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シリコンバレーと英語

最近シリコンバレーに日本から赴任で来ている方と多く話をする機会があるが、だいたいみなさんに共通している悩みが英語の問題。日本にいるときはそれなりに英語はできる方だと思っていたが、こちらに来てなかなか通用しなくて愕然としたり、あるいは最初から英語もあまりできないのに他にいないからという理由で送られて来たものの、やはり言葉が通じないせいでうまく仕事ができないという悩みをよく聞く。


英語はもちろんできた方がいい。

ちょっと前に日本人の9割は英語は必要ないという元マイクロソフトジャパン社長の成毛さんの本が話題になっていたりしたが、このブログを読んでいるような人なら絶対に英語は必要。あなたが学生だったら今からでもおそくないから死に物狂いで英語を勉強してほしい。


でも30代、40代になってもともと英語があまりできなかった人が、いきなり猛勉強したからといってしゃべれるようになるものでもないのも確か。今シリコンバレーに来ているのに英語ができないという現実にどう向き合うべきなのか、長くこちらで日本人はじめいろいろな国から来ている人たちを観察してきた目からアドバイスしてみたい。


まず英語に関して一番日本の教育が間違っているのが文法重視であることだ。

言葉の基本は音。英語の勉強をするのであれば、まず音から入るのは基本。とにかくまずは耳を鍛えなければ相手の言っていることがわからないので、これだけはどうにも避けようはない。

ただし、自分のしゃべる英語の発音に関してはそこまでクリティカルではない。シリコンバレーには本当にいろいろな国から人が集まっているので、それぞれに訛りを持っている人がいっぱいいる。なので、こちらの人々は訛りに対してはとても寛容だ。もしこちらの言っていることがわからなかったら聞き返してくれるので、ゆっくりもう一度話せばよい。


問題はここから。

日本人で一番よくあるパターンが、自分の発音に自信がない、また英語そのものに自信がないので、しゃべり方そのものまで自信がなく聞こえてしまうことだ。これが一番よくない。投資家としてスタートアップのピッチを聞くとき、そのファウンダーがどれだけ自信を持ってしゃべっているかというのは、そのしゃべっている内容と同じくらい、あるいはそれ以上に重要だ。それは逆の立場でもしかり。投資家として自信のなさそうなスタートアップには投資したくないと思うのと同じように、スタートアップだって自信のなさそうな会社と一緒に何かやりたいなんて思わないだろう。


訛りがあったっていい。とにかく自信を持ってしゃべること。これに尽きる。

以前ソニーのシリコンバレーのオフィスで働いていた時の上司が非常にいい例だった。彼は赴任歴10年のベテランなのだが、10年いてもまったく英語が上達していなかった。発音もまさにジャパニーズイングリッシュ。でもその上司は現地のアメリカ人からは非常に信望が厚く、誰からも慕われていた。もちろん彼の人柄によるところも大きいのだが、彼は非常に声がデカく、しゃべるときはとにかく自信満々にしゃべる。文法なんて平気で間違えるがそんなの全くお構いなし。とにかくデカい声で必要な単語を並べるだけ。でもこれで立派に通用するのである。

シリコンバレーでおそらく日本人は最も英語が苦手な部類に入ってしまうが、とりあえずみなさん、はったりでもいいので自信を持とう。そうしてしゃべってみると意外と通じることに逆にびっくりすると思う。そしてそれがまた自信につながるというポジティブスパイラルができあがって、知らないうちにしゃべることに抵抗がなくなってくるはずだ。

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