ザキさんは既婚者です。 以前に妻以外の女性と関係を持っていました。現在は婚外の活動から卒業しています。 当時、別れを決断するまでに数々の苦しみがあり、少し疲れてしまいました。 自分を慰めるために始めたはずなのに、相手のことが気になって仕方なくなり結果的に関係を拗らせてしまったのです。 もやもやしてても仕方ない、いろんなことに取り組んで自分らしくいこうとしました。その中でも、文章を書くのが好きなので、自分磨きの一環として物書きをしたいと考えていました。 Twitterの
33歳と言っていたが、彼女の目の前に立っているのはどう見てもハタチを過ぎた若者だった。あまりにもひどい嘘に彼女は思わず失笑してしまったが、彼は本気だった。「好きなタイプなんです」真っすぐに見つめてくる瞳は真実を語っていた。 彼女は採集の目的でSNSを始めた。裏アカウントでつながる世界では有象無象の性癖が存在し、本気の変態とそれを偽った凡人が混在していた。その膨大な情報の海を冒険し、未知の世界の住人たちとの出会いを楽しんだ。彼もそんな中の一人だった。 プロフィールに「ぽっち
煙草の煙が彼女の鼻腔をくすぐらせた。言い合いの後、彼は決まって彼女に覆いかぶさった。掌中に収めるように後ろから羽交い絞めにして突き上げた。彼女が達してぐったりすると、うやむやになったことに満足して彼は煙草を吸った。交わった生々しい匂いを煙がかき消していった。 🪼 「バツイチなんだよ」 二人が付き合い始めて1ヵ月経ったとき、彼が唐突に言った。40歳の彼は、20年前に結婚して子供が生まれ、その後離婚した。20歳の息子に会ったことはないらしい。これからの人生で再度結婚して家庭
夜中にそっと口づけをした。唇を離すと唾液が糸のように延びた。カーテンの隙間から差し込む街灯の光に照らされてキラキラしている。深い息をし、目を覚まさない様子を確認した彼女は、彼の親指にスマートフォンをあてがった。 メッセージの履歴を探ったが、妻から送られてくる家族の写真ばかりだった。鞄に入っていたもう一つのスマホを取り出し指紋認証をした。こちらも特に何もなく、あるのは彼女とのやり取りだけだった。週に一度は足跡を消しておくよう約束したのに。膨らんだお腹を叩いた。 四十を過ぎて
大失恋をした。若い彼女は、頭も、体も、心も、空っぽになってしまった。初めての恋、初めての失恋。全てが受け入れられなかった。悶え、苦しみ、復活がなかなかできない彼女に先輩が声をかけた 「うちの旦那に抱かれてみなよ」 ショック療法だと言った。あまりにも突飛なことに頭の回転がついていかなかった。けれども、なぜか、彼女はそうすることにした。好奇心が勝った。 先輩の家で三人宅飲みをした。ほどよく酔うと事が進んだ。夫婦が使う寝室へ移動し、先輩が見ている前で二人で全裸になった。ぐちゃ
出会った男の人はみんな優しかった。容姿やしぐさを褒められると彼女に電気が流れ、求めに応じた。抱かれたからといって恋人になりたいとは思わなかった。一方的に好意を寄せる重い女と思われるより、会って求められるセックスフレンドが丁度良かった。 🚹 学生から成人まで地方都市で育ち、就職も地元でした。趣味のサークルで集まったり、話をしたりするのが楽しかった。それでも一人で寂しいときは、チャットアプリに一言メッセージを入れれば誰かしら話相手になってくれた。慰める方法を彼女は知っていた。
夕食後、キッチンで片づけをしている彼女の背中に 「3人目どうしようか?」 加熱式たばこをチャージしながら、夫はそう言った。 不意を突かれた彼女はすぐに言葉が出なかった。子供は可愛い。赤ちゃんが欲しい。それにはセックスをしなければならない。2人目を宿した時、したのが最後。7年間していなかった。日々の生活に忙殺され、したいと思ったこともなかった。逡巡し、洗い物の手を止めた。 「できない、したくない」 彼女がそう言うと、夫は「わかった」と言ってベランダに出て行った。質問の
しぼんでいたものが、彼女の口の中で徐々に大きくなっていく。恍惚の表情を覚え『これが私の好きだったものだ』と丹念に舐めていった。 ♡ 夫は高身長で見た目も良く、学生の頃はクラスメイトの中で一際目立っていた。その彼に見初められて付き合ったが、就職を期に遠距離恋愛になってしまった。暫くして放置されていることに彼女が気が付き別れようとすると彼が結婚を申し込んでくれた。好きであることを証明するように、毎日のようにセックスして愛を満たし合っていた、あの頃は。 ♡ 子供が成長の過程
