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お土産メモリーズ・ポルトガル編

今回はポルトガル土産である。
今から2年前のゴールデンウィーク、私は改元に湧く日本を離れポルトガルを旅していた。

こちらが旅の戦利品たちだ。

イギリスの時とは違い、居住者ではないこの国のお土産選びにおいて、プライドなど持ち合わせてはいない。
少しずつ、旅の記憶の断片を紐解いてゆこう。

幸運の証

ポルトガルにおける定番土産の1つとなっているのが、伝統工芸品でもあるガロのグッズである。
ガロとはポルトガルで雄鶏を意味するのだが、ポルトガルでは一種の幸運のシンボルとして扱われており、これは北部の町バルセロスに伝わる伝説が関係している。

昔、巡礼の旅をしていた旅人がバルセロスに立ち寄った際、無実の罪を着せられて死刑を言い渡されてしまう。
刑に処せられる前に、頼み込んで自らを裁いた裁判官の家に連れて行ってもらったその旅人は、裁判官の家の食卓に並んでいた鶏の丸焼きを指差し、
私が無実である証拠に、刑が執行される時その雄鶏が鳴くだろう
といった。
そんな与太話を裁判官が信じるはずもなく、旅人が処刑場に連れられてまさに処刑が行われようとした時、鶏の丸焼きが立ち上がり鳴き叫んだのだ。
その結果ただちに旅人は釈放され、奇跡的に一命をとりとめたのである。

以後、その伝説が語り継がれて、鳴いた鶏をモチーフに幸運のシンボルとなっているのだそうだ。
ガロが黒い色をしているのは、もともとその鶏が丸焼きだからだそうである。

焼き過ぎでは?という気がしないでもないが、とにかく伝統的に親しまれた工芸品であり、置物が定番だが、今日では様々な形でお土産屋に並んでいる。

我が家でも幸運のフードピックとして、主に酒のつまみの消費に貢献している。

世界一のコルク生産国


あまり知られていないが、ポルトガルは世界一のコルク生産国でもあり、全世界生産量の50%以上を占めている。
原料となるコルクガシがイベリア半島の適しているようで、隣国スペインも世界第2位の生産国となっている。

コルク製の鞄や帽子といったファッショングッズもあるが、熱にも水にも強いその特性から、コースターや鍋敷きも定番となっており、実用的なお土産として選択肢に上がるだろう。

私がGWにポルトガルに行くと知った友人から、LINEにて「こういう感じのやつで。柄はセンスに任せる。」というメッセージとともにコルク製鍋敷きの画像が送られて来た。
「センスに任せる」というのはとても困る。そういうのはセンスのある人に頼むべきだ。とりあえずポルトガルらしいアズレージョ(タイル)の装飾付きのものをいくつか購入した。
多めに買って選んでもらい、残ったものを実家へという完璧な作戦であった。
抜群のセンスを持つ私は見事、一番良いと思っていた柄を実家へと献上することに成功した。

ポルトガル人の愛する魚

ポルトガル料理に欠かせない魚といえば、バカリャウ(干し鱈)と並んで挙げられるのがサルディーニャ(イワシ)である。
なぜポルトガルでそれほどまでにイワシが愛されているか?それにはリスボンの守護聖人である聖アントニオが関係している。

13世紀前半にカトリック修道会の修道士として活躍し、民衆からも人気のあった聖アントニオが民の改修に苦心していた時、ふと近くの魚に目をやると、なんと魚が彼の説教を聞いていたというのである。

その出来事が神の啓示として考えられており、毎年6月13日に行われる彼を称える「聖アントニオ祭」は別名「イワシ祭り」とも呼ばれ、街のあちこちでイワシが焼かれ、パンに挟んで楽しまれている。一説にはポルトガルの6月のイワシの平均消費量は3500万匹とも言われ、毎秒12匹のイワシが食べられている計算になる。

リスボンを中心にどこのレストランでも手軽に試すことができるので、本場の味を楽しむのもよいだろう。しかし、あくまでイワシであり、過剰な期待は持たないほうが良いかもしれない。

そんなイワシを缶詰で買って帰るのも良いだろう。
オイル漬けの缶詰はどこのスーパーでも簡単に手に入るし、唐辛子入りの辛いオイル漬けや香草で香り付けされたものなど、様々なバリエーションのものが用意されている。
大都市には、お土産用に生まれ年のデザインの缶詰を売っている店があったりするので、それも選択肢に入るかもしれない。

なお、当然だがデザインだけの問題で、中のイワシがその年に加工されたわけではない。
「中身に違いはあるの?」と店員に聞いてはいけない。双方気まずい思いをすることになるからである。

定番お菓子


ポルトガル人のソウルフードたるイワシは、お菓子界にも侵食している。
イワシ型チョコはお土産の一つの定番となっているのだ。
当初はそれをバラマキみやげにしようかと思っていたのだが、少しばかり問題があった。

多くの個数が入ったものがないのだ。
せいぜい1箱3つ入りであるので、バラして配るにはそれなりの個数を買わないといけない。そして、意外と高いのだ。
所詮中身は普通のチョコと考えると、チョコ1つに200円強というのは少しもったいない気がしてくる。
バラマキみやげにするのは止めにした。

そこで、急遽バラマキみやげに当選したのはエッグタルトだ。
エッグタルト(パステル・デ・ナタ(Pastel de Nata))といえばポルトガルを代表するスイーツである。
賞味期限は長くはないが、数日は日持ちするので、空港などでも土産として売られている。なので、職場などで休み明け初日にすぐ渡してその場で食べてもらうのであれば、選択肢に入れることは可能だ。

店で食べる焼き立てパリパリ感は望めないが、濃厚なクリームと生地のバランスを楽しんで、遠くポルトガルに思いを馳せてもらうことができる。
一方当然だが個包装などされていないので、配る際には紙皿やナプキンなど何かしらの配慮は必須だ。

もしリスボンが旅のゴールなのであれば、発祥の店で購入するのも良いだろう。

世界遺産ジェロニモス修道院近くにあるパスティシュ・デ・ベレン(Pastéis de Belém)は1837年に創業し、元は修道院で造られていたスイーツであるエッグタルトを当時のレシピのまま今に伝える人気店である。
砂糖とシナモンがついてくるので、それをふりかけながら食べるのがまた美味しい。

ポルトガルの粉末スープ

私は旅先のスーパーでその土地らしい味の粉末スープを買う。
主に自分用だが、日持ちし、かさばらず、簡単に帰国後旅の味を思い出せるのがとても良い。

私がポルトガルで購入したのは、海の幸が豊富なポルトガルらしいロブスターのスープだ。

ふと旅のことが思い出された時に、さっと作って味わう。
旅の思い出などが蘇り、懐かしさに浸ることができる。

ノスタルジーの前にあっては、実は私がポルトガル滞在中にロブスターを食べていないことなど大した問題にはならないのだ。食べたいものを買おう。

おわりに

旅行中はとにかくトラブルの多かったポルトガルであったが、歴史のあるお国柄、そして海に広く面して気候も温暖であることから、雑貨も食品もバラエティ豊かである。

今後ポルトガルを旅する際などの参考になれば幸いだ。
最後に、旅行記を書きながら味わうロブスターのスープは格別であったことをここにご報告しておく。


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