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20020127 電源周波数矯正装置

 数十年前のかなり昔の「トランジスタ技術$${^{*1}}$$」という雑誌には初心者向けの電子工作の記事が連載されていた。初心者といってもトランジスタ技術を読む程度の初心者なので「ラジオの製作$${^{*2}}$$」の初心者用工作よりも少し高度であった。

 その中で印象深かった工作は電源周波数校正電気時計である。最近の50Hzや60Hzの電源周波数$${^{*3}}$$を用いた時計はかなり正確である。殆ど狂わなくなった。電源周波数が高度に制御されているからだろう。

 数十年前は電源周波数を用いた電気時計は狂う物と決まっていた。50Hzと60Hzの設定を間違えて進みすぎるとか遅れすぎるというのではなく、きっちりテレビジョンの時報で合わせても一日経つと数十秒は狂った。

 電源周波数を用いた時計は電子式ならば周波数を50倍か60倍に正確に引き延ばしてそれを1秒として動かし、機械式ならば電源周波数に従って一定の回転数で回るモータ$${^{*4}}$$が使われる。

 どちらにしても電源周波数が狂ってしまえば時計は狂ってしまう。そこでこの工作では100Vの家庭用電源を一旦5V程度の直流にして、これを50Hzか60Hzで正確に断続させ、その断続させた電流をまた100Vの交流にする構成であった。正確に断続させるために水晶発振器を用いていた。水晶発振器はクオーツ式の時計に使われているのでそれとほぼ同等の精度で断続できる。

 水晶振動子で正確になった周波数の100Vを用いて既存の電気時計を動かせばクオーツ式の時計並みの正確な電気時計$${^{*5}}$$になる訳である。

*1 Transistor Gijutsu
*2 ラジオ雑誌 図書 資料
*3 電化製品の上手な使い方 電気の知識1
*4 じしゃく忍法帳 / 第70回「電気洗濯機と磁石」の巻
*5 計画倒れ開発品

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