クリスマスマーケット探訪・ウィンチェスター編
今週も前回に続き、クリスマスマーケットについて書いていきたい。
今回はイングランドの古都、ウィンチェスターを取り上げよう。
ウィンチェスターはこんな街
ウィンチェスター(Winchester)はイングランド南部ハンプシャー州の州都である人口約5万人の都市である。
規模としてはそれほど大きくない街であるが、イングランドの歴史においては重要な位置づけにある。
5世紀頃からグレートブリテン島に上陸したアングロサクソン人によって、イングランド中南部に7つの王国が建国される。
そのうちの1つであり後のイングランド王国となるウェセックス王国(Kingdom of Wessex)が686年より首都をウィンチェスターに置くと、その後1066年のノルマン朝によるロンドンへの遷都まで、王国の中心地であり続けた。
首都ではなくなった後も大聖堂への巡礼や羊毛産業などで栄え、その当時の反映を今に伝える歴史都市である。
イングランドのクリスマスマーケット
イギリス在住中に迎えた12月の週末、イングランドにおいて日帰りできる範囲でのクリスマスマーケットが評判の場所を探していた私が見つけたのが、ローマ時代の温浴施設の遺跡でおなじみのバース(Bath)そしてウィンチェスターだった。
まず最初にバースへと足を運んだ。
2度目の訪問となったバースでは、街のランドマークであるバース寺院(Bath Abbey)を中心にクリスマスマーケットが開催されていた。
バースストーンと呼ばれるこの地近郊で産出されるクリーム色の石灰岩で作られた建物の周りで行われるマーケットは雰囲気があって良い。
しかし、いかんせん人気の観光地であるがゆえに混雑具合も激しく、人の多さにげんなりしてしまった私は、わずか1時間足らずで見物を切り上げてバースの街を早々に後にしてしまった。
ソロ活動に慣れた身には人が多すぎたのだろうか、未だに理由はわからないがそれ以上留まる気にはなれなかったのである。
独りの車で落ち着きを取り戻した私が南東に車を100km程度走らせたどり着いたのが、次なる目的地ウィンチェスターであった。
古都のクリスマス
ウィンチェスターの街に到着した頃にはイギリスの短い日も暮れ始めていた。
メインストリートにたどり着くと早速クリスマスに色めき立つ街の様子が飛び込んでくる。
そこからさらに歩みをすすめると、街を代表する建物であるウィンチェスター大聖堂にたどり着く。
ウィンチェスター大聖堂(Winchester Cathedral)は、1079年に建設が開始され、1000年近い歴史を持つイングランド最大級の大聖堂である。
その長い歴史に加え、「自負と偏見」などの作品で知られる18-19世紀の女性作家ジェイン・オースティンが埋葬されていること、また映画「ダヴィンチ・コード」のロケ地になったことなども手伝い、多くの観光客を集めている。
残念ながら私が到着した頃にはすでに閉館時間となっており、ヨーロッパのゴシック様式の大聖堂のうち最も長いと言われる身廊の様子などを眺めることはできなかった。
しかしながら、大聖堂の周囲で行われるクリスマスマーケットはこの時間からが本番と言える。
やはりウィンチェスターもイングランド屈指のクリスマスマーケットとあってなかなかの人手ではあるが、スペースに余裕があるからか、バースと比較して密集具合も低く、楽しむことができた。
ゴシック様式の特色の一つであるフライング・バットレス(飛梁)と呼ばれる外に飛び出た壁状の支柱の合間を縫うように店が並ぶ。
お菓子などの定番モノはもちろん、松ぼっくりやドライフルーツでできたリースや、
星型の照明など大物の飾りの屋台が印象的であった。
そして、聖堂の中庭のような場所にも屋台が集まっており、そちらが特にスペースこそこじんまりとしているものの、伝統的なクリスマスマーケットの雰囲気を感じさせてくれた。
やはりクリスマスマーケットの定番であるホットワインももちろん売られている。
ホットワインは英語ではMulled Wine (mull:スパイスなどを加えて温める)と呼ばれる。
ホットとはいえアルコール入りであるので、車で訪れた私が口にすることはなかった。
よってウィンチェスターのマグカップは持っていない。
ウィンチェスターのマグネット
ウィンチェスターのマグネットがこちら。
街のシンボル、歴史ある大聖堂の姿を収めたマグネットである。
大聖堂の中には入れなかったものの、売店はまだオープンしており、そこで入手することができた。
ウィンチェスターのクリスマスマーケットは規模の面で見れば、イギリス内でもロンドンなど大都市のものと比較して見劣りするだろう。
しかし規模ではない、どこか本来クリスマスマーケットが持っていたのかもしれない雰囲気を感じさせてくれるのは、歴史ある大聖堂の前だからなのか、あるいはアミューズメント感が控えられた屋台のラインナップの為せる技なのか。
いずれにせよ、英国でクリスマスマーケットを訪れるのであれば、ロンドンから1時間程度の距離に位置するこの小さな古都は有力な候補となり得るだろう。
最後までご覧頂きありがとうございました。
次回もクリスマスマーケットです。
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