「スーツお似合いですね」 そう言うと、上司は嬉しそうだった。彼女より一回りも歳が上だったから気兼ねなく話しかけられた。思ってもみなかったことに、その上司から食事に誘われた。居心地がなんとなくよくて、次に誘われたデートにも行き、付き合うことになった。暫くすると子供を授かり、結婚をした。その後、夫の実家で親と同居することになると、男女としての交わりは薄れ、家族の中に溶け込んでいった。 「コンサートに行ってくるねー」 推し活と言えば自由になった。会場で彼と待ち合わせ、二人だけ
「お父さんのお嫁さんになるっ」 小さい頃の彼女は、父親に会うたびにそう言っていた。海外で財を成した父親は日本の家にいることはなく、彼女は母親との二人暮らしだった。数年に一度しか会えない父親は、彼女にとって尊い存在だった。 大学を卒業して彼女は霞が関の官庁で仕事をするようになった。公にならず先輩の紹介でしか入れなかったせいか「キャリアのお嫁さん候補」を集めているのだと噂されていた。バブルの末期で企業は先行きが不安な状況なのに、官庁では特需の余波がまだ続いていた。
オフィスビルの重い扉を押して彼女は外に出た。歩道へふわりと一段降りる。時計を見ると、待ち合わせまであと10分だった。ゆっくり歩いても間に合うかな、そう思ったときスマートフォンにメッセージが届いた。 『いまどこ?』 ぶっきらぼうな言葉。ざらっとした感覚に彼女はなった。目的地は近くだが、気落ちした。 「移動してます」 『ランチの後、どうしようか』 昼食だけの約束なのに。どういうつもりなんだろうか。波風は立てたくない。 「帰りますよ」 『もっと話したいから、ホテルへ行
あと1セット取れば勝ちだ。そう思ったら余裕が出て、彼女は会場を見渡した。このどこかに彼がいるはず。メッセージのやり取りで「試合を見てみたい」というので日時と場所を教えた。どんな男性なのだろう、そう思うと集中が出来なくなった。 「後半は惜しかったな」アリーナの出口で声をかけられた。初めて会ったのに馴れ馴れしい。彼だ、すぐわかった。「これから仕事なんで。また連絡するよ」身長の高い彼女を更に超えるところからの低い声。試合後の疲労した心臓を射抜かれて、何も発せなかった。 後日、彼
マッチングアプリを削除した。使い始めてから1ヶ月たらず、こんなにも早くいらなくなったことに彼女は笑みを浮かべた。理想的な男性を手に入れたから使う必要がなくなった。 毎日メッセージを男性に送った。電話は朝と夕方に欠かさずした。空いている時間があれば会いに出かけ、濃密な時間を過ごした。男性がテニスのコーチだったのでいつも一緒にいられるようにテニスも始めた。ラリーのレッスンで1時間汗を流してからホテルでもプレイをした。 好き、愛してる、会いたい、キスしたい、抱き合う、ベッドイン
「おやすみなさい」夫はそう言って寝てしまった。初夜とは、人生において特別なものなのではないのだろうか。彼女は頭が混乱した。暫くすると夫の寝息が聞こえ、話しかけることもはばかられた。彼女は目頭が熱くなるのを感じながら眠りについた。 高校生からの付き合いで、学生時代はプラトニックな関係を保った。社会人になると毎週末彼女のアパートに夫が泊まりに来た。その後結婚して、夫の実家で同居を始めた。いつも一緒にいられる、毎晩することが出来ると甘いことを考えていた。 「子供が欲しい」夫から
「手加減せずにぶん殴るの」 女王様のバイトをしている友達が昨夜のプレイを熱弁した。専用の太い鞭とか、血が出ても泣いてもやめないとか。昼下がりのランチ、食堂で話を聞いた。女子大だから過激な話にも花が咲く。人を殴るなんて考えられないと彼女が言うと、 「慣れよ、演じるの」 顔も体も声もセクシーさはない、友達は普通の女性だった。客の嗜好に合わせて仮面をつけボンテージファッションを身に着け鞭を振るう。堅い職業の太客から予約がひっきりなしに入るらしい。違う世界のリアルな話を彼女は面
性器がチリチリした。彼女はトイレでいやな感覚に襲われた。きっと水泡が出来ているに違いない。生理で免疫力が下がったのだろう。痛みを感じるたびにうつしたあの人のことが脳裏をよぎる。ウイルスを持っているとわかっていたらしなかったのに。悔やんでも悔やみきれない。ヘルペスを持っているかどうかは発症するまでわからない。彼女は発病した。20年していなかった快楽の後に。 💊 彼女は早くに結婚をした。夫は絵に描いたような真面目人間で冗談も言わなければ愛嬌もなかった。唯一の取り柄は勤勉である