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20040608 ブーメラン

 幼少の頃、ブーメラン$${^{*1}}$$が流行ったことがある。自分で投げて、手許に上手く戻ってこず途中で落ちたブーメラン$${^{*2}}$$を拾いに行こうとして、肥溜め$${^{*3}}$$に落ちたことがある。夢中になりすぎてブーメランしか眼中になかったのであった。

 そのころブーメランに関して勘違いをしていた。ブーメランを投げると手許に戻ってくるのは、実際にそうだから勘違いも何もない。ブーメランは狩りの道具であるという知識もあった。勘違いはここからである。鳥や小動物を目がけてブーメランを投げるて上手く当たれば、獲物がブーメランに引っ掛かった状態で戻ってくると思っていた。ちょうどへの字に曲がった角の内側に首が引っ掛かって飛んで戻ってくる様子を想像していた。そうでないことは大人になってから気付いた。

 それにしてもブーメランの動きは不思議である。何故戻ってくるのだろう。

 ブーメランは飛行機の翼のような断面$${^{*4}}$$をしている。竹とんぼの断面と言った方がいいかもしれない。竹とんぼの羽根$${^{*5}}$$を「へ」の字に曲げたと考えればいいだろう。ブーメランをへの字に置いた時、左側の部分の断面は上の方が細くて下が太くなっている。右の部分はその逆になっている。飛行機$${^{*6}}$$の進行方向を上にした時、左の翼は進行方向に対して逆にして、右側の翼はそのままにしたような物である。

 これを右手で縦に持って投げる$${^{*7}}$$。断面の太い部分が進行方向に向かって風を切るように回転させる$${^{*8}}$$。

 ブーメランが縦に回転しながら飛んでいる時、への字の左側が上に来た時は進行方向と回転方向が一致するため速い速度で風を切ることになる。すると進行方向に向かって左方向に力が発生する。この時、への字の右側は下にあり、進行方向と逆に回転しているので風を切る速度が遅くなる。その分進行方向左方向に発生する力が上で発生している力よりも小さくなる$${^{*9}}$$。この結果、ブーメランの回転軸を進行方向に対して左に回転させようとする力が働くことになる。つまりブーメランを縦になって転がっていく硬貨に見立てると、回転する硬貨の上部を左に向かって指で弾いた状態と同じである$${^{*10}}$$。硬貨が止まっていればぱたんと左側に倒れるだけだが、転がっていると倒れまいとする力が働いて進行方向左側に曲がっていく。硬貨が回転している方向と指で弾いた方向とを足し合わせた方向に曲がっていくのである。

 従ってブーメランは左の方向に曲がっていく$${^{*11}}$$。無風状態で投げればそのまま丸く廻って手許に戻ってくるのだろう。風に向かって投げれば、左へ十分に曲がれば、風にすくわれてブーメランは水平に回転するようになる。水平になれば竹とんぼと同じ構造なので上に向かって上昇する。上昇する間も風が自分に向かって吹いているのでブーメランは自分の方に近寄ってくる。頂点まで行くと力尽きて回転しながら舞い降りてくる。風速に応じて投げる力加減をうまくすれば手許に上手く降りてくるのだろう。

 幼少の頃、興じていたブーメランは殆ど手許に戻ってこなかったような気がする。最初から水平に投げていたせいかもしれない。そのおかげで野壺にはまってしまった。

*1 h i d e k i - s a i j o official Homepage (C) Music 1977
*2 ブーメランのように - goo 映画
*3 写真で見る人と自然環境・地域共同体とのかかわりの変化
*4 Aerodynamics in Sports Equipment, Recreation and Machines - Boomerang - Instructor boomerang.gif
*5 20010817 スーパー竹とんぼ
*6 なぜ飛ぶの?紙飛行機も実物の飛行機も、飛ぶ原理は同じです。では、飛行機は どうして 飛ぶのでしょうか。
*7 IRUKA's Homepage Play with the Boomerangs(main),1996,5,31
*8 Boomerang
*9 Aerodynamics in Sports Equipment, Recreation and Machines - Boomerang - Instructor bmg_1.jpg
*10 IRUKA's Homepage Play with the Boomerangs(main),1996,5,31
*11 Bumerangs am WOG

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