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20020527 ガリレオ温度計(3)

 何故「ガリレオ温度計$${^{*1}}$$」と呼ばれるのだろうか。海外でもそう呼ばれている$${^{*2}}$$いるようだ。

 名前に「ガリレオ」と入っているが、この温度計はガリレオ・ガリレイ$${^{*3}}$$とは直接関係がない。

 ガリレオは温度計を発明した。しかし件の「ガリレオ温度計」ではない。空気が熱によって膨張する原理を応用した温度計$${^{*4}}$$である。実際に作ったのはこんな様な形$${^{*5}}$$らしい。この写真は復元模型のようだ。

 ガリレオが作った温度計は浮力と全く関係がない。では何故、浮力を利用した「ガリレオ温度計」には「ガリレオ」という名前が付いているのだろう。浮力といえばアルキメデスではないだろうか。

 ガリレオは1586年に「LA BILANCETTA$${^{*6}}$$(小天秤$${^{*7}}$$)」という論文を書いた。その中で浮力と天秤とを利用して物体の比重を精密に測定する方法$${^{*8}}$$を説明している。

 「ガリレオ温度計」の商品説明$${^{*9}}$$を見てみると「論文『小天秤$${^{*10}}$$』にある比重測定原理を現代に蘇らせた云々」 とあるが、ガリレオが書いたのは温度計ではなく天秤についてである。現代に甦らせるならばこのような天秤$${^{*11}}$$になるはずである。

 精密な比重測定法と「ガリレオ温度計」との共通点は比重によって浮力が変化するというところである。比重測定法では物体の比重の違い、「ガリレオ温度計」は液体の比重の変化を利用している。どう考えても直接つながらない。

 恐らくガリレオの功績として温度計と比重測定法と$${^{*12}}$$があるので、両者が関連する温度計だから「ガリレオ温度計」になったのだろうか。世界中で「ガリレオ温度計$${^{*13}}$$」と呼ばれている。イタリアでもそう呼ばれている$${^{*14}}$$。一体、誰がこの温度計を発明して名前を付けたのだろう。

 因みに複数のガラス管に「浮き」が一つずつ入った「ガリレオ温度計$${^{*15}}$$」もある。最初のガリレオ温度計と説明しているページ$${^{*16}}$$がある。何がなんだかよく判らなくなってくる。

*1 20020526 ガリレオ温度計(2)
*2 Howstuffworks "How does a Galileo thermometer work?"
*3 こども宇宙教室レベル2
*4 熱と温度2
*5 IMSS -Multimedia Catalogue -Artifact IV.7
*6 bilancetta 1-6
*7 小天秤
*8 La Bilancetta
*9 Page3<
*10 La bilancetta
*11 Musée
*12 Works and Instruments
*13 Galileo liquid and glass thermometers
*14 Termometro di Galileo
*15 Oggetti - Accademia del Cimento - I Luoghi della Scienza in Toscana
*16 The first Galilei thermometer

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