見出し画像

お土産メモリーズ・イギリス編

私には旅行から帰った後に必ず行う1つの習慣がある。
買ってきたお土産を机上へ一堂に並べ、写真に納めるのである。

なので、私の旅行写真フォルダは必ず並べられたお土産の写真で締めくくられている。
つまり異国から連れ帰った思い出の断片達を写真に収めたその瞬間、いよいよ私の旅は終焉を迎えると言っても過言ではないかもしれないし、過言かもしれない。

そこで、そんな終焉の証に着目した、お土産から語られていない旅の思い出を掘り返すシリーズを書いてみようと思う。

まず最初は、直近最後のヨーロッパ旅行の目的地であるスコットランドにフォーカスしようと思ったが、せっかくならばイギリス全土に広げて、在住時の経験も合わせたお土産についての記事をお届けしよう。

画像1

よって今回は思い出というよりもおすすめ土産セレクションといった様相が強くなることは予めご容赦いただきたい。
また、お土産全体だとあまりにも多岐にわたりすぎるので、今回は食品に絞ってお届けすることにする。

チョコレート

画像2

まずは定番中の定番、チョコレートだ。
どこの国に行ったとしても、お土産の選択肢に上がってくるだろう。
イギリスとてそれは例外ではない。

①高級編
親しい人へ、ちょっといいチョコレートを贈りたい時に定番と言えるのが
Charbonnel et Walker(シャルボネル・エ・ウォーカー) だ。

シャルボネル・エ・ウォーカーは1875年にロンドンで創業されたショコラティエであり、ロイヤル・ワラント(英王室御用達)が与えられている。

特にトリュフシリーズが代名詞であり、ピンクのパッケージのピンクマールドシャンパーニュトリュフ(Pink Marc de Champagne Chocolate Truffles)は、シャンパンを使ったガナッシュがチョコレートでコーティングされており、高級感ある味わいと2種の食感が楽しめる。

画像3

画像は公式HPより

ただ、日本のチョコレートと比較すると若干甘さが強いので、ダークマールドシャンパーニュくらいが個人的には丁度いい甘さだと感じる。

画像4

画像は公式HPより

シャルボネル・エ・ウォーカーのチョコレートは高級スーパーのウェイトローズ(Waitrose)でも手に入れることができるが、種類が限られるのでロンドンで買うのならば直営店(以下リンク)に行くのが良いだろう。好きな色のリボンを掛けてもらえる。

別のチョイスとして、私が勝負土産としているチョコレートは、ハウス・オブ・ドーチェスター(House of Dorchester)だ。

ハウス・オブ・ドーチェスターはイングランド南部ドーセット州ドーチェスターで創業され50年以上ドーセット州での製造にこだわるショコラティエだ。

その中でもイチオシはBritish Selection Book Boxだ。

画像5

画像は公式HPより

ユニオンジャック柄の本を模したパッケージの中に6種のチョコレートが入っている。味もさることながら、いかにもイギリスらしいパッケージがお土産に最適で気に入っている。

画像6

ハウス・オブ・ドーチェスターはロンドンに直営店を持たないが、オックスフォードストリートにある百貨店セルフリッジズ(Selfridges)にコーナーがあるのでそこで手に入れることが可能だ。

画像7

②バラマキ編

もっと手軽に色んな人にばらまきたい場合は、キャドバリー(Cadbury)が選択肢に挙げられるだろう。

キャドバリーは1824年にイギリス第2の都市バーミンガムで創業されたイギリスを代表するチョコレートメーカである。
日本でいう明治や森永のようにお馴染みのブランドであり、スーパーなど至るところで購入が可能だ。

紫のパッケージが特徴的で、チョコレートバーや、こちらのHeroesのようなバラエティパックまで多くのラインナップがあるので用途や量に合わせて選ぶとよいだろう。

バラマキ土産を話のタネにしたい場合、クオリティストリート(Quality Street)がおすすめだ。

クオリティストリートはネスレから発売されているチョコレートやトフィーなどのスイーツの詰め合わせだ。
イギリスではおなじみのお菓子であり、特にクリスマスシーズンには缶入りのQuality Streetが各家庭に置かれる。

現在では全部で12種類のフレーバーが入っており、イギリス人は皆自分のお気に入りの味を持っているのだ。

画像8

画像は公式HPより

「Favorite flavour of quality street」などといったキーワードで検索すれば、
パープリスト(purple oneが好きな人)は、よくそんなことを名乗れるな」とか「トフィーフィンガーは入れるだけスペースのムダ」とか、好みの味を巡るイギリス人たちの不毛な争いの様子を窺い知ることができる。
これまで一度もきのこたけのこ戦争に加わったことのない者だけが、その争いを笑えばよいだろう。

