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20000126 磁石と慈悲

 なぜ磁石$${^{*1}}$$は鉄や磁石を吸い付けるかを小学生にも解るように説明するのは難しい。
 大学生に説明するのも難しいと思う。何故磁石は鉄や磁石を吸い付けたり反発したりするのだろう。磁力線$${^{*2}}$$が出ていてその作用によると書いてあるものもあるが、吸い付ける説明に何らなっていない。では磁力線$${^{*3}}$$とは何か。それによる力とは何か。

 磁力線に限らず、電気力線$${^{*4}}$$や万有引力$${^{*5}}$$、核力$${^{*6}}$$など直接触らなくても力が作用する現象がある。どれに関しても直感的に原理を理解することは非常に難しそうである。

 ところが磁石や静電気による吸着や反発の現象そのものは身近にその力を観察することが出来るので親しみがわきやすい。一方、万有引力はあまりにも身近にありすぎてピンとこない。

 磁石の性質を持つものを磁性体といい、その性質を磁性という。磁性の起源は磁石を構成する元素や分子の原子核の周りを回っている電子の軌道の配置による。だから特定の元素や化合物にのみ強い磁性が発現する。特定の電子配置の時になぜ磁性が出てくるのかはよく解らない。私がよく解っていないだけで科学の世界ではその理由が明確に説明されているはずである。

 ところで磁石の「磁」の字はどういう意味があるのか。「磁」の字は「慈悲」の「慈」の字に通ずると言うことを磁性体の本で読んだことがある。磁石は磁石や鉄を吸い付けたりするので「慈しむ石」という意味があるというのだ。英語のmagnetの語源はギリシャのMagnesia$${^{*7}}$$地方で多く産出したことかららしいが、それと比べると大分違う語源である。
 「磁」の「茲」の字を調べてみると「しげる、草木がはびこる」という意味なので、もしかしたら磁石に砂鉄が吸い付く様を見て「磁」の字が出来たのかもしれない。磁石に砂鉄が付くと石に苔が生えたようになる。この苔の生える方向は磁力線の方向に従っている。古代の中国の人はこの磁力線を見て「磁」の字を作ったのかもしれない。

 全然関係ないけど小学生の頃はこの磁石に付いた砂鉄を取り除くのに苦労したものである。

*1 Magnet World ~磁石を楽しむページ~
*2 磁石(じしゃく)の同じ極(きょく)どうしは、どうしてくっつかな いの?
*3 磁石を理解するために
*4 等量の点状正電荷の作る電気力線
*5 Einstein's Relativity
*6 力の法則
*7 Refounding of Plato's ideal city, Magnesia

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