20021112 田原坂
「田原坂(たばるざか)$${^{*1}}$$」という歌がある。西南戦争$${^{*2}}$$の激戦地、田原坂の当時の情景を語った歌である。
雨は降る降る
人馬(陣羽)は濡れる
越すに越されぬ
田原坂
右手(めて)に血刀
左手(ゆんで)に手綱
馬上ゆたかな
美少年$${^{*3}}$$
父と一緒に風呂にはいると、父がよくこの歌を歌った。今は漢字交じりで詩を読むことが出来るので意味が解りやすいが、風呂で聞いていた当時は声だけなので頭の中には平仮名しかない。
あめはふるふ~る
じんばは~ぬ~れ~る~
こ~す~にこ~されぬ
たばるざ~か
ちょこほい ちょこほい
めてにちがた~な
ゆんでに~た~ず~な~
ば~じょ~おゆ~たかな
びしょおね~ん
ちょこほい ちょこほい
最後の「ちょこほい ちょこほい」はどういう意味か判らないが、歌の調子を整えるために入れていたのだと思う。web上で調べても「ちょこほい」を入れた歌詞は見あたらない。
歌詞の説明はしてくれた。「めて」「ゆんで」は聞き慣れない言葉だったので、特に印象が残った。普通、片手で刀を持つ時は右手だから「めて」は右手、残った手で手綱を持つから「ゆんで」は左手、と教わったような気がする。
後に「めて」「ゆんで」はそれぞれ「馬手$${^{*4}}$$」「弓手$${^{*5}}$$」とも書くと知って混乱が生じた。「馬の手」は手綱を取る手だから「右手」、「弓の手」は弓を持つ手だから「左手」となる。ところが「田原坂」では、通常は「めて(馬手)」で持つ手綱を「ゆんで(弓手)」で持っている。
もしかしたら風呂でもこのようにも教わったのかも知れない。「うま」が「め」、「ゆみ」が「ゆん」に変化するというのが理解できず、また「馬の手」でなく「弓の手」で手綱を持つという内容で当時から混乱していたのかも知れない。その時は勝手に自分流で解釈して意味を記憶していたのだが、改めて「馬手」「弓手」という漢字を知って混乱してしまったのである。
*1 田原坂
*2 seinan sensou
*3 美少年酒造のおいたち
*4 goo [国語辞典]: 馬手
*5 goo [国語辞典]: 弓手