているのかは判るので、不明なんていうことはどういうことか、と思っていた。無人観測で天気が判らない時に使うようだ。国際式では丸は雲量なので、×は空が見えない時にこの記号を使う。無人観測は丸に横二重線で区別されている。

 日本だと「×」は駄目$${^{*9}}$$の意味になる。日本式の記号で丸に×だと「天気がダメ」という感覚にどうしてもなってしまう。国際式の「×」はローマ字の「x」で予測できない、未知$${^{*10}}$$という意味なので図形と意味とは一致している。

*1 天気記号
*2 理科年表オフィシャルサイト/FAQ/気象部:天気の種類はいくつあるのですか。その記号も教えてください。
*3 森田さんのお天気ですかァ?
*4 武田薬品工業株式会社
*5 Weather Symbols
*6 国際式天気図
*7 Unisys Weather: Surface Data Details
*8 地上天気図の書き方
*9 丸出だめ夫
*10 x 1. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?