20000708 ボイジャー
今から23年前、1977年に二つの惑星探査機$${^{*1}}$$が打ち上げられた。ボイジャー1号$${^{*2}}$$と2号$${^{*3}}$$である。二つとも現在は太陽系を離れて宇宙の彼方を目指し旅を続けている。
ボイジャー$${^{*4}}$$は、1972年に打ち上げられたパイオニア$${^{*5}}$$の次に人類が太陽系圏外に放った物質である。それには手紙が付いている。丁度、瓶に手紙を入れて見知らぬ人に受け取ってもらうのを期待しながら大海にそれを流すようなものである。
手紙は金メッキされた銅製のレコード盤$${^{*6}}$$で、これには122枚の絵や写真と90分間の音楽や55ヶ国語の挨拶などが吹き込まれている。絵はデジタル符号化されてレコード盤に記録されている。どうやってアナログレコード盤にデジタル信号を記録するかというと、例えばファックスやモデムの「ピーヒョロロロ」という信号音がそのままレコード盤に記録されている様なものだ。
このレコード盤は針で再生するようになっている。どのように針で再生された信号を絵に変換するかはレコード盤のアルミニウム製のカバーに絵で解説がしてある。この絵で地球人以外の生物が仕組みを理解して、122枚の絵が再生できると思いたい。122枚の内116枚$${^{*7}}$$は地球や人類のことを映像で説明したものだが、残りの6枚は大統領$${^{*8}}$$メッセージと議員名簿で、これらは当時のアメリカ合衆国政府がレコードに入れるように要請したものであった。この感覚のずれ具合が何処の国の政治家でも同じだと思わせる。地球外生物達は英語をどうやって解読するのだろうか。
55ヶ国語$${^{*9}}$$の挨拶の中には日本語も含まれる$${^{*10}}$$。「こんにちはお元気ですか$${^{*11}}$$」と吹き込まれている。喋っているのはNoda Mariという名の女性らしい。一体この人はどんな人なのか。何故、地球外生物が最初に聞くであろう日本語にこの女性の喋った声が採用されたのだろうか。謎は深まるばかりである。
もしNodaさんではなく「Oda Mari」さんだったらどうだろう。地球外生物が最初に知る日本語の洒落になっていたかもしれない。でもどうやって日本語を解読するのだろうか。
現在、ボイジャー2号はこの地点にいる$${^{*12}}$$らしい。そして西暦20319年、ボイジャー2号は太陽から1光年の距離にようやく達する。西暦2319年ではない。西暦2万年である。
*1 NSSDC: Voyager Project Information
*2 宇宙探査機 ボイジャー1号 (Voyager 1)
*3 宇宙探査機 ボイジャー2号 (Voyager 2)
*4 Voyager Project Home Page
*5 宇宙探査機 パイオニア10号 (Pioneer 10)と パイオニア11号 (Pioneer 11)
*6 Voyager Golden Record
*7 VOYAGER RECORD PHOTOGRAPH INDEX
*8 Biography of Jimmy Carter
*9 Greetings to the Universe in 55 Different Languages
*10 Japanese
*11 japanese.au
*12 VOYAGER MISSION OPERATIONS STATUS REPORT #1198 , OCTOBER 13 – OCTOBER 19, 2001
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