そして皆で食べ比べて、実際のところどの味が推せるかなどをワイワイ議論するのも楽しいかもしれない。

なお、私はCoconut Eclair派である。
全体的に甘さが強い中で、比較的甘さ控えめであるのもポイントが高い。

ショートブレッド

画像9

イギリスらしいお土産を、と考えた時に最も有力な候補に上がるのはショートブレッドだろう。

高級なものから安価なものまで幅広く存在するが、本場だけあって全体的にクオリティが高いと言える。
なので、スーパーのプライベートブランド品でも十分に美味しい。

画像10

中でも高級スーパーに分類されるWaitroseMarks & Spencerのショートブレッドが、パッケージもお洒落でお土産にしやすい。

ウェイトローズでは特にダッチーオーガニック(Duchy Organic)シリーズのショートブレッドがよい。

ダッチーオーガニックは英チャールズ皇太子がプロデュースし、彼の保有する農場で収穫された材料をもとに商品化されている食品ブランドである。ショートブレッドにもいくつかの味があるが、個人的にはレモン味がおすすめだ。

本当は一番好きなショートブレッドはWaitrose 1 Earl Grey & Lemonだったのだが、販売終了してしまったようで、残念でならない。

ウェイトローズ自体はイギリス全土に広く展開されているが、ロンドン市内中心部には大きな店舗がない。しかし、オックスフォードストリートにある同じグループの百貨店、ジョン・ルイス(John Lewis)の地下食品フロアで取り扱っているので、そこで買うのが良いだろう。

ショートブレッド・バラマキの壁

一方、ショートブレッドをバラマキ土産にしたい場合に立ちはだかる問題が、個包装問題である。
バラマキみやげとして配るのであれば1つ1つ個包装されていることが望ましいが、ショートブレッドで個包装のものを探すのは大変難しい。

最も手っ取り早いのは、ご存知ウォーカー(Walkers)のショートブレッドだ。
Sharing Bagなら個包装されているので、ばらまくのに最適と言えるだろう。

しかし、ここで少し考えてほしい。
ウォーカーといえば、日本でもスーパーマーケットはもちろん、コンビニですら手軽に手に入るブランドである。

日本から約9,500kmの距離を超え、イギリスまで赴いた土産の品がローソンで買えるものであってよいのだろうか
私はそれを良しとはしない。

※個人の見解です。

「こいつセブンで買えるものを買ってきやがったな」などと思われることは、私の中に眠る元居住者レジデントとしての誇りが許さないのである。
大抵の人はそんなことを思わないかもしれない。しかし、実際に思われるかどうかはもはや問題ではない。

受け取る側の気持ちがおざなりになっている、というそしりは甘んじて受け入れよう。
しかしお土産選びとは一種の自己表現であり、そこで対峙しているのは自分自身なのである。

※個人の見解です。

演奏家は理想の音を出すために楽器と真摯に向かい合う。たとえ聴衆がその微細な違いに気づかなかったとしても手を抜くことはしないのである。
同列に並べると月とスッポンどころかダイヤモンドと湿った消し炭ほどの差があるが、私も同じような姿勢でお土産と向かい合っているのである。

※個人の見解です。
 自分で食べる分にはWalkersのショートブレッドは美味しいので大好きです。

そんなこだわりへの強い味方が、大手スーパー・セインズベリー(Sainsbury's)のHighland Shortbread All Butter Giant Fingersである。

画像11

画像は上記サイトより

このショートブレッドは中で1つ1つ個包装されているのだ。
そしてセインズベリーのショートブレッドは安価ながら評価が高い。

バラマキみやげの強力な味方となってくれるだろう。
ただし、個包装は何のデザインもない透明なものなのが唯一の難点だ。何か他のお菓子などと合わせて渡すのも良いかもしれない。

なお、個包装は英語で”individually wrapped"である。
なので、店頭で気になるショートブレッドが個包装されているか知りたければ、店員を捕まえて”Is this individually wrapped?”などと聞くと良い。
きっとこう答えてくれるだろう、”I don't know”と。
(中身までは把握できていないことがほとんどだ。)

その他のお菓子

画像12

ショートブレッドほどメジャーではないイギリスらしいお土産を、と考えた場合ティーケーキ(tea cake)が良いかもしれない。

ティーケーキは、ビスケットの上にクリーム状のマシュマロを載せたものをチョコレートでコーティングしたお菓子である。
起源はデンマークにあるとされるが、スコットランドのタンノック社のティーケーキが今日特に有名であり、その名の通りお茶菓子の定番となっている。

画像13

画像は公式HPより

構成要素から考えても、エンゼルパイの遠い親戚のような感じだ。
安価かつ個包装されているというのもバラマキみやげに適しているポイントと言えよう。
ただし、潰れやすいので荷詰めのときには要注意だ。

また、コーティングされているチョコレートによってミルクチョコとダークチョコの2種類がラインナップされているが、どちらにせよ中のクリーム(マシュマロ)が甘いので、チョコの甘さの違いは誤差程度と考えたほうが良いだろう。

あるいは、ネタに走るのならばマーマイトビスケットというのも一つの手であろう。

イギリスのアレな食べ物として名高いマーマイト味のビスケットである。マーマイトの味わいを体験させるのもネタにはなろう。
しかし、世界一のマーマイトファンを自負していた私のイギリス時代の上司が「これは美味しくない」と言うだけのことはあり、その魅力が正しく伝わるかには疑問が残る。

