ドイツはどのようにして言論弾圧を行っているのか。

ナチスによるユダヤ人虐殺の歴史がまだ記憶に新しいドイツでは、パレスチナ紛争において、親イスラエル偏向報道が続いており、親パレスチナ派は言論弾圧下にあります。この弾圧は、1治安維持、2印象操作によって正当化されています。

背景

ドイツではウクライナ紛争が発生してからEUレベルで行われているロシア系政府メディアの締め出しの影響下にあり、言論統制(Mediablackout)が行われています。言論統制の理由づけはロシアによる「組織的な情報操作と虚偽情報」に対抗するためになっています。

10月に発生したパレスチナーイスラエル紛争においてもドイツでは言論統制が行われており、具体的には親パレスチナ系のデモが禁止されています。

デモンストレーションは公の場における意見の表明ということで、民主主義の根幹をなす政治的権利ですが、それを侵害するためにドイツはどのようなレトリックを用いているのでしょうか?


1治安維持

ニュースによると「"More and more participants with flags and pro-Palestinian symbols were flocking to the gathering, originally planned as a vigil, which the organizer had said was neither desired nor planned when in prior collaborative talks」、グーグル訳「旗や親パレスチナのシンボルを持った参加者がますます増え、当初は徹夜祭として計画されていた集会に群がるようになったが、主催者は以前の共同協議の際、それは望ましくも計画されてもいなかったと述べた」

つまり、当初の予定とは違いデモが夜通しになったので秩序を乱したとされたのだ。ドイツのデモは事前に警察に許可を取りデモの計画を提出する必要があるので、その計画を破ったことになる。これにより以後のデモは禁止されるようになった。

"As a result of the considerable number of people with pro-Palestinian symbols arriving, the replacement event was forbidden even before it had formally begun."グーグル訳「親パレスチナのシンボルを持った相当数の人々が到着した結果、代替行事は正式に始まる前から禁止された。」

以後のデモは以前計画を破った最初のデモと同じ類だから許可しないといレトリックだ。

ベルリンだけではなく、フランクフルト、ケルン、デュッセルドルフなど他のドイツ主要都市でもデモが禁止されている。フランクフルトでは警察判断ではなく、地方裁判所の命令で禁止となった。デュッセルドルフでは50人規模のパレスチナ解放デモが行われ700人の警察が対応にあたった。小さなデモがこれだけの警官に囲まれては市民に声を届けることもできないだろう。

2印象操作

副首相のハベックはイスラエルとの連帯をツイッターで表明。「ドイツに反セミティズム(反ユダヤ主義)の居場所はない」と発言した。

パレスチナ解放運動をユダヤ人への人種差別と結びつける→人種差別は禁止というレトリックで親パレスチナ系の言論弾圧を正当化しているようだ。

パレスチナ人は家を追われ、イスラエルから人権弾圧を受けているが、それは問題ではないらしい。パレスチナ人の権利を守ることは必ずしも反ユダヤ主義にはつながらない。イスラエルによるパレスチナ人の人権弾圧に抵抗しているだけだ。

こういった類似の事象を結びつけてしまうことは政治界ではよく行われることだ。日本の左翼が安倍首相を「日本のヒトラーだ」とか、逆に日本の右翼がリベラルの人々を「共産主義者」=「暴力革命を墓標するテロリスト」と結びつけるのと同じ理論だ。

報道の自由ランキングなどで上位を独占しているヨーロッパだが実際には報道規制やデモ禁止による言論の自由の剥奪など、民主主義・人権に反する政策が行われている。

1治安維持、2印象操作を理由に親パレスチナ派の言論弾圧が行われているドイツについてのお話でした。欧米社会が独占する国際社会ではこういった欧米の不正義を訴える声は少ないが、今後も見つけたら記録に残していきたい。

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