見出し画像

20000606 thとy

 英語の定冠詞「the」の古い書き方で「ye$${^{*1}}$$」というのがある。発音も「ザ、ジ」と「the」と同じように読んだり、字面そのままに「イ、イー」とも読むらしい。二人称単数主格の「thou」(汝)の複数形「ye」(汝ら)とは発音が同じだが違う言葉である。

 これはローマ字の「p」に似た「th」の合字「þ」を「y」と混同してしまった結果、「the」を「ye」と書いてしまい、それが定着したらしい。

 こんなことがあり得るのだろうか。英単語の「the」は英語を使う人なら誰でも知っている単語だし、文章を書く人は一日に何度も書くだろうし、何度も発音するだろう。それなのに何故混同して、更に定着してしまったのであろう。

 日本語でいえば「ねこ」を「ぬこ」と間違えて書いてしまったら、知らぬ間に「猫」が「ぬこ」になってしまったとか、「かめ」を「かぬ」と書き間違えたら「亀」が「かぬ」になった、に匹敵する。

 例えば「一ヶ月」の「ヶ」の字は片仮名の「ヶ」ではなく「箇」の竹かんむりの一部であるとか、个(箇の略字)の変形と言われているが、この「个」を「丁」と間違えて「一丁字(いっていじ)」という言葉ができている。
 「独壇場」や「膏肓」のように、もとは「独擅(せん)場」と書いたし「こうこう」と読むのだが、馴染みがない漢字のため漢字自体が間違えられたり(擅→壇)、それにともなって読み方も変化してしまう場合(どくせんじょう→どくだんじょう、こうこう→こうもう)もある。

 しかしこれらは頻繁に使わない言葉だから誤解されたり誤読されたりするのである。毎日使うような言葉は普通は間違わないだろう。

 英語にGotham$${^{*2}}$$という言葉がある。住民全員が阿呆だというイングランドの伝説の村の名前だ。本当に単なる伝説なのだろうか。

*1 Items of Interest about the English Language
*2 The Batman Tribute Pages

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?