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20060217 色付きしゃぼん玉

 「検索の鉄人$${^{*1}}$$」というサイトを見ていたら、色付きのしゃぼん玉$${^{*2}}$$の紹介記事があった。これを読んだ瞬間、しゃぼん玉の中に色付きの煙を入れるのだろうと思った。しゃぼん玉の色$${^{*3}}$$は光の干渉で現れる。光の干渉$${^{*4}}$$とはある特定の色の光が強められたり弱められたりする現象のことで、しゃぼん玉の膜の厚さでその傾向が変化$${^{*5}}$$する。しゃぼん玉の膜の厚さがどの部分でも完全に一緒ならばその厚さに対応した色が強められて緑とか赤とか均一な色になるが、実際には重力の影響を受けて膜の厚さが変化する$${^{*6}}$$ので色々な色が現れて虹色$${^{*7}}$$になる。

 しゃぼん玉に虹色ではなく特定の色を付けようと思って膜の厚さを完全に一定にすることは不可能であろう。宇宙空間$${^{*8}}$$や無重力実験場$${^{*9}}$$ならばできるかも知れないが、子供の玩具としては高価すぎる。そこでしゃぼん玉の中に色付きの煙を入れればよい$${^{*10}}$$。だが、いちいち煙を入れるのは面倒だ。

 石鹸水自体に色を付ける。しゃぼん玉の膜が厚くて光の干渉が起き難い状態ならば石けん水の色がよく見えるだろう。この「色付きシャボン玉$${^{*11}}$$」は絵子具のような物が石鹸水に入っているようだ。しゃぼん玉が衣服などに付くと色が取れなくなるらしい。これでは子供の玩具としては都合が悪い。

 アメリカのこの会社$${^{*12}}$$は色が他のものに移らないしゃぼん玉を開発した。この色付きしゃぼん玉を作るのに十一年かかった$${^{*13}}$$らしい。執念の賜である。石鹸水に入っている色素が違う。空気などに触れると色がなくなってしまうらしい。通常、顔料や染料などは色が褪せないようにしたいのだが、しゃぼん玉に使う色素はすぐに色褪せて欲しいのである。今まで人類が色素に試みてきた工夫と全く逆の工夫を凝らしたのである。それには染料にラクトン環$${^{*14}}$$と呼ばれる構造を持たせればいいことが判った。ラクトン環が開いていると発色するが、これが閉じると色がなくなる$${^{*15}}$$。閉じるきっかけは空気や水や圧力らしい。衣服などに付いたしゃぼん玉の色をすぐに取りたければ少量の水を押し当てればいい。または半時間ほど放置すれば自然に色は消えてしまうようだ。

 子供や大人にも夢を与える素晴らしい発明だが、大儲けはできないだろう。

*1 shikencho.com/検索の鉄人/関裕司
*2 shikencho.com/Zubbles
*3 実験してみよう
*4 Yahoo!きっず - 夏休み特集2005 光の干渉
*5 ナノテクKIDS 解説「シャボン玉と光のお話」- 文部科学省ナノテクノロジー総合支援プロジェクトセンター
*6 Color and Film Thickness | Soap Bubble Wiki | Fandom
*7 Yahoo!きっず - 夏休み特集2005 しゃぼん玉で虹を見る
*8 Q16 宇宙でシャボン玉を作ったらどうなりますか
*9 地下無重力実験センター(JAMIC)
*10 LA CHERE - ラ シェール株式会社 - 03014 ゴーストバブル
*11 色付きシャボン玉の紹介
*12 Zubbles... The World's First Colored Bubbles!
*13 POPSCI EXCLUSIVE The 11-Year Quest to Create Disappearing Colored Bubbles - Popular Science
*14 エステルとラクトン
*15 キリヤ: Q&A 指示薬の構造は?(補足説明) ※notesの仕様によりリンクが正常に機能しない。「https://web.archive.org/web/20220522145419/http://kiriya-chem.co.jp/q&a/shijiyaku.html」をコピーして直接入力すれば目的のURLを開くことができる(原因:”&”が自動的に”&”に変換されるため正常にURLが読み込まれない)。

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