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20001008 小松崎 茂

 「JAの建更(たてこう)まもり10型$${^{*1}}$$」の絵入り広告が入ったポケットティッシュがあった。建更がどんなものかはリンク先を見て頂くとする。

 広告の絵はこんな感じだ。
 丘陵を開発した新興住宅地に真新しい住宅が沢山建っているのだが、まだ所々が空き地になっているため造成したままの黄土色の地面が見えているところもある。
 その住宅地の真ん中に体高60メートルぐらいの全身鋼鉄でできたロボットが腕を振り上げて立っている。その姿は寸胴で足が太く腰には真っ赤に塗られたベルトをしている。ベルトには黄色い大きなリベットが打ち込んである。腕は宇宙家族ロビンソン$${^{*2}}$$のフライデー$${^{*3}}$$のような伸縮自在になっており、指は円弧状のものが2本しかない。
 よく見るとベルトの上部分には手摺がついていてそこに人が立って手を振っている。胸には漢字で「建更」と書いてあり、その下には大きな窓が観音開きに開いている。この手のロボットなら胸の扉が開けば、ミサイルが出てくるものと相場は決まっているが、このロボットは「10」という文字が迫り出している。
 頭は切り妻型の家$${^{*4}}$$になっており、「妻」の部分が顔になっている。右目が四角い窓、左目が丸窓で中で照明が灯されている。口は玄関である。耳は換気扇の排気口で、その横にある屋外給湯器の上には3本の日の丸がはためいている。

 地上ではその団地の住人と思われる人々がそのロボットに向かって手を振っている。中にはロボットをビデオか何かで撮影している人もいる。ベルトの部分にいた人はこの住民の声援に対して答えていたのだろう。
 そしてロボットの背中からは後光が射している。

 広告文はロボットの頭上に黄色の枠取りをした赤い字で「JAの建更まもり10型」とある。広告の一番下には「火災・地震・台風・・・しっかり守ります」と書いてある。

 絵は水彩画だ。絵の感じや色使い、ロボットの描き方、どこかで見たことがある。昔懐かしい少年誌の挿し絵$${^{*5}}$$やサンダーバードなどのプラモデルの箱の絵$${^{*6}}$$だ。これは小松崎 茂$${^{*7}}$$のパロディーだな、と思った。

 ポケットティッシュの大きさしかないので非常に見にくかったのだが、絵の右隅に何かサインがしてあった。何と小松崎 茂本人$${^{*8}}$$のサインではないか。字の高さは1mm程度しかないが、「S.Komatsuzaki$${^{*9}}$$」のように見える。「S」は間違いない。「Komatsuzaki」は潰れて見にくいが筆の運びは小松崎である。

 恐らく大型ポスターの縮小版でポケットティッシュ用の絵ではないだろうが、こういう企画をした担当者とその企画に乗った小松崎 茂$${^{*10}}$$には敬服してしまった。そして小松崎 茂$${^{*11}}$$は85歳で現役であることも判って嬉しかった。

*1 建物更正共済に10型新登場
*2 海外ドラマ『宇宙家族ロビンソン』| 20世紀フォックス ホーム エンタテイメント
*3 Lost In Space How to Buil the Robot Index -English-
*4 雨漏りがしない屋根?切妻屋根の特徴を解説 | 合同会社 匠工務店宮崎
*5 小松崎茂 2/3
*6 小松崎 茂 [プラモデル・パッケージの世界] 平野克己 編
*7 小松崎茂 1/3
*8 小松崎茂美術館へのご案内
*9 btmnavi_r2_c1.gif
*10 小松崎茂 3/3
*11 小松崎茂 [ Komatsuzaki, Shigeru Web Gallery ]

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