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20030123 ジャンヌ・ダルク

 ある方との電子メールのやり取りで、ジャンヌ・ダルクのことが話題になった。ジャンヌ・ダルクは英語で書くと「Joan of Arc$${^{*1}}$$(アークのジョーン)」となる。本家のフランス語ならば「Jeanne d'Arc」で、やはり「アルクのジャンヌ」である。一体「Arc」とは何のことかということになった。

 英語では別名を「the Maid of Orleans(オルレアンの生娘)」というらしい。フランス語では「la pucelle d'Orléans」というようだ。これも「オルレアンの生娘」という意味である。オルレアン$${^{*2}}$$とはジャンヌ・ダルクの活躍によってイギリス軍の占領から解放された都市$${^{*3}}$$である。ジャンヌダルクの出身地もしくは住んでいた所ではない。

 ジャンヌ・ダルクは「ドンレミーDomrémy$${^{*4}}$$」という村で生まれた。現在はDomrémy-la-pucelle$${^{*5}}$$という名前である。「la-pucelle」はジャンヌ・ダルクを指している。

 出身地や住んでいる地名が名前やあだ名になることはよくある。「森の石松$${^{*6}}$$」や「吉良の仁吉$${^{*7}}$$」、「レオナル・ド・ビンチ$${^{*8}}$$」などがある。現代でも「どこそこの○○」というあだ名の付け方はよくする。

 ではドンレミーDomrémy村出身の「ジャンヌ・ダルク Jeanne d'Arc」の「アルク Arc」とは一体何なのか。

 このページ$${^{*9}}$$にその由来らしきことが書いてあった。ジャンヌ・ダルクの父親の名前は「Jacques Darc」$${^{*10}}$$なので、ジャンヌ・ダルクのダルクは彼女の父親の名前が由来である。Domrémy$${^{*11}}$$村の南西約40kmに「Arc en Barrois$${^{*12}}$$」、北東約30kmに「Art sur Meurthe$${^{*13}}$$」という地名があって、恐らくこれらのどちらかから「Arc」の名前が出て来たというのだ。「Art sur Meurthe」の場合は綴りが「Arc」と少し違うが、当時は「Art」の代わりに「Arc」「Ars」「Ai」と綴られることもあったらしい。

 「Darc」と表記されたのは、ジャンヌ・ダルクが生きていた中世には省略を表す「アポストロフィ(')」がなかったためのようだ。父親「Jacques Darc」の「Darc」の綴りは他に「Tarc」「Daix」「Dare」「Day」$${^{*10}}$$という表記が残っているらしい。これらの表記は書記が適当に書いてしまったためだという。特に最後に「c」がくる表記は少なくて、それが「t」になったり「e」になったりしたらしい。

 アポストロフィ付きの「Jeanne d'Arc」という表記が最初に出てきたのは1576年であった。

 結局、「Arc」の由来は、ジャンヌ・ダルクの出身地近くに「Arc」と付く地名があるということだけである。ジャンヌ・ダルクの父親の出身がそこだという証拠がないので、根拠があるようでない様な由来である。

*1 The Messenger : The story of Joan of Arc
*2 宇都宮市のホームページ オルレアン市
*3 Welcome to CLAIR オルレアン市
*4 Histoire de Jeanne d'Arc 2.ドンレミーの村
*5 じぇむ・ふらんす ドンレミー・ラ・ピュセル
*6 遠州森の石松
*7 吉良の仁吉
*8 レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ
*9 D'ou vient le nom de Jeanne d'Arc ?
*10 Joan of Arc (Jeanne d'Arc): Family Tree, entry for Jacques Darc
*11 DOMREMY-LA-PUCELLE
*12 Arc en Barrois
*13 Art sur Meurthe

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