二拠点生活のためのアイスランド滞在について
以前、別府とアイスランドで二拠点生活を送りたいという記事を書きましたが、そのトライアルのため、11/6(日)から11/17(木)にアイスランドに滞在しました。今回はその検証結果を説明します。
※アイスランドに住みたい理由などは上の記事をご覧ください。
二拠点生活の計画
上の記事を書いた2年前(2020年11月)は、以下のような生活を計画していました。
1年のうち、別府に9ヶ月滞在、アイスランドに3ヶ月滞在する(日本人の場合、ビザ無し滞在が3ヶ月まで)
オーロラを見たいので、アイスランドに滞在する3ヶ月間は冬(1〜3月)とする
日本企業の仕事とアイスランド企業の仕事を両方受ける
が、その後、この計画に変化が生じました。
趣味の箏と三絃を再開し、月に1回先生のお稽古に行くようになったため、3ヶ月間日本を留守にすることが難しくなった
アイスランドが日本より9時間遅いので、日本とアイスランドの企業の仕事を両方受けると昼夜ともに稼働する必要があり、睡眠時間を確保できない
などの理由から、アイスランド滞在を1ヶ月に短縮し、アイスランド企業の仕事を受けないことにしました(今回の滞在では2週間とさらに縮んだのですが、これは国内で別の予定が入っていたのと、後述の家賃の問題があります)。
滞在都市
最も人口が多いのでスーパーなども多く、観光スポットへのアクセスもしやすい首都レイキャヴィクに長めに滞在しました。次に北部で人口が多いアークレイリ、国際空港があるのでアイスランド国外からすぐ行けるケプラヴィークに滞在しました。
レイキャヴィク……5日間
アークレイリ……4日間
ケプラヴィーク……3日間
検証内容
今回のトライアルで確認したかった内容は下記です。
気候の厳しさ
自然へのアクセスのしやすさ
オーロラの見やすさ
温泉の入りやすさ
家賃の高さ
食事のしやすさ
深夜労働のしやすさ
気候の厳しさ
私が11/6(日)から11/17(木)は、平均4度ぐらいでした。札幌と同じぐらいの寒さなので、厚着さえすれば日本の冬と同じ感覚で過ごせました(アイスランドは風が強く、顔や耳が冷えるので、帽子などを被る必要はあります)。
自然へのアクセスのしやすさ
私は別府の海沿いに住んでおり、自転車を持っているので、家から海まで数分で行けます。山は街から見られますし、バスかレンタカーを使えば1時間で由布院まで行けます。仕事の合間や休日に自然にアクセスしやすいのが別府の魅力ですが(詳細は別府での暮らしについて参照)、同じことがアイスランドでも実現できないかと考えていました。
アイスランドは電車が無く、バスが使いづらい(クレジットカードが使えない上にお釣りが出ない)ので、自然へのアクセス手段は徒歩・車いずれかになります(ツアーは自由に行動できないので除外)。アイスランドは北海道と四国を足したぐらいの広大な面積の土地なので、別府ほど気軽ではありませんが、レンタカーを使えば1〜2時間に自然にアクセスできることが分かりました。
オーロラの見やすさ
アイスランドは全土がオーロラベルトに入っているのですが、曇りの日が非常に多いため、オーロラはかなり見づらいです。滞在中、オーロラを見られたのは1日だけでした。「アイスランドの天気は変わりやすいので、オーロラだけを目当てに行くのはおすすめしない」と事前にアイスランド人から聞いていたのですが、その通りだと実感できました。
温泉の入りやすさ
※アイスランドの通貨はアイスランドクローナ(ISK)であり、為替は1アイスランドクローナ=0.98円です。円とほぼ同じ価値なので、以下は分かりやすく円で表記します。
アイスランドは火山島なので温泉がいくつかあります。私は別府で毎日温泉に入っているので、アイスランドであれば気軽に温泉に入れるかと期待していましたが、この期待がそもそも間違っていました。
アイスランドにおける「温泉」とは、下記の2種類があります。
水着着用で入る温水プールの露天風呂
山の中などに湧いている野湯
有名なのは前者であり、今回私はブルーラグーン・フォレストラグーンの2つに入ったのですが、ブルーラグーンが大人1名約1万円、フォレストラグーンが約6,000円と、明らかに観光客向けの金額であり、毎日入れる金額ではありません。