ウイスキー

画像14

イギリスに行ったならばウイスキーをお土産に、というのも少なくない人が考えることだろう。
自分用には自分の好きなものを買えばよいし、空港の免税店でも幅広いラインナップから選ぶことが可能だ。

ただ、いかんせん瓶に入った液体である。
人にあげるとなると、フルボトルを何本も買うというのは厳しい。
ハーフボトルやミニボトルくらいにしたいところだ。
しかし、それがこちらでしか手に入らないものを、となると難しくなってくる。

蒸留所を巡っても、限定ものというのはフルボトルがほとんどである。
少なくとも、先日まで投稿していたスコットランド紀行で回った蒸留所の中で、ハーフボトル以下の限定ボトルを販売している蒸留所は1軒もなかった。

となると、スタンダードなラインナップのものや飲み比べセットのような小さいボトルのセットを買うのが最も簡単ではある。

しかし、ここで少し考えてほしい。
日本から約9,500kmの距離を超え、イギリスまで赴いた土産の品がカクヤスで買えるもので(以下略)

そういったこだわりがあるのならば、ボトラーズのウイスキーを選択肢に入れてもよいだろう。

ボトラーズとは、蒸留所から原酒を樽ごと買って、独自に熟成などをした上で瓶詰めして販売する業者のことである。

ボトラーズのショップであれば、珍しいウイスキーを少量で販売しているケースが多い。

私がスコットランドでお土産としたウイスキーは、最古のボトラーズと言われるケイデンヘッドのものである。
私が訪れたのはエディンバラのショップであるが、ロンドンにも支店はある。

画像15

蒸留所名は明かされておらず、地域だけが記されているので、これはどこのウイスキーだろうかなどと考えながら楽しむこともできる。

なお、上記写真の酒に関しては厳密にはスコッチウイスキーではない。
スコッチウイスキーを名乗るためには、いくつかの条件を満たしている必要があるのだが、ケイデンヘッドのスタッフいわくこの酒は保存・熟成の条件を満たせないのだそうだ。そのためPBS(Pure British Spirits)と表記されている。 
とはいえ、製造法などはスコッチウイスキーのそれと何ら変わらないし、ちゃんとスコッチの条件を満たすものも当然販売されている。

紅茶

やはりイギリスの飲料といえば紅茶だろう。
ウイスキーと違い、持って帰るのは茶葉なので軽く場所も取らない。

そんな紅茶のお土産におけるド定番といえば、やはり英王室御用達の老舗フォートナム・アンド・メイソン(Fortnum & Mason)だろう。

ティーバッグからルーズリーフ、フレーバーティから定番のものまで幅広く取り揃えられている。
ターミナルによっては空港内にもショップがあるので、帰る直前に買うことも可能だが、やはり品揃えの面ではロンドン市内・ピカデリーサーカスの本店が最適だろう。

また、フォートナム・アンド・メイソンは紅茶専門店なわけではなく百貨店であるのでお菓子やティーセット、その他多種多様な商品が販売されている。個人的にはメンズフロアのクラシカルな雰囲気がとても好きなので、
ぜひ本店に足を運んでみてほしい。

画像16

しかし、フォートナム・アンド・メイソンは日本の百貨店にも支店を持っているので、日本でも比較的手に入れやすい。

そこで、日本で比較的手に入れづらいブランドで考えると、
ウィッタード(Whittard)や、

イーストインディアカンパニー(East India Company)などが挙げられる。

イーストインディアカンパニーとは、いわゆる世界史に登場する「東インド会社」のことである。が、世界史に登場する東インド会社は19世紀に一度解散しており、現在の会社はその後名前を引き継いで設立されているので、少なくとも連続性は無いようだ。
しかし、いわゆるハイクラスのブランドであることに変わりはなく、ショップには日本人スタッフも常駐している。

もっとご家庭の味を、ということであれば
ヨークシャーティー(Yorkshire Tea)またはPG tipsが2強といえる。

これらはどこのスーパーでも簡単に手に入る一般的に親しまれているブランドである。特にヨークシャーティーは、イギリスの紅茶にしては珍しく軟水で入れることを想定したブレンドになっているので特に日本で使いやすいかもしれない。

ただしこれらのブランドのティーバッグは、基本的に箱の中で個包装されておらず、またティーバッグに紐がついていない。
そのため、中身をバラマくには不適当である点には注意が必要だ。

なお、スーパーでは時にこのような業務用みたいなサイズの商品に出くわすこともある。紅茶大国としての本気が感じられる。

画像17

おわりに

おみやげから旅の記憶を振り返るつもりで始めたこの企画及びこの記事であったが、今回イギリスということもあり、気づけばほとんどお土産のオススメ紹介になってしまった。

読んでいただいた方には「こいつからはお土産をもらいたくねぇな。。。」と思われているのではないかという一抹の不安はあるが、また気軽に海外に行けるようになり、イギリスに赴く機会になにかの参考になれば幸いである。

なお、この記事の執筆はウォーカーのショートブレッドを食べ、スコッチウイスキーを飲みながら行われたということを最後に付け加えておく。


最後までご覧いただきありがとうございました。
次回は久々に単発旅行記です。

いただいたサポートは、新たな旅行記のネタづくりに活用させていただきます。