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スタートアップCFOの役割が広がっている件

最近の市場の変化に伴い、スタートアップにおけるCFOが取り組む領域が拡大していると感じるので、まとめてみました。
CFOを目指したい方や、CFOに近い位置で仕事をする経営企画・経理などに携わる方にお読みいただけると嬉しいです。


■前提:CFOの役割とは

Cheif Finance Officerという名の通り、コーポレート・ファイナンスの側面から、経営を支える役割です。

他の経営陣との分担も含め、企業によって役割は様々ですが、この記事では書籍「ファイナンス思考」から定義をお借りして整理していきます。

ファイナンスの定義

会社の企業価値を最大化するために、

A 事業に必要なお金を外部から最適なバランスと条件で調達し、(外部からの資金調達)

B 既存の事業・資産から最大限にお金を創出し、(資金の創出)

C 築いた資産(お金を含む)を事業構築のための新規投資や株主・債権者への還元に最適に分配し、(資産の最適配分)

D その経緯の合理性と意思をステークホルダーに説明する(ステークホルダー・コミュニケーション)

という一連の活動

朝倉祐介さん「ファイナンス思考」より

加えて、スタートアップにおいては、CFOがコーポレート唯一の経営陣であるケースも多く、こんな役割も担われています。

・バックオフィスの組織作り
・IPO準備 

とはいえ、ビジネスモデルや経営陣のスキルによって、各社動き方は異なります。
その上で、直近のスタートアップの動きと役割の変化を整理していきたいと思います。


■拡大していること

A 外部からの資金調達→資金調達手法の多様化

デットファイナンスやクラウドファンディングをはじめ、資金調達の手法が多様化し、エクイティ(株式)と他の手法を組み合わせる調達が増えてきました。
より資本コストを検討しながら、資金調達に向き合うことが必要になっています。


B 資金の創出→資本効率性

米国から端を発し、スタートアップにおいても成長率だけではなく、資本効率性を見られる市場感になっています。

成長するためのキャッシュアウトだけでなく、事業からのキャッシュインおよび活用にまで目を配らせることと求められています。

環境の変化に適応するために、坂さんは投資先のスタートアップとの間で「生産性」をめぐる会話を増やしているという。
「ゲームが変わったんだ、という話はしています。(これまでは)投資して売上を伸ばすのが最優先ということもありました。もちろん売上は伸ばさなければいけませんが、同時に生産性も見なくてはなりません。売上高成長に見合った投資ができているかちゃんと検証しよう、と経営者とはよく話しています」

STARTUP DB「「SVB破綻の影響」と「次の成長領域」は。投資家が明かす“2023年のスタートアップ” ジャフコグループ・坂祐太郎パートナー


C 資産の最適配分→事業管理の範囲拡大

下記のような事象により、未上場時から事業ポートフォリオ経営を行う企業も増えてきました。

  • 創業時から複数事業の提供を前提とするコンパウンドスタートアップの概念の普及

  • 海外展開

  • M&A

  • ジョイントベンチャー化


D ステークホルダー・コミュニケーション→IRの変化

大型の資金調達を行うスタートアップが増え、アーリーフェーズから国内だけでなく、海外のVC・PE・機関投資家とコミュニケーションを行う企業も増えています。

また、世界的な潮流でもあるESGファイナンスを、スタートアップでも活用するケースもでてきました。

株式会社野村資本市場研究所「ベンチャー・ファイナンス の多様化に係る調査」


■まとめ

いかがでしたでしょうか?

CFOという役割に対して、漠然と上記全ての役割の専門性を持っているスーパーマンが活躍する、というイメージを持たれている方も多いように思います。

これだけ役割が広がる環境においては、経営戦略・ファイナンス・IRなど、それまでの専門性を活かされている印象です。

裏返すとCFOと働かれるバックオフィスの方にとっても、ご活躍の場が増えていることに他なりません。
スタートアップのキャリアに、より多くの方が関心を寄せてくださることを願います!

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