ザキさん

普段堅い仕事をしている傍ら、空いた時間に婚外している方にお会いして、話を聞いたことをゆ…

ザキさん

普段堅い仕事をしている傍ら、空いた時間に婚外している方にお会いして、話を聞いたことをゆるっと構成しています。 twitter ID @zakizaki_sansan Threads ID @zaki_zaki_san_san

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ザキさんのこと

ザキさんは既婚者です。 以前に妻以外の女性と関係を持っていました。現在は婚外の活動から卒業しています。 当時、別れを決断するまでに数々の苦しみがあり、少し疲れてしまいました。 自分を慰めるために始めたはずなのに、相手のことが気になって仕方なくなり結果的に関係を拗らせてしまったのです。 もやもやしてても仕方ない、いろんなことに取り組んで自分らしくいこうとしました。その中でも、文章を書くのが好きなので、自分磨きの一環として物書きをしたいと考えていました。 Twitterの

    • 風に吹かれて飄々と

      「スーツお似合いですね」 そう言うと、上司は嬉しそうだった。彼女より一回りも歳が上だったから気兼ねなく話しかけられた。思ってもみなかったことに、その上司から食事に誘われた。居心地がなんとなくよくて、次に誘われたデートにも行き、付き合うことになった。暫くすると子供を授かり、結婚をした。その後、夫の実家で親と同居することになると、男女としての交わりは薄れ、家族の中に溶け込んでいった。 「コンサートに行ってくるねー」 推し活と言えば自由になった。会場で彼と待ち合わせ、二人だけ

      • 最後の恋

        「お父さんのお嫁さんになるっ」 小さい頃の彼女は、父親に会うたびにそう言っていた。海外で財を成した父親は日本の家にいることはなく、彼女は母親との二人暮らしだった。数年に一度しか会えない父親は、彼女にとって尊い存在だった。 大学を卒業して彼女は霞が関の官庁で仕事をするようになった。公にならず先輩の紹介でしか入れなかったせいか「キャリアのお嫁さん候補」を集めているのだと噂されていた。バブルの末期で企業は先行きが不安な状況なのに、官庁では特需の余波がまだ続いていた。

        • 玉虫色

          オフィスビルの重い扉を押して彼女は外に出た。歩道へふわりと一段降りる。時計を見ると、待ち合わせまであと10分だった。ゆっくり歩いても間に合うかな、そう思ったときスマートフォンにメッセージが届いた。 『いまどこ?』 ぶっきらぼうな言葉。ざらっとした感覚に彼女はなった。目的地は近くだが、気落ちした。 「移動してます」 『ランチの後、どうしようか』 昼食だけの約束なのに。どういうつもりなんだろうか。波風は立てたくない。 「帰りますよ」 『もっと話したいから、ホテルへ行

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        ザキさんのこと

          真昼のシンデレラ

          あと1セット取れば勝ちだ。そう思ったら余裕が出て、彼女は会場を見渡した。このどこかに彼がいるはず。メッセージのやり取りで「試合を見てみたい」というので日時と場所を教えた。どんな男性なのだろう、そう思うと集中が出来なくなった。 「後半は惜しかったな」アリーナの出口で声をかけられた。初めて会ったのに馴れ馴れしい。彼だ、すぐわかった。「これから仕事なんで。また連絡するよ」身長の高い彼女を更に超えるところからの低い声。試合後の疲労した心臓を射抜かれて、何も発せなかった。 後日、彼

          真昼のシンデレラ

          気の合う二人

          マッチングアプリを削除した。使い始めてから1ヶ月たらず、こんなにも早くいらなくなったことに彼女は笑みを浮かべた。理想的な男性を手に入れたから使う必要がなくなった。 毎日メッセージを男性に送った。電話は朝と夕方に欠かさずした。空いている時間があれば会いに出かけ、濃密な時間を過ごした。男性がテニスのコーチだったのでいつも一緒にいられるようにテニスも始めた。ラリーのレッスンで1時間汗を流してからホテルでもプレイをした。 好き、愛してる、会いたい、キスしたい、抱き合う、ベッドイン

          気の合う二人

          初めての夜。

          「おやすみなさい」夫はそう言って寝てしまった。初夜とは、人生において特別なものなのではないのだろうか。彼女は頭が混乱した。暫くすると夫の寝息が聞こえ、話しかけることもはばかられた。彼女は目頭が熱くなるのを感じながら眠りについた。 高校生からの付き合いで、学生時代はプラトニックな関係を保った。社会人になると毎週末彼女のアパートに夫が泊まりに来た。その後結婚して、夫の実家で同居を始めた。いつも一緒にいられる、毎晩することが出来ると甘いことを考えていた。 「子供が欲しい」夫から

          初めての夜。

          女優の休日

          「手加減せずにぶん殴るの」 女王様のバイトをしている友達が昨夜のプレイを熱弁した。専用の太い鞭とか、血が出ても泣いてもやめないとか。昼下がりのランチ、食堂で話を聞いた。女子大だから過激な話にも花が咲く。人を殴るなんて考えられないと彼女が言うと、 「慣れよ、演じるの」 顔も体も声もセクシーさはない、友達は普通の女性だった。客の嗜好に合わせて仮面をつけボンテージファッションを身に着け鞭を振るう。堅い職業の太客から予約がひっきりなしに入るらしい。違う世界のリアルな話を彼女は面

