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20010712 オングストローム

 物理や化学などに出てくる単位でそれ専用の記号を用いられることは殆どない。力を表す単位「N(newton)」はローマ字の「エヌ」であって、常に「ニュートン」と読むわけではない。電気抵抗を表す「Ω(ohm)」はギリシャ文字の「オメガ」であって、電気抵抗以外の場合は「オーム」とは読まない。このように科学技術の単位において独自の記号というのはなかなかない。

温度を表す単位「℃(degree Celsius)」というのはそれ専用である。厳密に言えば「°」と「C」との組み合わせであって一つの記号ではない。ワープロでは1文字として「℃」が出てくるが、これは一文字にすると便利だからであって、もともと一まとまりの記号ではない。「㍍」と同じである。それに「°」が単位かどうか$${^{*1}}$$怪しいところもある。

かつて電気の通りやすさを表す単位で「 ℧(mho)$${^{*2}}$$」があった。ギリシャ語にはオメガをひっくり返して使う用法はない。これは電気の通りやすさの単位専用の記号である。最近は使われなくなった。

 科学技術の単位でなければそれ専用の記号は「¥」「$」「%」「‰」「㏋」など沢山ある。「$${^{*3}}$$」は馬力で「horsepower」の「H」と「P」を組み合わせた記号である。これらはその記号の意味以外では使われない。

 「Å」という微小な長さの単位の記号がある。長さの単位の時は日本語なら「オングストローム」と読む。英語では「angstrom」と綴る。ローマ字の「A」の上に「○」が付いているので、専用の記号と勘違いしてしまうかも知れない。これはスウェーデン語のアルファベット$${^{*4}}$$の一つである。「オー」と発音$${^{*5}}$$するらしい。

 オングストロームは元々光の波長$${^{*6}}$$に用いていた単位であった。それが一般的に微小な長さの単位$${^{*7}}$$としても用いられるようになった。最近は科学技術の単位がSI単位系$${^{*8}}$$に統一されようとしているので、段々使われなくなってきている。このオングストロームという単位はスウェーデンの物理学者オングストルームÅngström$${^{*9}}$$にちなむ$${^{*10}}$$。

 力の単位「N(ニュートン)」と同様に「Å」も例外ではなく、単位専用の記号ではない。

*1 20010521 温度の単位(1)
*2 19991029 オームとモー
*3 度量衡換算表(任意・数式)
*4 スウェーデン語
*5 小さなスウェーデンページ、アルファベット
*6 History of Spectroscopy
*7 国際単位系(SI)
*8 国際単位系-計量研究所
*9 WIEM: Angstrom Anders Jonas
*10 angstrom

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