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「龍が如く」の極道はなぜ「人を見る目」が無いのか

「龍が如く」をプレイした方ならご存じの通り、作中の争いのほとんどは東城会の内部抗争です。そして、その原因を遡ってゆくと、極道たちの人を見る目の無さに起因します。

例えば、「龍が如く1」で桐生は風間から東城会の四代目会長に指名されますが、彼は就任当日に辞任し、五代目として近江連合の寺田を指名するという意味不明な行動を起こしました。その寺田が東城会に潰されたジン・グォン派の生き残りであり、東城会への復讐のために「龍が如く2」の一連の事件を引き起こします。これは桐生に人を見る目が無いエピソードの代表ですが、元を辿れば桐生を指名した風間にも任命責任があります。

また、桐生は六代目として大吾を指名しますが、大吾は極道としての経験が少ない若輩者であり、「龍が如く2」で近江連合に拉致されたり、「龍が如く4」で真島を警察に引き渡したりと失態が目立ちます。大吾の未熟さもありますが、そんな大吾を指名した桐生の責任も大きいでしょう。

こんな具合に「龍が如く」では AがBを役職に任命する→Bの未熟さゆえに役目を全うできない→東城会の内紛を招く というのが黄金パターンですが、なぜ「龍が如く」の極道は皆人を見る目が無いのか? その原因は、人柄と能力を分けて評価していないことにあります。

例えば、「龍が如く1」で風間が桐生を四代目に指名したのは、風間にとって桐生が息子同然であり、彼の人柄を信頼していたからでしょう。しかし、人柄と、東城会を運営できるかは別の話です。桐生は組長や若頭として組織をまとめた経験はありませんし、他人に分かりやすく指示を出せるタイプでもないので、仮に四代目を続けたとしても東城会を円滑に運営するのは難しかったと思います。つまり彼は能力的には会長にふさわしくない人物なのですが、風間は人柄だけで指名してしまいました。

また、「龍が如く2」で桐生が大吾を六代目に指名したのは、幼少の頃から大吾を知っているのと、彼が堂島の息子だからでしょう。人柄や会長としての箔はあったのでしょうが、彼には組織運営の経験どころか、シノギの経験や部下など、極道として必要なものがほとんど欠けていました。いわば未経験の新卒をいきなり社長に据えたようなものであり、これで失敗するのは当然です。

「人柄が良ければ能力は後から付いてくる」と、ポテンシャルを評価して人事や登用を行うケースがありますが、やはり最低限の能力やスキルが伴っていないとパフォーマンスが出ないものです。中長期的な成長を見込むにしても、時間がかかりすぎて組織が崩壊しては本末転倒です。大吾にしても、経験を積んで会長にふさわしい人物となったのは「龍が如く5」あたりですが、そこまでに東城会のピンチが何度もありました。人柄と能力をバランス良く評価することの重要さを「龍が如く」は教えてくれています。

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