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20000517 シとツ

 平仮名の「し」と「つ」は形がよく似ている。片仮名の「シ」と「ツ」もよく似ている。 片仮名の場合、これの書き分けが出来ない子供は結構いるが、大人になっても文脈から「シ」か「ツ」かを判断するしかないような書き方をする人がいる。つまり斜めの線を下から引けば「シ」で上から引けば「ツ」であって、どちらも「丶丶」の書き方が同じなのである。これでは硬筆の場合、本人しか区別が付かない。

 仮名が漢字(真名$${^{*1}}$$)から作られたことをちゃんと理解していればこのようなことはあまり起こらないと思う。とはいっても「シ」と「ツ」がどんな漢字から出来たかはこの文章を書くに当たり調べてみて初めて知った。

「シ」は「之」の草体$${^{*2}}$$から、「ツ」は「川」の草体から出来た。平仮名の「し」と「つ」もそれぞれ「之」と「川」の草体$${^{*3}}$$からできた文字である。

 平仮名は漢字を崩して作り、全ての片仮名は漢字の一部$${^{*2}}$$で作ったと思っていたので「シ」と「ツ」は何か発見したような気になった。「し」と「つ」が似ていることと「シ」と「ツ」が似ていることは変でも何でもでなかった。
 他によく似た仮名の組み合わせは「ぬ」と「め」、「ヌ」と「メ」がある。片仮名も平仮名も「奴」と「女」からである。

 吉田戦車の漫画$${^{*4}}$$で「Jリーグ」の切符と思って試合を見に行ったらサッカーの試合じゃなくて尻に風船を付けてそれをみんなで割り合う変な試合だった、というのがあった。切符をよく見たら「しリーグ」と書いてあった。

 ついでにローマ字の「J」と「I」が似ているのは偶然ではなく、「J」が「I」から作られた字だからである。

*1 文字と書体の豆知識《雑学編》
*2 片仮名の字源
*3 平仮名の字源
*4 伝染るんです。

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