後者は無料で入れますが、Googleマップにも載っていない、車で何時間もかけて行くような秘湯も多いので、気軽に入れる銭湯のレベルではありません。
家賃の高さ
今回、滞在期間を2週間に縮めた一因がこれです。
私の調べたところ、アイスランドで最も安い滞在手段は6,000円/日程度のユースホステルに宿泊することですが、30日間宿泊すると18万円もかかってしまいます。
また、ユースホステルだと相部屋なのでプライベートを確保しづらく、たまに個室のホテルなども利用しましたが、個室は20,000円かかるものが多く、10日宿泊するだけで20万円もかかります。
食事のしやすさ
私は自炊の習慣が無いので、コンビニの食事か外食が多いのですが、アイスランドの外食は2,000円超えるものがほとんどなので、毎日外食すると食費が大変なことになります。観光目的で何度か外食しましたが、途中で外食をやめて、地元のスーパーで食材を買うようにしました。
私は料理がほとんどできないので、肉を買ってフライパンで焼いたり、果物を買って切る程度の食事ですが、これはこれでなかなか美味しかったです(宿泊先のユースホステルにはフライパンや包丁が揃っていたので、この程度の調理は可能)。
辛かったのは食べ物よりも飲み物でした。私はお茶、特に煎茶や玄米茶などの緑茶が好きで、国内では毎日のように飲んでいたのですが、アイスランドの店にあるのはほとんど炭酸飲料だからです。
アイスランドでお茶を飲む場合、ティーバッグを買うしかないのですが、ここでもいくつか問題があります。
ティーバッグは給湯器が必要なので、屋外での観光中には飲めない
お茶のほとんどは紅茶であり、緑茶が少ない
緑茶もレモン風味とかイチゴ風味など、何かしらの味付けがしてあるものが多く、渋み強めの緑茶は無い
結局、レモン風味の緑茶や紅茶で代用していたのですが、緑茶好きの私にとってはかなり辛い食生活でした。
深夜労働のしやすさ
アイスランドは日本より9時間遅いので、日本の10〜19時にあわせて働く場合、アイスランドでは夜1時〜朝10時に働く必要があります。
私は元々夜型なので、「夜はずっと働いて、朝10時から寝る」生活を想定していましたが、日中も観光していると夜は疲れるので、この生活が不可能だとすぐに気づきました。そこで、以下のような分割睡眠生活に切り替えました。
2時……起床
2〜6時……仕事
6〜8時……仮眠
8〜9時……仕事
9〜21時……観光や食事など
21時……睡眠
例えば、日本の15時(アイスランドの6時)に会議がある場合は6時まで寝られますし、日本の10時(アイスランドの1時)に会議がある場合は1時には起きる必要があります。
アイスランド滞在中はこの生活を平気でこなしていたのですが、日本に帰国した初日に13時間ぐらい爆睡したので、実は疲れがたまっていたのかもしれません。この生活をやる場合、日中の活動を減らし、もっと睡眠時間に充てる必要がありますね。また、2週間という短期だからこなせた生活であり、長期で続けると体を壊すかもしれません。
トライアルの結果
自然へのアクセスのしやすさは○
温泉への入りづらさ、家賃の高さ、食事(特にお茶)のしづらさ、深夜労働のしづらさなどが×
2週間の短期滞在であれば問題無いのですが、1ヶ月以上だと厳しいという結論になりました。アイスランドという国は好きなのでまた行きたいのですが、それは「移住」ではなく「旅行」目的ですね。
アイスランドに2週間滞在して分かったことは、
私の食生活や温泉の好みが日本文化に最適化されているため、(旅行と割り切って)海外の文化に短期間あわせることはできるが、長期間あわせることは難しい
日本文化と同じものをアイスランドに期待しすぎていた(海・山・温泉など表面的には似ている国でも、根本的には別の国なので、同じものを期待すべきではない)
日本文化が好きなら日本に住むほうが良い
ということです。日本と海外の二拠点生活が自分にはあわないと実感できたので、今後も海外は旅行にとどめて、日本を拠点として活動してゆく予定です。
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