謝罪の出来ない母親

 社会人になって初めての夏が来た。夏のボーナスは寸志で手取り月収の半分程度頂いた。毎朝髭剃るの面倒だし、夕方になるとジョリジョリすることからボーナスを元手に髭脱毛に加えてオフィスに置く用のウール100%のジャケットと年中長袖だと死ぬので(それで行こうと思っていたがコンクリートアイランドの東京を舐めていた。普通に熱中症になりそう)夏用のシャツを2枚新調した。無駄遣いせずに今後の事を考えて初めてのボーナスを使った。

 そして、ここ数年になると定例的なイベントになっているが、海外に駐在している親が帰宅してくる。今回は日本で緊急案件があったようで先日、父親が数日帰ってきた時に母親も一緒に来て8月に長期休みを取る父親と共に出国するとのことで父は2週間滞在予定、母は1ヶ月滞在することになった。

 再度海外に戻る父親から別れ際に母親と揉めるなよと言われていたものの早速暗雲が立ち込めていてうんざりしている。

 元々母親は自分の非を認めない人だ。それに加えて子供っぽい。今回のあらましとしては洗濯物を畳んだ際に夏用の薄手の下着シャツを父親のスーツケースの上に置いて、父親がそのままスーツケースに入れて海外に持って行ってしまったというものだ。おかげで私は梅雨明けして最高気温が35℃程度の東京で通年用下着シャツとして購入したヘインズのシャツで生活しないといけない。
 シャツがなくて母親に聞いたら洗濯したものしか知らないということだったので父親に連絡したら父親の方にあった。そのことを母親に言ったら、私知らんしの一点張り。
 父親は基本的に家事をしない人なのは分かっているが念のため父親にLINEで確認取るとスーツケースの上に畳んで置かれていたものをスーツケースに格納したとのことだ。間違いなく母親がやったのだ。それなのにごめんなさいの6文字すら言えずに私知らないし、そんなこというなら私の洗濯物は洗わないし、ご飯も作らないと言う始末で怒りを通り越して呆れた。別に家事についてはやろうがやらまいがどうでも良い。常日頃自分でやっているわけだし、食費についても十二分に予算を給与から組んであるので作らないと言われても自分で外食するなり、調理するから構わない。
 人として間違えたことをしたんだから謝るのが人間としてやるべきことなのにそんなこともできないなんてと仕事で疲れていた私は怒りを通り越してただただ呆れることしかできなかった。
 父親が帰国するまでは母親を無いものとすればいいと思っていたが母親は祖父母の家に籠る事に決めたようで余計に神経をすり減らす必要が無いと判明してこれ僥倖だと思っている。(そのような行動も子供過ぎて何も言えない。自分より2倍以上は歳取っているのに…。)

 毒親育ちの子供というのは期待をしてしまうものだ。あんなことされたけれども大人になれば何か分かり合えるかもしれないと。成人するまでそのことを信じていた私は結局分かり合えなかった。私の育て方は悪くないと言い張る母親に辟易した。そう母親は「私、悪くないもん!」のスタンスなのだ。社会人になったら何か分かり合えるかもしれないと思った私が馬鹿だったのだ。期待をするのではなかった。こんな人の血が少しでも入っているのが嫌だ。何パーセント母親の血が入っているか分からないけれどもまだ父親の血が多く入っていた方がマシすら思えてくる。

 母親が帰ってきてストレスを強く感じているからなのか、最近食事の味が良く分からない。なにもかも面倒になってきてご飯もあんまり食べなくなった。事の顛末を父親に話したところ、「母親、あんまり謝りたくない人だと思う。女性に結構多いけれどもね。」とチャットに書いてあって確かに女性ってそういう傾向の人多いよなぁ。ちゃんと謝れる人っていい人なんだなぁと思った。

 今年も結局親と揉めた。毒親に対して間違った事を認めて欲しいけれども自分の非を認められない人にはそのような事は出来ないだろうし、期待するのは馬鹿馬鹿しい。いい加減分からないとね。相変わらず人の恋愛にケチつけるし。(自分の人生なんだから自分で決めていいだろう。貴方の為だからってそれっぽく正当化しないで欲しい。私は人形でもなんでもない。)
 それに、そんな血が自分の中にあると思うと忌々しく感じる。誰にも言えないこの感情を抱えながら生きないといけない。まだ、非を認めて謝れる自分はあの人と比べればマシなのだろう。
 あと、今後付き合う女性がいるのならばきちんと非を認められる人にしようと決心した。


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