日本の政党の政策地図


先日以下のようなツイートを見ました。

このツイートには色々おかしいとことがありますが、主要な問題点はポピュリズムの概念の間違い。

ポピュリズムはイデオロギーの右左ではなく、大衆扇動的であるかどうかです。トランプはポピュリストですが、右翼的です。れいは新撰組もポピュリストですが、左翼です。

確かに対米自立という意味では、右翼的(保守的)ともいうことができますが、保守は「現状、古きを守る」ことですので、対米従属状態である日本の政治においては、「保守は対米従属」で、「対米自立が革新的」です。

しかし、参政党やかつて存在した石原慎太郎の政党「日本のこころ」は対米自立ですが、保守政党でもあります。日本の政治状況を考えると一枚岩な政治的右左の区別が通用しないことがあります。

これは日本の政治の幅が直線的な右左では捉えきれないことを意味しています。日本の政治は右左に加え縦横の2軸で考えることが有用です。以下に日本政治の政策地図(イデオロギーマップ)を掲載するので、みなさん投票の際など、参考にして頂ければ幸いです。


自民・立憲の大政党は中道よりになりがちです。これはゲーム理論で説明でき、政治学では「ダウンズの中位投票者理論」と呼ばれています。政策が右左に極端に振れると、リーチできる有権者の数が少なくなってしまうので、大政党はより多くの投票者にリーチできるように中道的な政策を好みます。中道的政策を行えば右翼の自民党でも、一定の左翼層を取り込むことができます。自民党が保守政党ながら、LGBT法案という左翼的な法案を成立させたのもこの理論で説明できます。

日本の中道大政党の政策が似通ってくるのであれば、日本の政治を分ける決定的なテーマはなんでしょうか。それが対米従属か対米自立かです。

参政党や共産党などが対米自立派で、日本の大政党は全て対米従属派です。
ここに先のツイートが間違えていた点があります。れいわ新選組は左翼ですが、対米自立的です。「対米自立=保守」ではありません。「左翼かつ対米自立」はイデオロギー分布状あり得るのです。

維新やN党など小政党は選挙上必要なので、色々な分野での政策を打ち出していますが、本来は、都構想やNHKのスクランブル化など単一の政治イシューで票を集めていますので、基本的には政策の右左は関係がありません。重要な単一イシュー以外は中道的であれば、問題ありません。

公明党は宗教団体を母体としています。そのため、極めて平和主義的です。保守的な自民党と連立政権を組むことで日本の与党が左寄りになるのに貢献しています。公明党の政治家から聞いた言葉ですが、「我々がかなり自民党の軍国主義的な政策を抑え込んでいる」とのことでした。

それにしても、日本の政治に閉塞感があるのはどうしてでしょうか?自民党が長く政権を担っているからでしょうか?政権与党が変わらないと政治は進まないのでしょうか?

小選挙区制の導入で昔よりは影響力が小さくなりましたが、自民党には派閥があり、自民党内で平和主義的な派閥・軍国的な派閥がありました。日本は政権交代はあまり起こらずとも、与党内で派閥争いがあることで事実上の政権交代が行われていました。

日本政治に閉塞感があるのは、立憲にしろ自民にしろ、保守・革新は関係なく対米従属的であることです。本来保守の自民党が左翼的なLGBT法案を成立させるのは考えにくいですが、この法案ができたのちょうどG8の広島サミットあたりでした。要は、G8開催にあたり欧米諸国から圧力があったのでしょう。自発的に欧米のジェンダーフリー社会に追従したのかもしれません。

全学連が安保闘争で大きな社会運動を起こしても、シールズが安保法案に反対しても政治が変わらないのは、基本的に日本が主権国家として政治的決定権がなく、対米従属的であるからです。

投票をもとにした民主主義というのは、正当性が脆弱な政治体制でもあります。政治、軍事、経済、社会など様々分野のイシューがあるのに投票用紙は一枚のみです。このイシューでは保守、このイシューでは革新など一枚の投票を複数に分けることはできません。

ということで、投票の際に大事なのは、各人の中でどのイシューが最も大事な点であるか、それに合う政党に投票することです。

筆者にとって一番大事であるのは、日本政治の独立です。日本の政治権力が独立していなければ、投票する意味自体がありません。その意味で私にとっては現状、参政党が最も投票したい政党です。

みなさんも投票する際には自分にとって何が一番大事なのか考えて、それ以外のことは大切であるが最重要ではない旨念頭に置いて投票してください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?