          女優の休日

          君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな

          性器がチリチリした。彼女はトイレでいやな感覚に襲われた。きっと水泡が出来ているに違いない。生理で免疫力が下がったのだろう。痛みを感じるたびにうつしたあの人のことが脳裏をよぎる。ウイルスを持っているとわかっていたらしなかったのに。悔やんでも悔やみきれない。ヘルペスを持っているかどうかは発症するまでわからない。彼女は発病した。20年していなかった快楽の後に。 💊 彼女は早くに結婚をした。夫は絵に描いたような真面目人間で冗談も言わなければ愛嬌もなかった。唯一の取り柄は勤勉である

          君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな

          余韻を楽しむ女 ワインが飲めない男

          東京タワーのライトアップが消えた。ベッドから起き上がり、裸のままグラスを持って窓に近づいた。火照った身体にワインが沁み渡っていく。窓にもたれ掛かるとガラスが冷たくて眠気が覚めた。 「奥様に関係を聞かれたとき、あなた目が泳いでいたわよ」 グラスを窓辺に置いて彼女が言った。窓から差し込む夜の街の明かりが彼の顔を照らす。肢体をなめるように見ていたのに『そうだったかなあ』とまどろみの中に逃げようとしていた。 この逢瀬の前、彼女と彼は偶然にも夫婦で同じリゾートに滞在していた。その

          余韻を楽しむ女 ワインが飲めない男

          カタルシス

          ボディコンワンレンお立ち台。赤坂、新宿、六本木。街も人も賑わっていたあの頃。多くの男女が艶やかに光っていた。彼女もその中の一人だった。刹那の出会いに永遠を感じさせた男がいたり、真面目に付き合った男に裏切られたり。そんな気持ちがすり減る日々に疲れて、彼女は男達と距離をとるようになった。 世の中ではインターネットがもてはやされた。彼女も仕事やプライベートで使う機会が増えた。現実世界での人とのやりとりよりも、メールや掲示板での繋がりの方が彼女には居心地が良かった。馴染みの掲示板に

          カタルシス

          優しい愛撫から激しい抽送に変わり、寝袋は汗だらけになった。新鮮な空気を吸いたくて彼女は裸のままテントから外に出た。彼もあとに続いた。真っ暗な宇宙(そら)が広がる。二人を隔てるものは何もない。そこでまた一つに繋がった。満天の星空のもとでのセックス。何光年も離れた星たちだけが二人を見ている。非日常における感動は、日常に留めておくことが出来ない。刹那の快感が震えるように湧きあがり彼女の体を駆け上がっていった。 ✨ 訴えられるかもしれない。初めての不倫は始まって4ヶ月後に相手の妻

          キスのカウント

          暑さでうだるような日だった。カフェで待っていると、彼女が訪れた。ダークグレイのタイトなマキシワンピースから若さが蒸気のように溢れていた。 ⇌ 大学卒業後、彼女は地方都市で就職をした。学生時代に付き合った彼と別れ、そこで新たな出会いを期待したが、周りには既に相手がいる人ばかりだった。 理想の男性は地方から仕事を求め東京にいると信じた。彼女は直ぐにマッチングアプリを始めた。条件の良さそうな3人に巡り合い、遠距離の交際を重ねた。 ⇌ Ⅲ回目 アイドルのような顔つきの彼。彼

          キスのカウント

          サピオセクシュアル

          土曜の夜がやってきた。夕食が終わり、子供を寝かしつけ、居間に彼女が戻るとそれは始まった。酒をしたたかに飲み、気分を高揚させた夫が「相談」と称して彼女の全てを否定して罵倒し続けた。多種多様な呪いの言葉を投げつけられ、体の芯まで腐っていくような感覚に陥ったが、今回は3時間で終わった。最長6時間罵られ気絶しそうになったこともあるのでまだ優しいほうだった。 ✎ 子供が日曜日の習い事で出かけた。夫が猫なで声で「昨夜は言いすぎた」「お前のためを思って」と言いながら彼女の機嫌を伺った。

          サピオセクシュアル

          イン・ワンダーランド

          「プロローグ」 スマホの通知で彼女は目覚めた。婚活アプリを開くと「コミュ障ですがよろしくお願いします」というメッセージが入っていた。男性のプロフィールを見ると『陰キャ』『枯れている』などネガティブワードが並んでいた。マッチングを希望しているのに正直過ぎる人だわと笑ってしまった。彼女は職場にいる明るくて軽い男たちにうんざりし、落ち着いた人を求めていた。この人はどんな人だろう、男性の顔写真を右にスワイプした。 「穴に飛び込む」 その男性と何回もやり取りして仲良くなった。実際

          イン・ワンダーランド

          今日から外で済ませます

          若くして起業した夫とキャリアウーマンの妻。結婚当初は周りから格好良い夫婦だと言われ嬉しくなった。お互い気を許し合い、人生最後まで二人寄り添って生きていこうとしていた。けれども、セックスの相性だけは日々悪くなる一方だった。 もともと淡白だった夫は結婚後一切セックスをしなくなった。二人で作ったライフプランには子供がいる。赤ちゃんはコウノトリが運んでくると夫は思っているようだった。人生のパートナーとして認め合っているのに、女性としては求められない。自分は女としての価値がないのだろ

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